最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 事案の概要
平成17年12月8日,Y(東京証券取引所)が開設する証券取引市場において取引を行っていたX(みずほ証券)は,東証マザーズに新規上場したジェイコム株式会社の株式(本件銘柄)につき,従業員が顧客から委託を受け,「61万円で1株」と売り注文をすべきところ,誤って「1円...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,東京都府中市内の区分建物を共有し,その敷地権に係る固定資産税の納税義務を負うXが,府中市長により決定され土地課税台帳に登録された上記敷地権の目的である各土地(以下「本件各土地」という。)の平成21年度の価格を不服として,府中市固定資産評価審査委員会(...
〔解 説〕
1 本件は,Aの相続人であるXらが,Aは鉄道高架下の建物(本件建物)で長年勤務していた間に本件建物の壁面に吹き付けられた石綿(アスベスト)の粉じんを吸入したことにより悪性胸膜中皮腫に罹患して自殺したと主張して,本件建物を所有する鉄道会社であるYに対し,所有者の土地工作物責任(民法...
〔解 説〕
第1 事案の概要
1 本件は,次の2つの請求からなる事案である。
(1)Xが,貸金業者であるA及びこれを吸収合併したYとの間で,基本契約に基づいて継続的に金銭の借入れと弁済を繰り返したところ,過払金が発生していると主張して,Yに対し,過払金合計182万7505円及び法定利息の支払...
〔解 説〕
1 本件は,被告人両名が,同乗していた車の運転者がアルコールの影響により正常な運転が困難な状態にあるにもかかわらず,同車を走行させることを了解,黙認し,走行中に同人が犯した2名死亡,4名負傷の危険運転致死傷の犯行を容易にしたという危険運転致死傷幇助の事案である。
本件では,運転...
〔解 説〕
1 事案の概要
原告(外国法人)は,「てんかんおよび関連疾患を治療するためのスルファメートおよびスルファミド誘導体」という名称の発明について特許出願をしたが,平成23年2月21日付けで,明細書に実験データ等が記載されていないことなどを理由として拒絶査定を受けた。そこで,原告は,...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,野外施設を建設運営する事業を計画し,Y町内の都市計画区域外の土地を購入した。この土地は,購入時点では,接道が不十分ではあったが建築基準法上の接道義務はなく,建築確認も不要であったため,建物建築に支障はなく,Xも建物建築を予定していた。ところが,その後,県告...
〔解 説〕
1 事案の概要
原告は,高校教師であったが,平成21年12月4日,①前任校において女子生徒のすぐ横に座り,時にはカーテンを閉めて補習をしたこと,②免職処分当時の在任校において女子生徒(生徒A)に好意を持ち,複数回にわたり同生徒を夜間から明け方にかけて自宅に滞在させるなどしたこと...
〔解 説〕
1 本件は,電気器具メーカー(以下「本件会社」という。)で経理業務に従事していた35歳の従業員(以下「被災者」という。)が脳出血により死亡した事案において,被災者の両親である原告らが,労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料を支給しないという決定の取消しを求めた事案であ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告の従業員として造船作業に従事していた亡Aが,じん肺にり患し肺がんにより死亡したのは,被告のじん肺防止対策の不備により,就労中に多量の粉じんにばく露したためであるとして,亡Aの相続人である原告が,被告に対し,安全配慮義務違反による債務不履行に基づき損害...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,弁護士であり,亡Aの相続人(非嫡出子)であるYから他の相続人(養子)であるBに対する遺留分減殺請求訴訟の提起等の法律事務を受任し,Yを代理して,Bを債務者とする仮処分の申立て,Bを被告とする遺留分減殺請求訴訟の提起,Bとの間の和解交渉等の手続を行い,上記遺...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Xが,Yに対し,Yから請け負った公共事業工事についての追加工事施工代金315万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたのに対し,Yが,当事者間の工事下請負契約約款による仲裁合意(あっせん又は調停による解決若しくはこれにより解決する見込みがない場合は審査...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,羽田空港(東京国際空港〔羽田〕)の国内線旅客ターミナルビルを管理している株式会社であり,Yは,羽田空港を含む国内空港間を結ぶ国内線を運行している株式会社である。
Xは,国内線旅客ターミナルビルにおける施設の使用料金等に関する供用規程を定め,旅客サービス施...
〔解 説〕
1 事案の概要
亡A(当時45歳の男性会社員)は,Y1及びY2が所有又は占有する東京都港区内の商業用ビルの2階にある飲食店において,職場の上司,同僚ら十数名とAの昇進祝いのための会食をした後,上記飲食店を出て,その出入口とそのほぼ正面に位置する1階への下りエスカレーター(Y3が...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,元依頼者が,弁護士に対し,債務整理等の処理に関して,委任契約上の善管注意義務違反に基づく損害賠償を求める弁護過誤訴訟である。
(2) 本件の事案の概要は次のとおりである。
Xは,弁護士であるYに対し,Xの実弟・亡Z(平成19年7月頃に死亡。Zは妻と...
