最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
1 問題の所在
2 財務会計上の行為の違法
3 住民訴訟における違法性の承継を巡る議論
4 最高裁判例の動向
5 違法性の承継に関する判例法理の要約
[目次]
第1 はじめに
第2 裁判例の紹介
1 数次の法定相続の登記に関して登記官の処分が取り消され,後に登記実務の取扱いが変更されたもの(「他に相続人がない」旨の証明書の要否が争われた事例―奈良地裁平成27年12月15日判決・LLI/DB判例秘書搭載)
2 遺産分割の可否に関する判断が示され,後に登記実務の取扱いが明確化されたもの(いわゆる一人遺産分割の可否が争われた事例―東京地裁平成26年3月13日判決・金法2010号75頁)
3 遺言に基づく登記の申請に対する登記官の処分が取り消されたもの(いわゆる後継遺贈の効力が争われた事例―福岡地裁平成27年4月13日判決・LLI/DB判例秘書搭載)
第3 おわりに
[目次]
第1 はじめに
1 本報告書作成の経緯
2 本報告書の目的
3 テーマ設定の理由
(1) 口頭主義を補完する書面の重要性(充実した口頭協議を実現するための充実した書面)
(2) 新人弁護士を取り巻く環境の変化に対する不安感
(3) 当事者の裁判所へのもたれかかりの解消
第2 新人弁護士でもできる書面上の工夫(ささやかな取組)
1 取組内容
(1)民事事件(民事訴訟)に関する取組
ア 目標設定
(ア)Nコートモデル
(イ) 労働審判事件における口頭主義を活かした運用
イ 具体的な工夫
(ア) 訴状,事情説明表(第1回口頭弁論期日)
(イ)答弁書(第1回口頭弁論期日)
(ウ)「 充実した口頭協議を行うための準備書面」(第1回口頭弁論期日~第1回弁論準備手続期日)
(エ) 主張対照表を兼ねた時系列表(争点整理の中盤~終盤)
(2) 家事事件(家事調停,家事審判,人事訴訟)への応用
ア 家事調停事件
イ 家事審判事件(別表第2事件)
ウ 人事訴訟事件
2 取組によってもたらされた変化について
(1)報告者の業務の変化
ア 訴え提起前の事前準備の充実化
イ 第1回口頭弁論期日,第1回弁論準備手続期日の充実化
ウ 書面の変化
エ 他業務の効率化
(2)依頼者の変化
ア 信頼関係の強化
イ 依頼者の代理人弁護士に対するもたれかかりの解消
(3)裁判所の変化
ア 第1回口頭弁論期日,第1回弁論準備手続期日の充実化
イ 次回期日指定の間隔の短縮化
ウ 和解勧試の時期及び内容の変化
エ 証拠調べの充実化
オ その他
(4)相手方の変化
ア 相手方の代理人弁護士の変化
イ 相手方に代理人弁護士が就いていない本人訴訟における変化
第3 おわりに(報告者自身の今後の課題)
1 争点整理手続に対する代理人弁護士の意識改善に向けた努力
(1)準備書面等の提出期限の遵守
(2) 民事訴訟実務を改善する意欲を維持すること
(3) 争点整理手続により積極的に参加する意欲を持つ新人弁護士を増やすこと
2 口頭協議の定着化に向けた努力
3 わかりやすい手続の重要性(裁判員裁判からの影響)
4 当事者本人の「気持ち」を置き去りにしない手続の重要性(特に家事事件)
第4 参考文献
民事訴訟の争点整理手続の充実に向けた取組について
1 京都府風俗案内所の規制に関する条例(平成22年京都府条例第22号)3条1項,16条1項1号と憲法22条1項
2 京都府風俗案内所の規制に関する条例(平成22年京都府条例第22号)7条2号と憲法21条1項
私立大学の教員に係る期間1年の有期労働契約が3年の更新限度期間の満了後に期間の定めのないものとなったとはいえないとされた事例
地上建物に対する仮差押えが本執行に移行して強制競売手続がされた場合において,土地及び地上建物が当該仮差押えの時点で同一の所有者に属していたが,その後に土地が第三者に譲渡された結果,当該強制競売手続における差押えの時点では同一の所有者に属していなかったときの法定地上権の成否
1 刑の執行猶予の言渡し取消し請求において刑訴規則34条により刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達を受けるべき者
2 刑の執行猶予の言渡し取消し請求における被請求人が選任した弁護人に対する刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達の効果
1 情報源を公にしないことを前提とした報道機関に対する重要事実の伝達と金融商品取引法施行令(平成23年政令第181号による改正前のもの)30条1項1号にいう「公開」
