最も長い歴史をもつ判例実務誌
宅地建物取引業法30条1項前段所定の事由が発生した場合において,同条2項本文所定の公告がされなかったときにおける営業保証金の取戻請求権の消滅時効の起算点
1 精神障害者と同居する配偶者と民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」
2 法定の監督義務者に準ずべき者と民法714条1項の類推適用
3 線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた認知症の者の妻が法定の監督義務者に準ずべき者に当たらないとされた事例
4 線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた認知症の者の長男が法定の監督義務者に準ずべき者に当たらないとされた事例
物品売買の基本契約に,売買の対象製品に関して第三者との間で特許権侵害を理由とする紛争が生じた場合,売主の費用と責任でこれを解決するなどの条項がある場合において,売主には,FRAND宣言がされた特許についてライセンスを求められた買主に対し,同条項違反の債務不履行に基づく損害賠償責任があるとされた事例
既存の版胴を加工することにより表面粗さに関する特許発明に係る版胴を新たに作り出した被告の行為について,特許法102条1項が適用された事例
検察官が請求した証拠で,裁判所の認識を前提とする限り,弁護人の主張の根幹に関わる,客観的で重要なものについて,論告中で何ら言及されていないという,通常なら考え難い事態が生じている場合,裁判官には,当事者にその証拠の趣旨の釈明を求めるなどの措置を講じる義務があるとされた事例
公判前整理手続で当事者間に争いがないとされた事実を,公判で取り調べた証拠により認定することなく,判決の前提として判断したことが,証拠に基づき事実を認定するものとなっておらず,これに基づく結論も是認することができないとして,原判決が破棄され,被告人が無罪とされた事例
再審請求において,精神科医による新たな意見書が提出された場合,刑訴法435条6号所定の証拠の新規性は,いまだ裁判所がそれにつき実質的な証拠価値の判断をしていない新たな証拠を意味するものと解するのが相当であり,新たな意見書の内容が従前の鑑定や意見書等と精神医学上の診断内容を異にするか,その診断を導いた主要な根拠が異なるなど鑑定証拠としての意義内容において異なると認められる場合に,新規性を具備すると解され,旧証拠における基礎資料によって,同様の診断内容やこれを導いた主要な根拠等が既に記述され,裁判所の検討を経ているのであれば,新たな基礎資料が追加されたものであっても,新規性は認められないとするのが相当であるとした事例
自らが経営する会社で貸金業者から買い取った不良債権を回収する営業を行っていた被告人が債権を保有している清算中の法人の全株式を取得した行為が,債権管理回収業に関する特別措置法2条2項後段にいう債権を「他人から譲り受け」たことに当たるとされた事例
少年院送致決定に対する抗告について,少年が,共犯少年と共謀して行った窃盗の非行事実を争い,原審付添人が共犯少年らの証人尋問を繰り返し求めたのに,原審がこれを実施せず,少年又は原審付添人に反対尋問の機会を与えないまま,共犯少年らの供述の信用性を認めて,少年院送致とした原審の審判手続が,必要な審理を尽くしておらず,その合理的裁量を逸脱した違法があるとして,原決定を取り消し,事件を原裁判所に差し戻した事例
警察官による傷害事件の被疑者である原告に対する取調べにおいて,社会通念上相当な方法及び限度を超える態様での取調べがあったなどとして,原告による損害賠償請求を一部認容した事例
順次売買による所有権の登記の連件申請における後件の登記のみの申請代理の委任を受けた司法書士について,特段の事情のない限り,前件の登記義務者の本人確認をする注意義務がないとされた事例
住民票の写しの交付について,申出の対象とする者の名前の一部が,申請書では漢字で表記されているのに,その疎明資料である契約書では平仮名で表記され,一致していない場合に,地方公共団体に国家賠償法に基づく損害賠償責任が認められた事例
団体信用生命保険契約において精神障害に罹患した被保険者が自殺した場合について,保険者の免責を認め,保険金債権の確認を求める原告の請求を棄却した事例
撮影対象に私道部分や原告らの自宅出入口付近を含む屋外設置のカメラについて,防犯目的を含むものの原告らのプライバシーを違法に侵害するとして,その撤去及び損害賠償が認められた事例
フランチャイズ契約終了後の競業避止義務を定めた条項に基づいて,フランチャイザーがフランチャイジーに対して営業禁止を求めることが,信義則に違反し許されないとした事例
母親が,重度の知的障害を有し,難病に罹患した娘との無理心中を図り,娘を殺害した事案について,介護の負担や娘の病状は将来を悲観しなければならないほどの状況ではないから,殺害行為に及んだのはうつ病の影響のみによる疑いがあり,心神喪失の状態にあったとして,無罪を言い渡した事例
地方公共団体が申立人となり,被相続人に対して介護予防支援事業契約に基づき予防訪問介護サービスを提供等をしたことを理由としてした,特別縁故者に対する相続財産分与の申立てを却下した事例
ぐ犯により14歳の少年を児童自立支援施設に送致することとした上で,少年の現在の状況等を考慮して,申請と異なり,2年の間に通算60日を限度として強制的措置を許可した事例