最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 はじめに(第9回迅速化検証結果の公表に当たって)
2 新型コロナウイルス感染症の影響と裁判所の対応
2.1 新型コロナウイルス感染症を巡る社会的事象と裁判所対応の全体像
2.2 東京地家裁本庁における令和2年の月ごとの事件の概況及び裁判所の対応
2.3 検証検討会での議論
2.4 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて
3 地方裁判所における民事第一審訴訟事件の概況及び実情
3.1 民事第一審訴訟事件等の概況
3.1.1 民事第一審訴訟事件全体の概況
3.1.2 個別の事件類型の概況
3.1.2.1 医事関係訴訟
3.1.2.2 建築関係訴訟
3.1.2.3 知的財産権訴訟
3.1.2.4 労働関係訴訟
3.1.2.5 行政事件訴訟
3.2 民事第一審訴訟事件に係る実情調査の結果
3.3 検証検討会での議論
3.4 今後に向けての検討
4 地方裁判所における刑事通常第一審事件の概況及び実情
4.1 刑事通常第一審事件の概況
4.1.1 刑事通常第一審事件全体の概況
4.1.2 裁判員裁判対象事件の概況
4.2 刑事通常第一審事件に係る実情調査の結果
4.3 検証検討会での議論
4.4 今後に向けての検討
5 家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等
5.1 家事事件の概況
5.1.1 家事事件全体
5.1.2 遺産分割事件
5.1.3 婚姻関係事件
5.1.4 子の監護事件
5.2 人事訴訟事件の概況等
5.3 家事事件及び人事訴訟事件に係る実情調査の結果
5.4 検証検討会での議論
5.5 今後に向けての検討
[目次]
第1 はじめに
第2 携帯電話端末の位置情報等を取得するための捜査をめぐる諸問題
1 基地局情報を用いた携帯電話端末の位置探索
2 近時の捜査手法
3 問題点及び検討
第3 証拠物の位置情報取得等を目的とした捜査をめぐる諸問題
1 コントロールド・デリバリー捜査の実情
2 捜索差押許可状請求の現状及び問題点
3 対象貨物に位置追跡装置を取り付ける方法の現状と問題点
第4 携帯電話端末内の情報の取得や分析を目的とした捜査をめぐる諸問題
1 押収した携帯電話端末内の情報確認
2 携帯電話端末のロック解除
第5 リモートアクセスをめぐる諸問題
1 平成23年刑訴法改正
2 電子計算機の差押えにおける電気通信回線で接続している記録媒体からの電磁的記録の複写の処分(リモートアクセスによる複写の処分)
3 現行刑訴法で規定されているリモートアクセスによる複写の処分の限界
4 リモートアクセスを目的とする再度の差押え,検証によるリモートアクセスの可否
5 アクセスするサーバが国外にある(可能性のある)場合の問題点
特別区議会議員選挙に係る当選人甲の当選無効の決定の取消しを求める請求及び同決定に対する審査の申立てを棄却するとの裁決の取消しを求める請求と当選人乙の当選無効を求める請求とでは訴えで主張する利益が共通であるとはいえないとされた事例
1 利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当はその全体が法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)24条1項3号に規定する資本の払戻しに該当するか
2 法人税法施行令(平成27年政令第142号による改正前のもの)23条1項3号の規定のうち資本の払戻しがされた場合の当該払戻し直前の払戻等対応資本金額等の計算方法を定める部分の法適合性
相続人YがAの遺産について相続分を有することを前提とする前訴判決が他の相続人Xとの間で確定し,また,XがYに対してAのXに対する債務をYが法定相続分の割合により相続したと主張してその支払を求める訴えを提起していた場合において,Xが自己に遺産全部を相続させる旨のAの遺言の有効確認をYに対して求める訴えを提起することが信義則に反するとはいえないとされた事例
集団送還の方法により強制送還した入国管理局の職員の一連の行為が難民不認定処分に対する異議申立棄却決定後に取消訴訟等を提起する意思を示していた被退去強制者の難民該当性に関する司法審査の機会を実質的に奪ったとして国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
1 教育委員会が中学校の生徒及び保護者を対象に実施したいじめに関するアンケートの回答結果をまとめた文書について情報公開条例に基づき部分開示が認められた事例
2 教育委員会が中学校の生徒及び保護者を対象に実施したいじめに関するアンケートの回答結果をまとめた文書を不開示とした教育委員会教育長の判断に国家賠償法1条1項の違法があるとされた事例
大学の学部廃止に伴う解雇の有効性につき,原告らの所属学部及び職種が廃止学部の大学教員に限定されていたか否かは解雇の効力を判断する際の一要素にすぎないとした上,人員削減の必要性,解雇回避努力,再就職の便宜を図るための措置,解雇手続の相当性等を総合考慮して,解雇を無効とした事例
白内障手術を受けた後,左眼失明に至った症例について,患者の病態やこれを踏まえた患者への説明内容等についてカルテの改ざんを認めた上,失明のリスク等についての医師の説明義務違反及びこれと左眼失明の間の相当因果関係を認め,後遺症慰謝料のほかカルテの改ざんに係る慰謝料等の賠償を命じた事例
大手事業者が保有した2000万人以上の顧客の氏名,住所等の個人情報流出(情報漏えい)事件につき,当該事業者,顧客情報システムの開発を受託した関連会社の各不法行為責任が肯定され,1人1000円の慰謝料等が認められた事例
くも膜下出血のため入院していた患者が,入院中に低酸素脳症をきたしていわゆる植物状態になり,その後に死亡したことについて,看護師に生体情報モニタのアラーム設定の確認が不十分であった過失があったとして,損害賠償請求が認容された事例
1 会社の代表権を欠く者による訴えの提起であるとされた事例
2 訴え提起後に会社の過半数の取締役が会社の業務として,当該訴えに係る訴訟を弁護士に委任してその委任状を当該過半数取締役が作成することを決定したとしても,その決定が直ちに対外的な業務執行権の行使に該当するものではなく,当該過半数取締役が代表取締役に代わって対外的な業務執行を行使する権限を有するものではないとされた事例