最も長い歴史をもつ判例実務誌
借地非訟事件に関する決定3件 (その1) 借地上の建物の競落に伴なう借地権(面積110平方米、価格3.13平方米につき5、000円と評価されている土地に関する)の譲渡について、1万5、000円の給付を条件として許可した事例 (その2) 借地権の譲渡に伴なう承認料支払の慣行がないこと及び残存期間が8、9年あることを理由として、財産上の給付を命じないで許可した事例 (その3) 借地上の建物の競落人が宅地建物取引業を目的として設立された同族会社であり、その実質上の経営担当者が建物取引業法違反の罪で服役中であっても、現在その妻子が協力して営業を継続しており、経済的信用に欠けるとことがあるとはいえないとして、借地権の譲渡が賃貸人に不利となる虞があるとの主張を排斥し、譲渡を許可した事例
労組員の抗議行為中約30分間事務室にふみ止まったことが情況上不退去罪にあたらないとされ、且つその際のトラブルから発生した治療約5日間を要するとせられた傷害罪が、実は日常生活にほとんど支障を来さないきわめて軽微なもので刑法204条によって処罰することは同条の立法趣旨及び法秩序全体の精神に照し相当でないとした事例
1 市吏員が庁内吏員と結婚する場合いずれか一方退職する旨の誓約書を市に差入れたとき右誓約書の効力 2 依願退職処分が結婚を理由とするため重大明白な瑕疵を帯びるとされた例
一筆の従前地全部が賃貸された場合において、賃借人から適法な賃借権の届出があったとしても、施行者から通知(指定)がない以上、賃借人は換地予定地(仮換地)について使用収益権を有しないとされた事例
加害自動車と同一方向に進行していた被害自転車の衝突において、自転車に過失があるかどうかを判断するにつき、審理不尽・理由不備・理由そごの違法があるとされた事例
1 国家公務員等退職手当法に基づく退職手当の支払と労働基準法第24条第1項の適用または準用の有無 2 右退職手当の受給権を譲り受けた者が国または公社に対し直接支払を求めることの許否
1 不法行為による損害賠償請求訴訟を認容した判決の既判力の失権効と、不当利得償還請求訴訟 2 後者の訴訟の請求認容の範囲
1 労働契約所定の種類及び範囲外の労務の提供を命ずる配置転換命令の効力 2 労働組合が労働協約により右命令に対し異議申立をしないことと右命令の効力 3 解雇には正当事由を要するか
ドイツ人工業所有権特別措置令に基づいて、登録取消の措置を受けたのと同一の商標について、その承継人が登録を出願した場合、その商標が特別顕著性を有しないものであるときの登録の許否
1 旧商標法における「権利不要求」の法律的意味 2 石鹸について「タバコヤシガレット」の既登録商標を引用して、「たばこや」の商標の登録を拒絶するに当り、権利不要求の注記がある場合と類否の判断
1 自賠法3条但書の免責が認められた事例 2 民法第715条第2項のいわゆる代理監督者責任の成否(消極例、積極例) 3 死者本人の慰藉料の相続が否定された事例
1 1日6時間労働制の労働者の時間外労働と、三六協定 2 一般的時間外労働契約のあるとき、労働者は時間外労働の命令を拒否できるか 3 当事者でない労働組合に保証を立てさせた例 4 期間の定める労働契約の賃金仮払を命ずるに当り終期を明示した例
1 盗犯等の防止及び処分に関する法律第3条にいう「此等ノ罪」に従犯が含まれるか 2 同法第3条に該当する常習累犯窃盗の一罪として起訴された数個の窃盗犯行の中間に同種の窃盗罪の確定判決が存在する場合の措置
1 刑訴法第321条第1項第2号前段の趣旨と憲法第37条第2項 2 刑訴法第321条第1項第2号前段の書面に関する信用性の情況的保障の判定
母が土地を買受け、またその費用で建物を建築したが、三男または長女の名で所有権移転または保存の登記をした場合は、母がその取得した不動産の所有権をこれらの子に移転したと認めるのが相当である
1 会社取締役に「職務を行うにつき」重大な過失があったものと認められた事例 2 傷害事故における被害者の妻に対し、その受けた精神的苦痛が夫の死亡に殆んど匹敵するものとして慰藉料請求権を認めた事例 3 弁護士費用の請求を否定した事例 4 商法266条の3による取締役の責任の時効期間は、一般債権の時効規定により10年と解すべきである
1 仮登記後になされた競売申立記入登記権利者に対し、右仮登記に基づく本登記手続承諾義務の履行を命じた事例 2 強制執行請求権が濫用であるとして仮登記権利者からの第三者異議が認容された事例
手形行為が詐欺を理由として取り消さるべきことを過失により知らなかった手形取得者について、不法行為の成立が否定された事例
1 堅固建物が存在する場合と借地条件変更申立 2 借地条件変更に伴う付随処分として更地価格の10%に当る金銭の支払を命じた事例
1 建物の構造に関する借地条件変更申立を認容した事例 2 右借地条件変更に伴う付随処分として更地価格の約11%に当る金銭の支払を命じた事例
