最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 市立中学校教職員は市に対し違法な時間外労働命令に応じた時間外労働割増賃金請求権を取得するか 2 附加金債務の発生時期及び履行期
交差点に進入しようとする自動車運転者に交通法規に違反して高速度で交差点を突破しようとする車両のありうることまでも予想すべき注意義務がないとされた事例
詐害行為取消の訴と第三者異議の訴とが別訴として提起され別個に判決する場合に詐害行為の成立を理由として第三者異議の訴を排斥することの許否
1 債権者の代物弁済予約完結の行為が破産法第72条第2号により否認される場合 2 右予約完結に際し代物弁済予約による所有権移転請求権保全の仮登記が存する場合およびその後右仮登記が権利放棄を理由に債権者により抹消された場合と破産法第72条第2号による否認
処分禁止の仮処分の執行前に目的不動産を譲り受けた者が仮処分債権者に対し登記なくして右不動産の権利取得を対抗しうる地位にあった場合と右仮処分執行後における仮処分債権者に対する所有権取得の主張の許否
建物の賃借人が差押を受けまたは破産宣告の申立を受けたときは賃貸人はただちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約の効力
1 株式会社の訴訟上の代表者と商法第12条の適用の有無 2 議決権行使の代理人の資格を株主に制限する旨の定款の規定の効力
会社の販売部門が独立してあらたな会社が設立された場合において、新会社が旧会社の取引上の債務を承継したと認められた事例
破産宣告後の原因に基づく破産者の所得に対する所得税と破産法第47条第2号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権
1 商標権質付債権を差押えた場合、その旨の登録を経なければ質権について差押の効果は生じないか 2 数人に金銭債権の一部ずつを譲渡後、対抗要件具備前に、譲渡人に対する債権の一部について差押命令が発効した場合における差押の及ばない部分の帰すう
1 許可申請後に許可基準を定めた法令が改正された場合の処分の準拠法令 2 薬事法第6条第2項、第4項とこれに基づく広島県条例と憲法第22条
1 共同事業を営む家族全員の運行供用者責任を肯定した事例 2 死者の逸失利益算定にあたり、税金を控除しなかった事例 3 受傷後死亡までの間に被害者に生じた慰謝料請求権の相続性の有無(消極)
1 実質上の使用関係があるとして、使用者責任を認めた事例 2 Y会社の従業員がエンジンキーを差し込んだまま、単車を放置しておいた間に、Aの従業員が無断運転して事故を発生させた場合におけるY会社の責任
1 68才以上の高齢者に対してのみ臨時に勤務評定を実施し、勤務実績不良者を分限免職にする市長の方針の適否 2 地方公務員法第28条第1項第1号の勤務実績不良の場合に当らないとされた事例 3 同法同条同項第3号の職に必要な適格性を欠くものと認められた事例
1 労働者の意見聴取、労基署への届出、周知方法は就業規則の効力発生要件か 2 大学教授65才定年制が違法でないとされた事例
1 組合役員リコールの要件は組合の自治に委ねられるとされた事例 2 不適法なリコール運動をした組合員に科された権利停止処分が相当とされた事例 3 組合規約上中央執行委員会に与えられた規約解釈上の裁定と勧告権に対する司法審査の限界 4 統制処分の量定につき組合に与えられた裁量権の限界 5 統制違反事件につき告発機関と調査審問機関との各構成員の重複の可否は組合の自治に委ねられるとした事例
1 個人加入方式の上部団体から支部が脱退した場合、その決議は脱退に反対する者をして上部団体から離脱させる効果をもつか 2 右の場合脱退反対者が支部から除名され従前のユニオン・ショップ協定に基づき、解雇された場合、その効力
1 特許侵害訴訟において、侵害者の挙げた利益額および技術援助料相当の実施料額合計金2億3千余万円が損害額としてその支払が命じられた事例 2 「高速にて回転する材料加速車と衝突板とをもって堅い物質を粉砕するための加速式粉砕機」に関する特許発明における「衝突板の先端部」の位置形状「ほぼ半径方向」「鰐口状の開口運動」という表現の技術的意味内容について判示した事例 3 日独間の工業所有権協定の発効前に登録された特許権について既得権ありとする主張が否定された事例 4 特許訴訟において、優先権主張の効力を争うことは許されないとした事例 5 日独間の協定による先使用の主張が否定された事例 6 出願公告前の特許を受ける権利に基づく損害賠償請求の主張が否定された事例 7 技術援助契約に基づく損害賠償請求の主張が否定された事例 8 特許侵害品の製造に用いられる部品についての損害賠償請求の主張が否定された事例 9 特許権侵害に基づく謝罪広告を求める主張が否定された事例