2 情報源が公にされることなく会社の意思決定に関する重要事実を内容とする報道がされた場合における金融商品取引法(平成23年法律第49号による改正前のもの)166条1項によるインサイダー取引規制の効力
NHKとの間で有期の委託契約を締結し放送受信契約の取次等の業務に従事する者が,労働契約法上の労働者に該当せず,業績不良を理由とする上記委託契約の中途解約について,同法17条1項は適用も類推適用もされないとされた事例
県知事から営業停止の勧告及び営業許可取消しの処分を受けた事業者が,勧告及び処分は国家賠償法1条1項の適用上違法であると主張して,県に対し,国家賠償法1条1項による損害賠償請求権に基づき,損害金の支払等を求めた事案において,勧告による損害に係る賠償請求権については勧告を受けた日の翌日を起算点とする時効により,処分による損害に係る賠償請求権については処分を受けた日の翌日を起算点とする時効により,いずれも消滅したとして,請求がすべて棄却された事例
損害保険契約の約款に規定されている代理請求制度に基づく保険金の請求に対して,保険金の支払をした保険会社が約款の規定により免責されるとされた事例
相手方が,抗告人に対し,相手方と未成年者らが面会交流する時期,方法などにつき定めることを求めた事案において,抗告人が当事者参加人と再婚し,当事者参加人と未成年者らが養子縁組をして,抗告人と当事者参加人が未成年者らと共に新しい家庭を構築する途上にあるとしても,相手方との面会交流を認めることは未成年者らの福祉に適うとして,相手方と未成年者との面会交流を認めた事例
被告人が,家族に対する殺意をもって自宅に放火して全焼させ,妻及び子1名を死亡させて殺害したが,他の1名は避難したため殺害の目的を遂げなかったとして起訴された事案において,被告人が外出した後に,妻が解離性障害等の影響により放火をした具体的な可能性が認められ,犯人性に合理的な疑いが残るとして無罪とした原判決の認定は,秒単位の所要時間について刑事裁判の基礎とし得るような再現性があるとは認められない燃焼実験に依拠し,煙が上昇しながらたなびくことを考慮せずに当時の風速と同じ速度で水平に移動して防犯カメラの視界に到達することを前提にして,着火行為の終了時刻を算定している点において,論理則,経験則等に照らし不合理であるとともに,妻が放火に及ぶ抽象的,一般的な可能性を指摘したにすぎない精神科医の証言の評価を誤った不合理なものであって,事実誤認があるとされた事例
1 三重県情報公開条例7条2号,3号の「事業を営む個人の当該事業に関する情報」とは,法人等の活動と同様に,特定の目的をもって反復的,継続的に営む個人の活動に関する情報と解するのが相当である
2 露店等を出店するために提出された道路使用許可申請書の申請者及び現場責任者の氏名は,三重県情報公開条例7条2号,3号の「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当する
3 露店等を出店するために提出された道路使用許可申請書の申請者の氏名は,その者が祭りに際して露店等を出店するため,道路使用許可申請を行ったことを,同許可申請書の現場責任者の氏名は,その者が道路使用の許可を受けて出店した露店等の現場全体を管理する権限を有していることをそれぞれ示す情報にすぎないから,三重県情報公開条例7条2号及び3号の非開示情報に該当しない
訴え提起から約20年前に起きた交通事故において,その後高次脳機能障害の後遺障害が生じたとして,被害者である原告が,加害車両の保険者である被告の保険会社に対し,自賠法16条1項に基づいて,保険金額の限度で損害賠償の支払いを求め,一部認容された事例
顧客に代わって顧客の解約通知書を原告に郵送した被告の行為が弁護士法72条本文前段に違反するとまで判断することはできないが,なお,違反すると解する余地がないわけでもないとしたものの,原告と顧客との間の委託契約は既に顧客の解約通知書により解除されており,仮に原告において顧客との間の委託契約が少なくとも5年間にわたり継続する旨を期待していたとしても,それは単なる期待にすぎず,民法709条にいう「権利又は法律上保護される利益」に当たるとはいえないので,いずれにしても原告が主張する損害が発生したとはいえないとして原告の請求を棄却した事例
結婚仲介業者が結婚仲介サービスの会員に対して交付した書面が特定商取引に関する法律所定の要件を満たしておらず,会員が行った同法に基づく解除の意思表示は有効であると認められた事例
税理士法人の社員税理士がその在任中に行った新税理士事務所の開設準備行為につき,顧客に対して顧問契約等を解約して自己が開設する新事務所と顧問契約等を締結するように,違法不当な方法で働きかけたとは認められないとして,社員としての任務懈怠行為にも不法行為にも該当しないとされた事例