最も長い歴史をもつ判例実務誌
最高裁判所は,裁判の迅速化に関する法律(平成15年法律第107号。)8条1項に基づき,裁判の迅速化に係る検証(以下「迅速化検証」という。)に関する報告書を,平成17年7月から平成27年7月まで,2年ごとに6回にわたり公表したが,平成29年7月21日,第7回の検証結果を公表した。本稿においては,その概要の一部を紹介する
1 はじめに(第7回迅速化検証結果の公表に当たって)
2 地方裁判所における民事第一審訴訟事件の概況及び実情
3 地方裁判所における刑事第一審訴訟事件の概況等
4 家庭裁判所における家事事件の概況及び実情並びに人事訴訟事件の概況等
第1 はじめに
1 福岡地裁における従前の取組ー新福岡プラクティスー
2 本稿の内容・目的ー新福岡プラクティスの具体化の一方法としての両期日の取組ー
第2 口頭協議活性化に向けた取組に至る経緯,取組の内容
1 取組に至る経緯
2 取組の内容
3 取組の実施状況
4 裁判官側,代理人側の評価
第3 両期日の取組の課題とその対応策
1 課題
2 対応策
第4 おわりに
第1 はじめに
第2 政務活動費の制度の概要
1 政務調査費の制度の創設とその変遷等
2 政務活動費に関する条例等における具体的な定めの例
第3 政務調査費に関する判例
1 政務調査費の趣旨
2 「会派が行う」の意味等
3 「 調査研究に資するため必要な経費」への該当性の判断基準
4 住民訴訟の訴訟費用を政務調査費から支出することの適否
5 政務調査費とは別に議員活動に関する補助金を支給することの可否
第4 政務活動費に関する住民訴訟における主な論点
1 返還を求める請求に係る法的権利(請求権)の選択
2 政務活動費の支出の適法性の判断基準
3 主張立証責任の分配等
4 附帯請求の処理
5 その余の論点
第5 政務調査費に係る支出の費目別の適否に関する裁判例の傾向
1 はじめに
2 調査研究費-調査旅費
3 資料購入費その1-新聞
4 資料購入費その2-書籍
5 資料購入費その3-物品一般
6 事務所費-賃料及び水道光熱費
7 事務費-通信費
8 人件費
9 まとめ
第6 終わりに
銀行が,輸入業者の輸入する商品に関して信用状を発行し,当該商品につき譲渡担保権の設定を受けた場合において,上記輸入業者が当該商品を直接占有したことがなくても,上記輸入業者から占有改定の方法によりその引渡しを受けたものとされた事例
1 出願人が特許出願時に容易に想到することができた他人の製品等に係る構成を特許請求の範囲に記載しなかっただけで,同製品等が特許請求の範囲から意識的に除外されたなどの同製品等と特許請求の範囲に記載の構成とが均等なものといえない特段の事情が存するといえるか
2 出願人が特許出願時に容易に想到することができた他人の製品等に係る構成を特許請求の範囲に記載しなかったときにおける,同製品等が特許請求の範囲から意識的に除外されたなどの同製品等と特許請求の範囲に記載の構成とが均等なものといえない特段の事情が存する場合
公訴時効を廃止するなどした「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)の経過措置を定めた同法附則3条2項と憲法39条,31条
網膜剥離を発症して1眼を失明した患者について,担当医師が適切な時期に転送義務を果たしていたとしても,患者に重大な後遺症が残らなかった相当程度の可能性を認めることはできないとして,損害賠償責任が否定された事例
審決取消訴訟において,無効審判請求における従たる引用例を主たる引用例とし,無効審判請求における主たる引用例を従たる引用例とする新たな無効理由に係る主張について,審理判断することが許されるとされた事例
被告人が,専ら被害者の子の就学する学校の校長宛ての手紙を手渡す目的で,学校を訪れ,正門から敷地内に入り,エントランスロビー内で手紙を教頭に渡した後,教頭に見送られて,学校を後にするまで約8分間にわたり学校の敷地内に所在した行為について,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律10条3項の「はいかい」には当たらないとされた事例
「人又は車の通行を妨害する目的」(平成25年法律第86号による改正前の刑法208条の2第2項前段)があるとされる場合
被告人が,大型貨物自動車を運転し,信号機による交通整理の行われている交差点を左折進行し,横断歩道上を自転車で走行していた被害者に自車を衝突させて転倒させるなどして死亡させたという事案において,被害者の自転車が自車左側方部の死角の範囲内と範囲外の境界線付近にいたことまでしか証拠上認定できないとして,・自車の死角の範囲内の安全確認等の注意義務を怠った過失と・死角の範囲外で横断歩道上の安全確認等の注意義務を怠った過失を択一的に認定した原判決は,過失の内容が特定されておらず,罪となるべき事実の記載として不十分である上,確信に至らなかった犯情の重い過失を認定しており「疑わしきは被告人の利益に」の原則に照らして許されず,理由不備の違法があるとされた事例
被告人が,自宅で両親を殺害後,自宅に放火したとされる事案で,被告人を無罪とした原判決には,父親が何者かに殺害されたことを認めなかった点で事実の誤認があるものの,被告人を殺人及び放火の犯人と認めるにはなお合理的な疑いが残るので,上記の事実誤認は判決に影響を及ぼさないとして,原判決の無罪の結論が是認された事例
水俣病の補償協定について,水俣病の認定を受けた者であれば,不法行為に基づく損害賠償請求権の金額が判決によって確定したものであっても,その適用を求めることができるとした事例
1 バイク転倒事故の原因が,当該バイクのレギュレータの遮熱不十分によりバッテリー上がりが生じて突然のエンジンストップが生じるという不具合にあり,当該不具合は製造物責任法上の欠陥に該当するとしたうえで,5割の過失相殺をして,当該バイクを輸入した業者に対する同法に基づく損害賠償請求を一部認容した事例
2 雑誌出版社に対する情報提供者の情報提供行為と記事の掲載との相当因果関係及び共同不法行為の成立を否定した事例
出生届に用いた子の名の漢字が,戸籍法施行規則60条に定める文字の範囲に含まれていないことを理由に不受理とした市町村長の処分に対する不服申立事件について,当該漢字は,社会通念に照らして,戸籍法50条1項にいう常用平易な文字であるとまでは認められないとして却下した事例