1 特許侵害訴訟において、被告の実施する方法について、争いがあり、証拠に基づいて事実を認定し、被告の主張を排斥した事例 2 被告が、過去においても実施したことのない方法について、実施のおそれありとして差止請求を認容した事例 3 戦中戦後の特例によって戦時中の期間を、その存続期間に算入しない措置がとられた特許権であっても、存続期間が満了したと信じたから過失なしとする侵害者の主張が排斥された事例
1 公職選挙法第138条第1項の戸別訪問にあたらないとされた事例 2 同条同項違反の罪が成立するためには二戸以上の訪問が必要か
1 被告人の犯行時の精神状態につき、心神喪失を認めた原判決を破棄し、心神耗弱を認定した事例 2 戸籍上の養子が戸籍上の養親を殺害した事案において、その養子縁組が無効であるとして、尊属殺人罪の成立を否定した事例
1 建物明渡の訴提起後生じた事情と賃貸借解除申入れの正当事由 2 控訴審の和解における借家人の立退要求の事実を考慮に入れても結局解約申入れの正当事由はないとした事例
権利行使の催告期間内に損害賠償請求の訴を提起し、担保取消申立取下後右訴を取下げた場合は、訴取下のときに担保取消に同意したものとみなされる
甲会社と乙会社の代表取締役を兼務する者が甲会社の債務のため乙会社を代表して債権者と保証契約を締結しても商法265条に違反しない
家主の履行遅滞により履行にかえて金銭賠償により紛争を解決する趣旨の合意解除が成立したが、家屋賃貸の填補賠償に加えて約定による予定遅延賠償の請求が認められた事例
無効な和解調書に基づく強制執行を排除するため提起した請求異議訴訟の弁護士費用について、不法行為による損害賠償請求権が認められた事例
1 軌道敷上の欠損について、占有者である電鉄会社に民法717条1項の工作物等の占有者責任を認めた事例 2 原動機付自転車の後部座席に同乗していた被害者につき、4割の過失相殺を認めた事例
1 増改築許可に伴う付随処分として、賃料を変更し、更地価格の3%に当る金銭の支払を命じた事例 2 借地権譲渡許可の申立を無条件で認容した事例
1 転借人の賃貸人転貸人に対する借地権譲渡許可の申立が認容された事例 2 右許可に伴う付随処分として賃貸人に対し、転借権価格の約5%、転貸人に対し転借権価格の約7%に当る金銭の支払を命じた事例
1 増改築制限の特約の趣旨について、当事者間に争いがある場合と申立の利益 2 増改築制限の特約に当らない増築許可申立を無条件で認容した事例
賃貸人が自ら建物および借地権譲渡を受ける場合の対価決定に際し、控除すべき借家権価格として、借家人の移転補償費を基準とした事例
1 転借人の賃貸人・転貸人に対する増改築許可申立を認容した事例 2 転借人の賃貸人に対する増改築許可申立については、転貸人をも相手方とするのが相当である
1 附近の土地の利用状況の変化等を理由に借地条件を変更した事例 2 右変更に伴う附随処分として、期間・賃料を変更し、更地価格の約10%に当る金員の支払を命じた事例
借地権の目的である土地について仮換地の指定があり、かつ、従前の借地権の目的である土地の範囲・面積について当事者間に争いがある場合において、非堅固建物所有目的の借地契約を堅固建物所有目的の借地契約に変更し、仮換地に借地権の目的となるべき土地の部分の指定をうけることを条件とする付随の裁判をした事例
使用者の営業方針に反対する旨明言しこれと競業する企業を創設すべく退職したことが懲戒解雇事由「会社の指示に従わず不正の行為があったこと」に該当しないとされた事例
賭博犯人が賭金にあてるため賭博場に持参し胴元に預けた現金を賭博行為の組成物件または供用物件にあたるとして没収したことが違法とされた事例
自動車運転者が交差点を右折しようとした際、信号を無視して前方から直進して来た自動二輪車に自車を接触させた事故について、いわゆる信頼の原則を適用して無罪を言い渡した事例
自動車運転者が明らかに幅員の広い道路を直進し交差点にはいった際、道路交通法36条に違反し狭い道路から同交差点に進入した原動機付自転車に自車を衝突させた事故につき、右自動車運転者の過失を否定した事例
