最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 本件は,Yの従業員であるXが,解雇により2年余りにわたって就労を拒まれ,解雇が無効であることを確認する判決が確定して復職した後に,合計5日間の労働日につき年休の請求をして就労しなかったところ,労基法39条2項所定の年休権の成立要件を満たさないとして上記5日分の賃金を支払われな...
〔解 説〕
1 本件は,継続的な金銭消費貸借の借主であるXが,各弁済金のうち利息制限法所定の制限を超えて利息として支払った部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して,貸金業者であるYに対し,不当利得返還請求権に基づき,過払金及び民法704条前段所定の法定利息の支払を求める事案である...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,申立人らが,相手方である国に対し,老齢加算廃止の合憲性及び適法性を争う訴訟において,厚生労働大臣が保護基準を改定するに当たって根拠とした特別集計の結果が不合理であることを立証するために,その特別集計の資料となった平成11年度及び同16年度の全国消費実態調...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,犯行時16歳の少年の業務上過失傷害被疑事件について,検察官への事件送致までに約2年11か月を要した上,一旦は嫌疑不十分を理由に不起訴処分(家庭裁判所へ送致しない処分)とされたため,被疑者が成人に達して家庭裁判所で審判を受ける機会が失われた後,被害者か...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)被告(反訴原告。以下「被告」という。)は,平成4年に学校法人Aより買い受けた土地(以下「本件土地」という。)から鉛,ヒ素,六価クロム,ホウ素などの重金属類や,トリクロロエチレン,シス─1・2─ジクロロエチレン,1・2ジクロロエタン,ベンゼンなどの揮発性有機化...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,民法に規定する任意組合及び投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合(以下「任意組合等」という。)に出資する組合員であったXが,平成15年分から平成17年分までの各所得税について,任意組合等から生じた利益又は損失の額を所得税基本通...
〔解 説〕
1 本件の概要
Xは学校法人Yに昭和54年4月から平成22年3月まで教職員として勤務し,大学院歯学研究科教授,付属病院長などを歴任した者であり,平成17年5月から平成21年6月まで,Yの理事の地位にもあった。
Yは,平成17年9月ころから有価証券投資による資産運用を行ったが多...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,電池メーカーであるYらに対し指名競争入札又は一般競争入札の方法により自衛隊専用電池の製造請負を発注し(以下「本件契約」という。),Yらから製品の納入を受けたX(国)が,Yらに対し,本件契約は談合(以下「本件談合」という。)に基づくものであるから無効であり...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,Y1に対し,受託保証による事前求償権に基づき,1億1206万9760円のうち2000万円の支払を求めるとともに,Y1及びY2に対し,受託保証による事前求償権に基づき,1950万5123円のうち1950万円の支払を求めた。Yらは,民法461条1項の規定に基づ...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,平成20年5月頃,土地を購入して賃貸用共同住宅を建築することとし,Aに同住宅の建築を依頼したところ,Aから,自動販売機を設置して課税売上げを生じさせることにより同住宅の工事代金に係る消費税の還付を受ける方法があるとの説明を受け,同方法による税務書類の作成等...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,いわゆる耐震強度偽装事件において構造計算書の偽装された2棟の分譲マンションの購入者ら(Xら)が,構造計算書の偽装のためにマンションの耐震性が建築基準法の最低基準に不足することとなり,損害を被ったとして,各被告に対して損害賠償を求める事案である。本件の被告...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,交通事故により後遺障害を負った被害車両(オートバイ)の運転者であるX1及びその妻子であるX2・X3が,加害車両(タクシー)の運転者Y1及びその使用者のY2に対し,損害賠償を求める事案である(保険会社による代位請求等事件については割愛した。)。主な争点...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告医院において,豊胸目的で挿入していたインプラント(シリコンバッグ)を抜去し,そこへ大腿部から吸引した脂肪を注入する手術(以下「本件手術」という。)を受けた原告が,被告医院において手技上の過失及び術前の説明義務違反があったとして,債務不履行又は不法行為...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件事案の概要は,次のとおりである。Y区長は,老人福祉法32条に基づき,家庭裁判所に対し,本人(86歳)について,成年後見開始の審判を申し立てたところ,同裁判所は,これを認める審判をした(原審判)。これに対し,本人と同居している子であるXが,①本件においては,老...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,実父母の同意がない状況下で特別養子縁組の申立てを認めるのが相当か否かが問題となった事案である。本件事案の概要は次のとおりである。AとB(以下「実父母」という。)は平成15年に婚姻した夫婦であるが,同年から平成21年までの間に3人の子供(一男二女)を事前に...
