最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 市の経営する競艇事業の臨時従業員等により組織される共済会から臨時従業員に対して支給される離職せん別金に充てるため, 市が共済会に対してした補助金の交付が, 地方自治法232条の2所定の公益上の必要性の判断に関する裁量権の範囲を逸脱し, 又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例(①事件)
2 市の経営する競艇事業の臨時従業員等により組織される共済会から臨時従業員に対して支給される離職せん別金に充てるため, 市が共済会に対してした補助金の交付が,その後の条例の制定により遡って適法なものとなるとした原審の判断に違法があるとされた事例(②事件)
1 別荘地の分譲を受けるに当たり締結が義務付けられた, 各分譲地所有者を委任者とし, 管理会社を受任者とする各分譲地の個別的管理及び別荘地の道路, 排水路等の維持管理等の別荘地全体の環境整備等を目的とする管理契約につき, 単純な準委任契約ではないが, 準委任契約に当たる法的性質を有しているとした上で, 受任者である管理会社の利益のためにも締結された契約であるとし, 各分譲地所有者が管理契約の解除権自体を放棄したものとは解されない事情があると認めることはできないとして, 各分譲地所有者がした民法656条, 651条1項に基づく管理契約の解除の効力を否定した事例
2 上記管理契約につき, 民法656条, 653条1号の適用を否定し, 上記管理契約は委任者である各分譲地所有者の死亡によって当然終了しないと判断した事例
被相続人の家業である農業に従事したことを理由とする寄与分を遺産総額の30パーセントと定めた原審判を変更し, 農業に従事したこと以外の寄与を認めることができないことも考慮して, 農地のみの評価額の30パーセントと定めた事例
マキサカルシトール製造方法大合議事件
1 均等の5要件の主張立証責任
2 均等の第1要件における特許発明の本質的部分の認定方法
3 均等の第5要件における「特段の事情」が出願時の特許請求の範囲の記載について認められる場合の判断基準
1 1日目のシフトが深夜に終了し, 2日目のシフトが数時間後に開始する場合において, 時間外割増賃金請求との関係で2日目の労働も1日目から連続した一暦日の労働として実労働時間を算定すべきであるとの原告の主張を認めなかった事例
2 固定残業代の定めの効力を否定した事例
3 約1年余にわたり概ね月80時間以上の時間外労働を放置した使用者に安全配慮義務違反の債務不履行があるとして慰謝料請求を一部認容した事例
使用者との間で期間の定めのある労働契約を締結している定年後再雇用者と期間の定めのない労働契約を締結している正社員との間の賃金に関する労働条件の相違が不合理なものであり, 労働契約法20条に違反するとされた事例
被告の海外グループ会社が製造した演算処理装置の寿命が短いことが製造物責任法にいう「欠陥」に当たるとして同法3条に基づき損害賠償請求がされたが, 請求が棄却された事例
軽度の知的障害, 摂食障害の診断を受けている被告人が窃盗罪の執行猶予期間中に犯した食料品の万引きの窃盗事件について, 前記精神疾患による責任非難の低減等を考慮して再度の執行猶予を付した事例
未成年者が面会交流の場に行くことを嫌がったために, 面会交流の義務を履行しなかったことについて, 今後, 債務者が未成年者に対して適切な指導助言することにより, 未成年者の福祉を害することなく義務を履行することが可能であるなどとして, 間接強制金の支払を定めた事例