最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 本件は,厚生労働大臣が生活保護法による保護の基準(以下「保護基準」という。)を改定し,原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の加算(以下「老齢加算」という。)を廃止したため,所轄の福祉事務所長からそれぞれ上記変更を反映した保護変更決定を受けた北九州市在住のXらが,上記各...
〔解 説〕
1 本件は,地方公務員共済組合である上告人が,その組合員である被上告人に支給した地方公務員等共済組合法(平成18年法律第83号による改正前のもの。以下「地公共済法」という。)所定の短期給付金(療養費等)等につき,同一の傷病に関し,通勤災害との認定がされて,地方公務員災害補償法所定...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)東京都においては,平成15年10月23日付けで東京都教育委員会(以下「都教委」という。)の教育長から東京都立の高等学校等(盲学校・ろう学校・養護学校〔平成19年4月以降は特別支援学校〕を含み,以下併せて「都立学校」という。)の各校長宛てに「入学式,卒業式等に...
〔解 説〕
1(1) 本件各事件は,いずれも,養老保険の保険金の支払に係る一時所得の金額の算定について控除の対象となる保険料の範囲が争点となった事案である(以下では,①事件の判決を①判決,②事件の判決を②判決という。)。
(2) ①事件の原告らが経営する会社(以下「会社」という。)は,保険期...
〔解 説〕
1 労働組合であるXは,所属組合員らが使用者であるZから運転士に発令されないのは所属組合を理由とする不利益取扱い等に該当し,不当労働行為に当たるとして千葉県地方労働委員会(当時)に救済を申し立てた。同委員会は,不当労働行為の成立を認めて救済命令を発したが,Zから再審査の申立てを受...
〔解 説〕
1 本件は,自動車保険契約の無保険車傷害条項に基づく保険金(無保険車傷害保険金)につき,①これは損害の元本に対する遅延損害金を補するものか否か,②その支払債務に係る遅延損害金の利率は年5分か年6分かが問題となった事案である。無保険車傷害保険金とは,相手自動車が無保険自動車である場...
〔解 説〕
1 本件は,睡眠薬等を摂取させて数時間にわたり意識障害等を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為につき傷害罪の成否が争われた事件において,その成立を肯定したものである。
2 事案の概要は,大学病院の医師である被告人が,同病院内において,①フルニトラゼパムを含有する睡眠薬の粉末を...
〔解 説〕
1 本件は,高等裁判所の控訴棄却の確定判決に対する再審請求に関する特別抗告の事案である。
本件再審請求は,控訴棄却の確定判決に関する刑訴法436条1項各号所定の再審事由の主張がないため不適法であることは明らかなものであったところ(最二小決昭28.7.24刑集7巻7号1648頁参...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 事実関係
ア 原告住民らは,インドネシア共和国籍の外国人8396名で,日本の政府開発援助のうちの有償資金協力(円借款)によりインドネシア共和国のスマトラ島内に建設された本件ダムの建設に伴い居住地を強制退去させられたと主張している者らである。
原告財団は...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,平成3年から,Yの事務局員として勤務していたが,平成20年6月16日退職届を提出した。
しかし,Xは,上記退職届は,心裡留保により無効であるなどと主張し,Yに対し,①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と②平成20年6月からの未払給与等の支払を求...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,消費者であるXらが,証券会社であるY従業員らから投資勧誘を受けた居住用不動産を投資対象とする不動産証券化商品(以下「レジデンシャルワン」という。)により損害を受けたとして,上記勧誘における適合性原則違反や説明義務違反を理由として,Yに対し,不法行為...
〔解 説〕
1 事案の概要等
本件は,被告病院を外来受診した後に急性心筋梗塞により死亡した本件患者(当時42歳の男性)の相続人(父母)である原告らが,被告病院の医師に診療上の過失があると主張して,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
原告は,医師の過失として,心電図の異常や胸痛の...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,兵庫県西宮市に居住する者であるが,名古屋市に本店を有していたインターネット専業の店頭外国為替証拠金取引業者であるYと外国為替証拠金取引を行ってきたところ,Yが市場実勢から大幅に乖離した価格設定を行ってロスカットをしたことにより取引差損が生じたと主張し,不法...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,再生債務者であるA(勝村建設株式会社)の債権者であるX(株式会社レノ)に対する担保権の設定(抵当権の設定,転抵当権の設定及び質権の設定)に対するAの監督委員に選任されたY(弁護士)の否認請求を一部認容した再生裁判所の原決定を不服として,Xが原決定の取消し...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告人が,駅の自動券売機の硬貨釣銭返却口に接着剤を塗り付け,釣銭の付着を待ち,これを回収して取得しようとしたが,接着剤の塗布行為後,自動券売機の利用客が現れる前に,駅員に逮捕されたという事実関係において,接着剤を塗布した時点での窃盗の着手の有無が問題とな...