〔解 説〕
1 事案の概要等
A(男性,75歳)は,平成22年2月26日13時25分ころ,被告が営業を受託するプールの初級コースで水泳中,溺れて沈んでいたところを発見されて,引き上げられたが心肺停止の状態であり,救急搬送されたが,溺水による心肺停止蘇生後脳症と診断されて入院し,意識を回復し...
〔解 説〕
1 本件は,Xが,Aから川崎市内の土地(本件土地)の所有権を取得したB(Aの兄)から本件土地を購入したところ,別件訴訟においてAB間の売買契約等がAの意思無能力により無効とされXが本件土地の所有権を失ったことから,XがAB間の売買契約等に基づく登記手続を代理した司法書士らであるY...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,加害者が運転する自動車と被害者が運転する自転車とが衝突し,被害者が死亡するに至った交通事故につき,被害者の遺族である原告らが,加害者を被告として,人的損害については自動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき(選択的併合),物的損害については民法70...
〔解 説〕
1 事案の概要
X(当時57歳の女性)は,未破裂脳動脈瘤を発見され,被告病院(大学付属病院)の医師らから血管内コイル塞栓手術を勧められ,同手術を受けた(以下「本件コイル塞栓術」という。)。Xは,術後に正常圧水頭症を発症し,脳室─腹腔内短絡術(以下「本件V─Pシャント術」という。...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,株式会社Z(補助参加人)の株主であるXが,①Zが平成15年11月にY1に対して自己株式を1株1500円で譲渡したこと(本件自己株式処分)及び②Zが平成16年3月にYら(1名を除く)を割当先に含む第三者割当の方法により1株1500円の発行価額で新株発行を行...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,損害保険会社であるYとの間で総合自動車保険契約を締結していた会社であるX1が,Yに対し,その所有する乗用自動車が盗難に遭ったとして,同保険契約に基づき車両保険金の支払を請求する事案である。なお,X1の代表取締役であるX2及び従業員であるX3は,Yに対し,...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Xが,発明の名称を「液晶用スペーサー及び液晶用スペーサーの製造方法」とする本件特許に対する無効審判請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした審決の取消しを求めた事案である。
本件発明は,液晶用スペーサーにおいて,特定の重合性ビニル単量体の1種又は...
〔解 説〕
1 事案の内容
(1)本件は,放送事業者である原告が,被告が「ジェーネットワークサービス」の名称で運営する,日本国内でテレビ放送された番組を海外居住者向けに有料でインターネット配信するサービス(以下「本件サービス」という。)は,原告の有する著作隣接権(送信可能化権〔平成22年12...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件の事案の概要は,以下のとおりである。
原告は,本判決別紙原告表示目録記載1から3までの各商品表示(原告表示1~原告表示3)を使用して,クレオソートを主成分とする胃腸薬(本件医薬品)のうち,一般に「糖衣錠」と称される種類の錠剤を製造販売している。
被告は,...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,団地内建物の一括建替えに当たり,マンション建替組合である原告が,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)70条1項に基づく団地内建物の一括建替え決議(以下「本件建替え決議」という。)に反対し,建替えに参加しない旨を回答した区分所有者...
〔解 説〕
1 本件は,仮差押えの本案訴訟で被告が敗訴したことを踏まえ,原告において,被告が,実際には被保全権利である請求債権が存在していないにもかかわらず,原告の全財産を網羅するような仮差押えを申し立て,仮差押決定を得たことにより,原告は,これらの財産を処分することができなくなり,債務の弁...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,担保不動産競売事件において,土地の売却許可決定を受けて買受人となったX(抗告人)が,民事執行法75条1項に基づき,売却許可決定の取消しを求めた事案である。
Xは,本件土地の隣接地の建物に暴力団幹部が居住し,暴力団関係者が本件土地に自動車を駐車してこれを...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,原告と破産者との間で締結された業務委託契約が破産法53条1項に規定する双方未履行双務契約に該当し,同契約に基づく業務委託料支払請求権は財団債権になる(破産法148条1項7号)旨主張し,破産者の破産管財人である被告に対し,上記業務委託料の支払等を求...
〔解 説〕
1 事案の概要
詳細は判決文を参照されたいが,本判決は,被告人が日米両国内にいる共犯者らと共謀の上,動画配信等のサイトを運営し,わいせつな画像データ等を米国内のサーバコンピュータに記録・保存し,上記サイト等にアクセスした日本の顧客にダウンロードさせて各自のパソコンに記録・保存さ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,家庭裁判所の中等少年院送致決定に対して付添人から抗告の申立てがあった事案で,抗告審において,原裁判所の非行事実の認定手続に違法があり,これが決定に影響を及ぼす法令違反に当たるとされた事例である。
2 原決定の判断
本件審判手続の経過は,本決定理由の第...