自動三輪貨物自動車の運転者が交通頻繁な国道を進行中前方を横断する自転者に自車を衝突させた事故につき、被害自転車発見前における注意義務違反が認められないとして無罪を言い渡した事例
自動車運転者が、運転開始に責任能力に障害がない以上、事故当時心神耗弱の状態になっていたとしても、刑法39条2項を適用すべきではない
家事審判規則第46条・第95条第1項を準用してなした夫婦間の協力扶助に関する審判前の臨時処分は、当該審判事件の係属する家庭裁判所において当事者双方のその時の事情に従い、随時必要な処分をし、その処分を取消しまたは変更することにより、具体的に妥当な結果を得ることを期待した制度であるから、性質上抗告による救済に適しないものというべきである
父の親権に服しその監護をうけている非嫡出子からなされた父の氏への変更許可申立につき、父の本妻が反対している場合に許可した事例
非嫡出子の父の氏への変更を許可することは、父の婚姻家庭の平和と健全な共同生活を破壊するものであって、民法第1条の2、家事審判法第1条の法意に添わないとして却下した事例
親権者とならなかった親がその子と面接することは、親子という身分関係から当然に認められる自然権的な権利であるが、面接が子の監護養育上相当でない場合には、これを制限することはもとより妨げないものというべく、右の制限をしたからといって憲法第13条に違背するものということはできない
非親権者たる母からの親権者変更申立に対し、相手方の家庭環境は必ずしも理想的であるとはいえないにしても少くともその方が無難であり、事件本人を現在の安定した環境から引離すだけの必要が認められないとして、申立を却下した事例
民法第892条の「推定相続人にその他の著しい非行があったとき」とは、直接被相続人に対する非行がなされた場合のみを指称すると同時に、相続権を剥奪するに相応する程度の重大な非行があったことを要すると解すべきであって、家名を著しく汚す非行・犯罪を犯し刑に処せられる等の事情があっても、右の要件を充さぬ場合は廃除の原因に当らない
1 特定受益たる現金は、実質的公平の観点から物価指数の変動に応じ相続開始時に評価算定すべきである 2 相続開始後相続財産から生じた果実も相続財産の分割価額に算入すべきである
いわゆる高令者職権消除手続により除籍されたものについて、死亡による相続を前提として相続財産管理人の選任をすることはできないとして、前になされた相続財産管理人選任の審判を職権により取消したうえ、その申立を却下した事例
文字自体は滑稽珍奇とはいえなくとも発音が滑稽である場合には、その氏は滑稽珍奇な氏というべきであるとして、氏の変更を許した事例
形式的には有責配偶者である妻からの離婚申立事件において、婚姻成立の要因および相手方の婚姻関係の調整に対する態度等を考慮して、家事審判法第24条により離婚の審判をした事例
夫は離婚に反対しているが、その夫の顕著な協力扶助義務違反が主たる原因となって完全に破綻状態に陥っている夫婦について、家事審判法第24条の離婚審判をした事例
昭和22年当時中華民国で中華民国軍人と婚姻し、日本国籍を喪失、除籍されている元日本人女の戸籍につき、中華民国内政部が右婚姻は同国軍人婚姻法令に違反し無効であり、右女は中華民国国籍を取得していないとして国籍取得申請を却下していることを理由に、中華民国国籍取得を前提とする日本国籍喪失、除籍の記載は錯誤によるものであるとして戸籍訂正を許可した事例
韓国新民法施行前になされた韓国人男と元日本人女間の重婚につき、婚姻当時の韓国の慣習によれば重婚は当然無効であるとして家事審判法第23条により無効確認の審判をした事例
韓国新民法施行前になされた韓国人男と元日本人女間の重婚につき、婚姻当時の韓国慣習によれば重婚は当然無効とされていたが、新民法附則第2条本文および同法附則第18項1項により同法施行日前になされた重婚で今日までその状態を継続しているものについては、新民法を適用して取消し得ると解すべきであるとして家事審判法第23条により取消審判をした事例
少年審判規則第28条第2項(家庭裁判所調査官の審判出席)の規定は訓示規定と解されるので、家庭裁判所調査官が審判に欠席して意見を述べなかったとしてもなんら決定の効力に影響を及ぼさない
少年法第55条により移送された事件に余罪を併合のうえ再び検察官に送致した事件について、地方裁判所において再度少年法第55条による移送をした事例