最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
第1 はじめに
第2 譲渡禁止特約に関する一般的な理解
1 趣旨等
2 譲渡禁止特約の効力
3 譲渡禁止特約に反した場合の効果
4 債務者の承諾
第3 無効を主張することができる者についての考え方の視点
1 無効の法的性質との関係
2 譲渡禁止特約に対する批判
3 平成21年判決以前の判例の考え方
第4 平成21年判決について
1 平成21年判決
2 事案の概要等
3 判示内容
4 平成21年判決の理解等
5 検討
6 平成21年判決以降の下級裁判所の判断
第5 無効を主張することができる者についての個別的検討
1 前提
2 差押債権者
3 破産管財人
4 二重譲渡の善意・無重過失の譲受人
5 まとめ
第6 いわゆる債権法改正との関係について
1 債権譲渡についての主な改正点(本稿に関連する部分に限る。)
2 無効を主張することができる者の議論との関係
3 経過規定
[目次]
第1 はじめに
第2 事案と各判断の概要
第3 現住建造物等放火の故意の認定
第4 現住建造物等放火の故意の認定における被告人の精神障害,知的障害等の影響
第5 現住建造物等放火の故意の有無が争点となる事案における公判前整理手続の在り方
医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていたとしても,当該年俸の支払により時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということはできないとされた事例
破産債権者が破産手続開始後に物上保証人から債権の一部の弁済を受けた場合における,破産手続開始時の債権の額を基礎として計算された配当額のうち実体法上の残債権額を超過する部分の配当方法
会社法179条の4第1項1号の通知又は同号及び社債,株式等の振替に関する法律161条2項の公告がされた後に会社法179条の2第1項2号に規定する売渡株式を譲り受けた者が,同法179条の8第1項の売買価格の決定の申立てをすることの可否
1 組織的な詐欺に受領役として関与していた被告人に,包括的な事前共謀の成立を認めなかった事例
2 詐欺未遂罪における構成要件該当事実のうち財物交付の部分のみに関与した被告人につき,同罪の承継的共同正犯が成立しうるとした事例
3 犯行に加担した時点でいわゆる「騙されたふり作戦」が開始されていても,詐欺未遂罪の成否には影響しないとされた事例
原決定時20歳の者に係る施設送致申請事件において同人を第1種少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告について,原決定の判断を正当とし,同人の資質上の問題の根深さ等を指摘して,抗告を棄却した事例
千葉県青少年健全育成条例30条の規定が「この条例に違反した者が青少年であるときは,この条例の罰則は,青少年に対しては適用しない。」と定める趣旨
労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項所定の事業に該当する事業(いわゆるメリット制の適用を受ける事業)に従事する労働者について業務災害に関する保険給付等に係る支給処分がされたことを前提として,当該事業の事業主に対し,同法19条4項に基づく労働保険料の額の決定処分がされている場合に,当該決定処分の取消訴訟において,当該事業主が上記支給処分の違法を当該決定処分の取消事由として主張することの可否
ヒト細胞として大学に納品された細胞が納品時点でヒト細胞ではなかったとして,契約の直接の相手方ではない細胞製造販売業者である被告に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を認めた事例
精神科病院に任意入院していた患者が,退院の意思表示をしたにも拘わらず,病院側が正当な理由なく拒み,または,不十分な説明により患者の意思のみで退院できないかのように誤信させ,あるいは病院の代表者(管理者)が職員に対して退院手続について適切な指示をしなかった行為により,意に沿わない入院を継続させられたとして,損害賠償金(慰謝料等)を請求したのに対し,病院側が,退院の意思表示はなされたものの,撤回されたなどと争った事案について,3度行われた退院の意思表示のうち,最終のものは撤回されたとは認められないと判示した上,病院側は,任意入院者から退院の申出があった場合にはその者を退院させることを義務付けられており,精神科病院の管理者(医師)は,同申出があった場合には,退院させるべき注意義務等を負っているとして,医療法68条,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条に基づく患者の請求を一部認容した事例
1 粉飾決算に基づく虚偽の有価証券届出書を提出した会社の取締役及び監査役について,当該有価証券届出書に基づく募集・売出しに応じ,又は取引所市場において株式を取得した者に対する金商法21条1項1号,22条1項の責任を肯定した事例
2 粉飾決算に基づく虚偽の有価証券届出書を提出した会社の株式の募集・売出しにおいて元引受契約を締結した証券会社のうち,主幹事証券会社については当該募集・売出しにより株式を取得した者に対する金商法21条1項4号,17条の責任を肯定したが,主幹事証券会社以外の証券会社については,同法21条2項3号,17条ただし書による免責を認め,責任を否定した事例
3 粉飾決算に基づく虚偽の有価証券届出書を提出した会社の株式の売出しに係る株式の所有者について,金商法21条2項1号による免責を認め,同条1項2号の責任を否定した事例
4 多額の粉飾決算を行っている上場申請会社の上場を承認した証券取引所及びその自主規制法人について,上場審査における注意義務違反を否定し,上場に伴う株式の募集・売出しに応じ,又は取引所市場において株式を取得した者に対する不法行為責任を否定した事例
1 自動車のナンバープレートに表示される地域名として「世田谷」を導入することを要望した被告世田谷区の区長及び職員らの行為につき,国土交通省の定める要綱の性質上,職務上の法的義務を根拠付けるものではないことから,当該区長及び職員らの行為が当該要綱に反することを理由として,職務上の法的義務違反を認めることはできないし,当該行為により原告らのプライバシー,平穏な生活,その他法的利益を侵害されたものとも認めることはできないとした事例
2 被告世田谷区の区長の実施したアンケート調査が不適当なものであり,世田谷区の住民として,直接精神的苦痛を受けたとの原告らの主張を排斥し,請求を棄却した事例
1 女性被告人が,共犯者と共謀の上,自己ほか2名の女性器をかたどった石膏ようのもの3点をアダルトショップに展示したわいせつ物陳列の事案につき,色,装飾を含めた全体の形状,触感等から,直ちに女性器を連想させるものとはいえず,性的刺激の程度は限定的で,また一定の芸術性・思想性を有する造形物であって,芸術性や思想性による性的刺激の緩和を認められるとして,わいせつ性を否定し,無罪を言い渡した事例
2 同被告人が,不特定の者に対し,自己の女性器の三次元形状データファイルの保存先のURL情報等を送信し,これにアクセスした相手方のパソコンに前記ファイルを送信させ,記録・保存させて再生・閲覧可能な状況を設定させた(わいせつ電磁的記録等送信頒布)ほか,不特定の者に対し,同データが記録されたCD-Rを郵送して販売した(わいせつ電磁的記録記録媒体頒布)という事案について,女性器の各部分や,女性器周辺部分についての形状が立体的かつ忠実に再現されており,色や感触に関するデータを含んでいないとしても,閲覧者の性欲を強く刺激するものであり,表現された思想と表象との関連性を一見して読み取ることは困難であるから芸術性・思想性による性的刺激の緩和の程度も大きく評価できないとして,わいせつ性を肯定し,有罪を言い渡した事例
恐喝保護事件において,少年を第1種少年院に送致するとともに,少年の年齢や進学の機会を考慮して,比較的短期間(10月程度)の処遇勧告を付した事例