1 建物の構造に関する借地条件変更申立を認容した事例 2 右借地条件変更に伴う付随処分として更地価格の5%に当る金銭の支払と、地代の増額を命じた事例
法人の合併の場合、合併法人が納付する被合併法人の清算所得に対する法人税額等に相当する金額は、合併法人が被合併法人の株主等に対し交付する金銭の総額に含まれるか
中華そば麺などを指定商品とする「はごろもロケット」という称呼を有する商標について、「ロケット」の部分も要部であり、「ロケット」の称呼と観念を生ずる引用商標と類似するものとして、その登録を拒絶するのを相当とした事例
1 運動用ベルトなどについての「スポーツ」という登録商標が、すでに登録されている被服などについての「スポート」という商標に類似するとして、その登録を無効とするのを相当とした事例 2 商標の登録を無効とする審決の取消訴訟において、審決時後にされた商標権の一部放棄の事実を顧慮しなかった事例 3 登録商標についての無効理由の存否に関し、指定商品の類否を判断するに当り、商品類別に関する法令の変遷を検討した事例
旧実用新案法による登録出願について、現行法施行ののち拒絶査定不服抗告審判の審決が確定したときは、現行法の規定によって再審の請求をすることができるとされた事例
英文字で「ファミリァ」という構成を有する商標登録出願について、「ファミリー」という既登録商標に類似するとの理由で、これを拒絶するのを相当とし、出願人の援用した過去の取扱事例をもって現在の判断の基準とはなし得ないとした事例
「肉織維の分離方法」および「食肉加工のケーシング破裂及び皺の防止法」に閑する2つの特許権に基づく差止請求において、その権利範囲は、公知公用の方法に属する被告の方法には及ばないとした事例
「錆部に機械的に作用し金属体より錆を除去する装置」に関する特許権について、その特許発朋の技術内容は、出願前公知の技術を含まない特定の技術に限定されるとした事例
新聞記者が、天皇に関して執筆した著作権について、その出版を仲介した人に代理権なしとして、その出版権の存在が否定された事例
破産申立があった後にした商標権の使用許諾契約が破産管財人の否認権の行使によって、その効力を失い、その商標使用行為は商標権の侵害となるとされた事例
1 自己若しくは他人の利益を図る目的に付随して本人の利益を図る目的がある場合と背任罪の成否 2 本人に財産上の損害を加うべきことの未必的認識と背任罪の成否 3 財産上の損害が補填され、または、そのため担保が供されたか否かは、背任罪の成否に影響するか
医師が慢性胃炎の患者に対し麻薬を連続交付した行為を、麻薬取締法27条3項にいう疾病の治療以外の目的で施用のため交付したものと認めた事例
1 外国人登録法3条1項、15条、18条1項1号が、14歳以上の外国人に登録申請を強制していることと憲法14条 2 14歳未満の外国人が本邦に不法入国した場合でも、外国人登録法3条1項(外国人登録令4条1項)にいう「本邦に入ったとき」にあたる 3 外国人の登録申請につき、期待可能性があるとした事例
1 甲事件(住居侵入窃盗未遂)で起訴勾留中の被告人を乙事件(強盗殺人)の被疑者として取り調べることの適否 2 不当に長い拘禁後の自白にあたらないとされた事例
1 法定外選挙運動文書の頒布のための訪問先に於て投票依頼の趣旨を述べた場合と、単にこれを読んでくれと言って文書を配布したに過ぎない場合の戸別訪問罪の成否 2 法定外選挙運動文書領布罪及び戸別訪問罪の共謀共同正犯を否定した事例
1 鉄道公安職員の職務と警察官職務執行法2条の準用の有無 2 鉄道公安職員の職務質問のための任意同行が違法であるとして公務執行妨害罪の成立を否定した事例
1 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条にいう「団体の威力」を示した場合にあたらないと判断した事例 2 軽微な有形力の行使につき、その目的・手段・動機等に照らし実質的違法性を欠き可罰性がないものとした事例
1 ビラ貼についての軽犯罪法違反事件において、公訴権濫用の主張を排斥した事例 2 右事件につき、刑の免除を言渡した事例
交差点で左方道路から来た相手方(自転車)が酩酊していて赤信号を無視し進行したために生じた人身事故について被告人(自動車)に業務上の過失なしとして無罪を言い渡した一事例
道路交通法119条1項2号、43条(指定場所における一時停止)の規定違反の罪につき故意犯ではなく、過失犯であると認めた事例
道路交通法に違反した追越をし被告人車とその前車との間に割り込んでその直後制動をかけた車両に追突した被告人に注意義務違反がないと認めて、無罪を言渡した事例
道路交通法66条の「薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態」には飲酒による場合も含まれるか(消極)