〔解 説〕
1 事案の概要
Y社は,フランチャイズシステムによる飲食業等の事業活動を展開する純粋持株会社であったが,その創業者で代表取締役であったY1は,Aファンドの支援とY社の賛同意見表明(以下「本件賛同意見表明」という。)の下,Y社のMBO(以下「本件MBO」という。)を行った。
M...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)本件は,申立人が,定款において株式の譲渡制限の定めがある会社に対し,申立人が保有する同社の株式について譲渡承認及び譲渡承認をしない場合の買取りを請求したところ,会社が譲渡承認をしない旨及び自ら買い取るとともに,買取人を指定したため,申立人が,会社及び指定買取...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告との間で企業総合保険契約を締結していた原告が,その所有するパチンコ店建物(以下「本件建物」という。)で発生した火災について,本件建物が全損であるとして,財物保険金,利益喪失保険金等の支払を求める事案である。本件の主たる争点は,①本件建物の焼損の程度及...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,発明の名称を「省エネ行動シート」とする特許出願に対する拒絶査定不服審判の請求について,特許庁が,同請求は成り立たないとした審決の取消しを求める事案である。
本件審決の理由は,本願発明は,①産業上利用することができる発明であるとは認められないから...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,発明の名称を「抗ウィルス性置換1,3─オキサチオラン」とする特許(本件特許。平2.2.28出願)の特許権者である原告が,処分の対象となった物を「ラミブジンおよび硫酸アバカビル」,処分の対象となった物について特定された用途を「HIV感染症」とする薬事法14...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被控訴人(1審被告。Y)が被控訴人各ソフトをインストールした被控訴人サーバを製造,販売した行為について,控訴人(1審原告。X)が,Yの上記行為は,①Xの有する「データ入力装置」に係る本件特許権についての間接侵害(特許法101条2号)に当たる旨主張して,Y...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,発明の名称を「電子ブレーカ」とする特許の特許権を有する原告が,被告による被告製品(電子ブレーカ)の製造販売等が本件特許権を侵害するとして,被告に対し,被告製品の製造販売等の差止め及び廃棄と損害賠償を請求するとともに,電気用品安全法所定の検査を受けていない...
〔解 説〕
1 事案の概要
不動産賃貸業者であるY会社は,不特定かつ多数の消費者との間で建物賃貸借契約を締結,更新するに当たって,①2年間更新されるに際しては更新料として賃料等の1か月分を支払うとの条項(本件更新料支払条項),②契約終了後に明渡しが遅滞した場合には遅滞した期間について賃料等...
〔解 説〕
1 事案の概要
信託業務等を営む銀行であるXらは,普通地方公共団体であるYとの間で,Yを委託者兼受益者,Xらを共同受託者,Y所有の土地(公有地)を信託財産として信託契約(以下「本件信託契約」という。)を締結した。本件信託契約は,Xらが,公有地上に複数の建物を建設し,これらを賃貸...
〔解 説〕
1 事案の概要
担保不動産競売事件の対象となる物件について,順次,①実行根抵当権の設定登記,②滞納処分による差押え,③賃貸借契約に基づく占有者への引渡し,④競売開始決定・同決定による差押え,⑤競売の続行決定がされた。抗告人は,競売手続で対象物件を買い受けて代金を納付し,納付時か...
〔解 説〕
1 事案の概要
経営コンサルティング業を行うYは,平成17年,破産者A社の発行済み株式全てを取得し,A社の親会社となった。Yの親会社で,M&A事業を行う会社であるZは,平成22年3月,YからA社の発行済み株式全てを譲り受けると同時に,YのA社に対する貸付債権を譲り受けた。A社は...
〔解 説〕
1 事案の概要と裁判所の判断
本件は,再生手続開始決定を受けたA社が,賃貸人であるY社に対し,平成22年7月12日に到達した書面により,民事再生法49条1項に基づき,同月31日をもって建物(貸室)の賃貸借契約を解除する旨の意思表示をし,同日までに原状回復工事を完了して,貸室を明...
〔解 説〕
本件は,破産法(平成16年法75号。以下「現行破産法」という。)による廃止前の破産法(以下「旧破産法」という。)が適用される事件であり(附則3条1項),破産財団に対し破産債権の残額相当額の債務を負担することの合意をしたX(申立人)が,本件破産事件の利害関係人に該当すると主張して,...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,遊興費欲しさに,他人の家に忍び込み,ナイフを脅しに使ってでも金員を奪おうと考えた被告人(当時21歳8か月の大学生)が,黒色戦闘服等を着用し,ナイフ2本を携帯して,深夜,自宅近くの民家に立ち入り,住人である高齢の親子2名(当時86歳,61歳)をナイフで殺害...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告人が,実母である被害者(V)に対し,頭部を拳骨又は他の鈍体で多数回殴打するなどして死亡させた傷害致死,その死体をA川に遺棄した死体遺棄,及び,Vの死後,V名義のキャッシュカードを使用して14回にわたり銀行から現金を引き出した窃盗の事案である。
弁護...