最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
第1 はじめに
1 租税犯の意義とほ脱犯の保護法益
2 本稿の構成
第2 ほ脱犯の実行行為について
1 「偽りその他不正の行為」の意義について
2 ほ脱犯の実行行為と本設問との関係について
3 包括説及び制限説について
4 若干の検討
第3 ほ脱犯の主体について
1 「 使用人その他の従業者」は申告納税事務を担当する者に限られるかについて(本設問のA,Bの罪責について)
2 両罰規定について
3 「その他の従業者」の意義について
4 「 従業者」に加功した被身分者の擬律について(本設問のYの罪責について)
5 業務主の責任について(本設問のXの罪責について)
第4 補論
1 ほ脱犯の故意について
2 訴訟条件としての告発について
3 最後に
勤労収入についての適正な届出をせずに不正に保護を受けた者に対する生活保護法(平成25年法律第104号による改正前のもの)78条に基づく費用徴収額決定に係る徴収額の算定に当たり基礎控除の額に相当する額を控除しないことの適否
1 普通地方公共団体の財産の譲渡又は貸付けが適正な対価によるものであるとして議会に提出された議案を可決する議決をもって地方自治法237条2項の議会の議決があったといえる場合
2 普通地方公共団体の財産である土地の譲渡が適正な対価によるものであるとして議会に提出された議案を可決する議決をもって地方自治法237条2項の議会の議決があったとされた事例
1 被害者の行使する自賠法16条1項に基づく請求権の額と労働者災害補償保険法12条の4第1項により国に移転して行使される上記請求権の額の合計額が自動車損害賠償責任保険の保険金額を超える場合に,被害者は国に優先して損害賠償額の支払を受けられるか
2 自賠法16条の9第1項にいう「当該請求に係る自動車の運行による事故及び当該損害賠償額の確認をするために必要な期間」の意義及びその判断方法
不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があるとされた事例
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条5号の危険運転致死傷罪の共同正犯が成立するとされた事例
被告人を殺人及び窃盗の犯人と認めて有罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
1 消費者金融業等を営む会社が,利息制限法所定の制限利率を超える利息及び遅延損害金に係る収益の額を益金の額に算入して確定申告をしていたところ,同社につき破産手続が開始し,同手続において多額の過払金返還請求権が破産債権者表に記載されることにより確定したことを理由に,破産管財人が破産会社の過年度の決算を遡って減額修正する会計処理をしたことは,法人税法22条4項所定の公正処理基準に合致し是認されるべきであったから,過年度の確定申告(に係る課税標準等の計算)が国税に関する法律の規定に従っていなかったことにより納付すべき税額が過大であったことになるとして,国税通則法23条1項1号所定の要件を満たすとされた事例
2 上記過払金返還債務が確定判決と同一の効力を有する破産債権者表への記載により,破産会社に生じていた経済的成果が失われたか又はこれと同視すべき状態に至ったと解すべきであり,確定申告に係る課税標準等の計算の基礎となった事実と異なることが確定したというべきであるとし,国税通則法23条2項1号所定の後発的事由に当たるとされた事例
1 専属的管轄合意に反して他の法定管轄裁判所に訴えが提起され,被告から,管轄違いを理由とする専属的合意管轄裁判所への移送申立てがされたにもかかわらず,当該法定管轄裁判所が自ら審理することができる場合
2 専属的管轄合意に反して他の法定管轄裁判所に訴えが提起された場合において,管轄違いを理由とする専属的合意管轄裁判所への移送申立てを却下した原決定を取り消し,専属的合意管轄裁判所への移送が認容された事例
電子メールや書簡による交渉の結果,契約の成立が主張されたが,電子メールや書簡の内容や,当事者のその後の態度から,契約の成立が否定された事例
相手方が,元夫である抗告人との間の未成年者につき,その親権者を抗告人から相手方に変更するよう求めた事案において,親権者変更の必要性について,抗告人と相手方は真意に基づいて未成年者の親権者を抗告人と定めて離婚する旨合意しており,その後の抗告人による未成年者の監護状況も未成年者の福祉に適ったものであるなどと認定した上で,相手方が未成年者の出生から抗告人との離婚に至るまで,未成年者の主たる監護者であったといえることや,離婚後,相手方に一定の事情の変更があったこと等を考慮しても,抗告人と相手方が合意に基づいて親権者を抗告人と定め,抗告人の下で安定した状況にある未成年者の親権者を変更する必要性は認められないとして,親権者を相手方に変更した原審判を取り消し,申立てを却下した事例
1 金融商品取引業者等を名宛人とする金融商品取引法64条の5第1項の規定による外務員の登録を取り消す旨の処分の取消訴訟と当該外務員の原告適格
2 上場会社等による公募増資の実施の公表が特定の日らしいとの趣旨の当該公表前の推測情報の,金融商品取引業等に関する内閣府令1条4項14号所定の法人関係情報該当性
3 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成26年内閣府令第7号による改正前のもの)117条1項14号にいう顧客に対する勧誘行為があったといえるための要件
4 金融商品取引業者等を名宛人とする金融商品取引法64条の5第1項の規定による外務員の登録を取り消す旨の処分の取消訴訟を当該外務員が提起した場合における,当該処分が行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法の行政事件訴訟法10条1項にいう「自己の法律上の利益に関係のない違法」該当性
5 金融商品取引法64条の5第1項2号に基づき,金融商品取引業等に関する内閣府令(平成26年内閣府令第7号による改正前のもの)117条1項14号所定の行為があったとしてされた外務員の登録を取り消す旨の処分が,行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとされた事例
退任した監査役が,①当時の代表取締役には同監査役に退職慰労金を支給する旨の議案を株主総会に提出する義務があるにもかかわらず,または,②当時の代表取締役が同議案を株主総会に提出しないことが信義則違反ないし権利濫用に当たるにもかかわらず,当時の代表取締役が故意又は過失により同議案を削除し,株主総会に提案しなかったことが不法行為にあたるとして会社と当時の代表取締役であった者に対する損害賠償請求に理由がないとされた事例
原告と被告との間には不起訴の合意を含む和解契約が成立しており,錯誤無効でも公序良俗に反し無効であるともいえないとして,原告の被告に対する損害賠償請求が却下された事例
食肉加工品の製造販売等を業とする会社の商号の使用を許諾して鮪の売買がされた場合に,会社法9条の責任があるとされた事例
女児に対するわいせつ略取誘拐,強制わいせつ致死,殺人,死体遺棄被告事件において,DNA型鑑定から犯人性を認定した上,被告人を無期懲役に処した事例