最も長い歴史をもつ判例実務誌
拘置所長が死刑確定者から発信を申請された信書を返戻した行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとされた事例
信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分としてされた,上記不動産のうちの信託財産である土地とその上にある固有財産である家屋に係る賃料債権の差押えが,適法であるとされた事例
1 医薬品の製造販売につき,特許権の存続期間の延長登録出願の理由となった承認に先行する承認が存在することにより,上記出願の理由となった承認を受けることが必要であったとは認められないとされる場合
2 医薬品の製造販売につき,特許権の存続期間の延長登録出願の理由となった承認に先行する承認がされている場合において,先行する承認に係る製造販売が,上記出願の理由となった承認に係る製造販売を包含するとは認められないとされた事例
新聞社が,新製品を開発したと称する業者から取材を行い,新聞紙に掲載した新商品の紹介記事の内容に誤りがあったとされた場合に,当該業者の真の開発者に対する不法行為責任を肯定する一方,新聞社の不法行為責任については,新聞社が尽くすべき一応の裏付け調査を行ったものとして,これを否定した事例
前件調停後に妻ではない女性との間に子が出生したこと等が婚姻費用の分担額の減額を認めるべき事情の変更に該当するとして,抗告人が分担すべき婚姻費用額の減額を認めた事例
交通事故の加害者からの賠償金の支払が人身傷害保険金より先行した場合において上記賠償金の額が人身傷害基準額を超過しているとして被害者の人身傷害保険金請求が棄却された事例
被告人両名が共謀の上,被告人のうち1名が個人事業として行った多数の不動産取引を会社が行った取引であるかのように装うなどの方法により事業所得を秘匿し,2年分の所得税合計8億円余りを免れたとされる事案において,不動産取引の収益が誰に帰属するかは,基本的には,所有者が誰であるかの問題であり,これを確定するためには,不動産購入契約の買主を検討すれば足りるとの判断枠組みに基づき,買主は,不動産取引による収益を申告した会社であり,その収益は個人には帰属しないとした原判決は,事業所得の帰属の認定に当たっては,事業取引の主体が当該個人であるか否かを検討すべきであるのに,これと異なる不適切な判断枠組みに依拠したものであって,事実誤認の疑いが生じるとされた事例
ぐ犯,窃盗保護事件において少年を保護観察に付した決定に対し,親権者らが児童自立支援施設送致又は少年院送致決定を求めてした抗告につき,少年にとって不利益な処分を求めて抗告を申し立てることは認められないとしてこれらを棄却した事例
強制わいせつ致傷,窃盗保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定に対する抗告について,付添人が証人尋問の申出をした者の一部について証人尋問を採用しなかった原審の判断には決定に影響を及ぼす法令違反はないとして,これを棄却した事例
暴行保護事件により少年を医療少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告について,原決定の処分を相当とする事情を簡潔に示した上で棄却した事例
1 芸能プロダクションと舞台制作会社との間の舞台出演契約の法的性質
2 芸能プロダクションが所属の主演女優を舞台稽古に参加させなくなった行為につき,舞台制作会社との間の舞台出演契約上の債務不履行には該当するものの,「責めに帰すべき事由」がないと判断した事例
株主割当ての方法による募集株式の発行がされた場合において,当該株式発行に係る申込期間及び払込期間が同じ日を始期とする同一の期間として定められ,かつ,特定の株主に当該株式発行に係る通知がされたのがその初日であったなど判示の事情の下において,当該株式発行に無効事由があるとされた事例
主として生存に必要な保護をしないことの認識の有無が争点となった保護責任者遺棄致死事件において,被害者(難病にり患した当時3歳の女児)が十分な栄養を与えられていない状態にあると認識していたと,常識に照らして間違いなくいえるだけの立証が検察官によりなされているとは認め難いとして,実母である被告人に無罪の言渡しをした事例(裁判員裁判実施事件)
ぐ犯により家庭裁判所に送致された少年について,児童自立支援施設における処遇を前提として強制的措置許可申請がされていたのに対し,少年を第1種少年院に送致するとともに強制的措置を不許可とする決定をした事例