最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
第1 問題の所在
第2 処分の効力が遡及する場合等
第3 申請型義務付け訴訟の違法判断の基準時
1 はじめに
2 学説の状況
3 裁判例
4 検討
第4 補足
1 新たな処分がされるまでに生じた撤回事由
2 訴えの利益との関係
[目次]
第1 電磁データを保存した記録媒体の差押え等について
1 記録媒体と電子計算機
2 記録媒体の差押えの執行方法
3 ネットワークに接続している電子計算機の差押え
4 差押え等された記録媒体から消去された電磁データの復元
第2 携帯電話に関する令状について
1 利用履歴(=通話明細表)の取得
2 位置情報の取得
地方公共団体の男性職員が勤務時間中に訪れた店舗の女性従業員にわいせつな行為等をしたことを理由とする停職6月の懲戒処分に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとした原審の判断に違法があるとされた事例
雇用契約において時間外労働等の対価とされていた定額の手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
訴訟当事者に判決の内容が了知されず又は了知する機会も実質的に与えられなかったことにより不服申立ての機会が与えられないまま確定した外国裁判所の判決に係る訴訟手続と民訴法118条3号にいう公の秩序
1 外科医師と勤務先病院との間で,職種限定合意の成立が認められた事例
2 外科医師を消化器外科部長等の職から解任し,がん治療サポートセンター長に任命する配置転換命令及び外科の一切の診療に関与することを禁止する命令について,いずれも無効であると判断された事例
1 破産会社からの事業譲渡が,無償行為否認(破産法160条3項)の対象になるとされた事例
2 本来の弁済期が支払不能よりも前に到来する債務に対する期限前弁済が,非義務行為として,偏頗行為否認(破産法162条1項2号本文)の対象になるとされた事例
児童相談所長である原審申立人が,児童らについての引き続いての一時保護の承認を求めた事案において,児童らの父母である抗告人らによる監護状況は,劣悪であり,児童らの福祉を著しく害するもので,児童らの安全を確保し適切な保護を図る必要性があり,また,児童らが多数である上,児童らの中には,学力遅滞の程度が著しく,あるいは,精神疾患や発達遅滞が窺われる者も含まれており,その抱える問題も深刻であるため,児童らの心身の状況,その置かれている環境その他の状況を把握する必要性もあることから,引き続き一時保護を行う必要性が認められるとして,引き続いての一時保護を承認した原審判を相当とし,抗告を棄却した事例
離婚後に再婚し,再婚相手の子らと養子縁組をした義務者からの養育費減額申立てについて,事情の変更があったとして,離婚に際し公正証書において合意した養育費の減額を認め,上記合意の趣旨,再婚相手の収入などを考慮して養育費の額を算定した事例
GPS機能付き電子機器を被害者使用自動車に取り付け,その機器を利用して位置情報を繰り返し探索取得した行為が,ストーカー行為等の規制に関する法律2条1項1号の「通常所在する場所」付近でなされた「見張り」に該当しないとされた事例
東日本大震災による住宅の被害を大規模半壊とするり災証明書の発行を受けた者に対し,被災者生活再建支援法人が,被災者生活再建支援法の規定に基づく支援金の支給決定をしたが,その後住宅の被害の程度が一部損壊に修正され,支給要件を欠くこととなったことにより当該支給決定を取り消したことが違法であり無効であるとして,支給済みの支援金に係る不当利得返還請求が棄却された事例
1 刑事施設において被収容者が発信する信書の発送手続が完了した場合における刑事施設の長による当該信書の発信許可処分の取消しを求める訴えの利益
2 過去に刑事施設の被収容者から信書の発信を受けた者が,今後当該被収容者から当該者宛てに発信される郵便物について,刑事施設の長においてその発信を許可することの差止めを求める訴えが不適法とされた事例
1 死刑確定者及びその再審請求のために選任された弁護人が再審請求に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会の申出をした場合に,これを許さない刑事施設の長の措置が「死刑確定者の心情の安定を把握する必要性が高いと認められる」とはいえないとして,国家賠償法1条1項の適用上違法とされた事例
2 死刑確定者が代理人弁護士との間で自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関する救済を求める訴訟に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会の申出をした場合に,これを許さない刑事施設の長の措置が国家賠償法1条1項の適用上違法とされた事例
3 死刑確定者及びその再審請求のために選任された弁護人が再審請求に向けた打合せをし,又は死刑確定者が代理人弁護士との間で自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関する救済を求める訴訟に向けた打合せをするために,刑事施設の職員の立会いのない面会の明示の申出がされなかった場合に,面会に刑事施設の職員の立会いをさせた刑事施設の長の措置が国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
4 死刑確定者に対する刑事施設の長の措置その他死刑確定者が受けた処遇に関する救済を求める訴訟における死刑確定者の代理人弁護士が死刑確定者との間で同訴訟に向けた打合せをするために刑事施設の職員の立会いのない面会をする固有の利益はない
5 死刑確定者とその再審請求のために選任された弁護人又は自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関する救済を求める訴訟の遂行を委任した代理人との面会においてパソコンの使用を認めなかった刑事施設の長の措置が国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
業務委託先の従業員が個人情報を漏えいしたことについて,委託元の個人情報取扱事業者が,業務委託先においてMTPスマートフォンを対象とする書き出し制御システムを採用していなかったこと等を理由とする不法行為責任を負わないとされた事例
1 個別検診方式で胃がん検診を担当した医師に,受診者に対し速やかにエックス線検査の結果を通知して受診指導をすべき注意義務違反が認められた事例
2 死亡時点でなお生存していた相当程度の可能性の侵害が認められた事例
建売住宅の不同沈下が発生したのは,適切な地盤改良又は基礎選定が行われず,周辺で発生した地盤沈下に対処することができなかったことが原因であるとして,建築販売業者に瑕疵担保責任が認められた事例
児童相談所長である申立人が,児童福祉法28条1項に基づき,事件本人の心理治療施設への入所を承認するように求めた事案において,利害関係参加人である実父及び養母による虐待は認められないものの,実父の事件本人に対する強圧的な接し方により,自閉症スペクトラムの傾向がある事件本人が実父に著しい恐怖を抱き心的外傷を負っていること,利害関係参加人らがこの点を理解しないまま事件本人に接する可能性が極めて高いことを総合すると,利害関係参加人らに事件本人を監護させることは著しく事件本人の福祉を害するとして申立てを認容した事例
少年が満20歳に達したことを理由とする検察官送致決定に伴うみなし勾留に関する準抗告について,勾留の必要性が認められないとして,検察官送致に当たり観護措置を取り消さなかった措置を取り消した上で,観護措置を取り消した事例