最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 本件は,北海道砂川市がその所有する土地(以下「本件土地」という。)を神社施設(地域の集会場としても用いられている建物のほか,鳥居,祠,地神宮で構成される。)の敷地として無償で使用させていること(以下「本件利用提供行為」という。)は,憲法の定める政教分離原則に違反する行為であっ...
〔解 説〕
1 本件は,厚生労働大臣が生活保護法による保護の基準(以下「保護基準」という。)を改定し,原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の加算(以下「老齢加算」という。)を廃止したため,所轄の福祉事務所長からそれぞれ上記変更を反映した保護変更決定を受けた東京都在住のXらが,上記各決...
〔解 説〕
1 本件は,仮換地の指定の適法性,特に照応の原則違反の有無が争われた国家賠償請求訴訟である。Xら9名は福岡市(Y)の施行する土地区画整理事業の施行地区内に存する11階建てマンションの区分所有者でありその共用部分及び敷地を他の区分所有者とともに共有している。Yは,Xらを含む区分所有...
〔解 説〕
1 本件は,音響製品等の設置,修理等を業とする会社であるXが,Xとの業務委託契約に基づいて音響製品等の修理等の業務に従事する個人営業の代行店により結成された団体から団体交渉を申し入れられたものの,その労働組合性を否定してこれに応じなかったところ,大阪府労働委員会及び中央労働委員会...
〔解 説〕
1 本件は,日刊新聞を発行する会社(原告会社)及びその従業員3名(原告社員ら)が,フリーのジャーナリストである被告に対し,被告がインターネット上に自ら開設した誰でも閲覧可能なウェブサイト(本件サイト)に掲載した記事(本件記事)により名誉を毀損されたと主張して,不法行為に基づく損害...
〔解 説〕
1 本件は,被相続人Aの遺産分割事件であり,事案の概要は,次のとおりである。
(1)Aの相続人は,前妻との子であるXら3名,後妻であるY1,AとY1との子であるY2・Y3の6名である。
(2)Aは,生前,Y2に対して,民法903条1項の特別受益に当たる贈与をし(以下「本件贈与」と...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Y(株式会社ライブドア。現商号は株式会社LDH)の株式(ライブドア株)を流通市場で取得したXらが,Yの提出した有価証券報告書(本件有価証券報告書)に約3億円の経常赤字を約50億円の経常黒字と偽った虚偽記載(本件虚偽記載)があったことにより損害を被ったと主...
〔解 説〕
1 事案の概要等
原告らは,受託銀行との信託契約を介して,アメリカ合衆国(米国)デラウェア州法に基づくリミテッド・パートナーシップ(本件各LPS)を組成し(受託銀行がリミテッド・パートナー),本件各LPSは,米国において不動産を取得しその貸付けを行った。原告らは,本件各LPSの...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,平成21年3月31日に定年退職した控訴人が,平成18年10月1日付けで改正された給与規程及び退職金規程(以下「本件変更」という。)は不合理な不利益変更であるから無効であり,仮に給与規程の改正が有効であるとしても,控訴人に対する職階認定は人事権の逸脱・濫用...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,昭和26年合併により甲村の地位を承継したXが,甲村は大正14年4月15日売買又は同年7月7日時効取得により本件土地の所有権を取得したと主張して,本件土地の登記簿上の登記名義人A(昭和41年死亡)の相続人であるYらに対し,所有権に基づき,本件土地につ...
〔解 説〕
1 事案の概要
訴外Aは,大正14年ころ,浄土真宗本願寺派に属する宗教法人Yとの間で,寺院墓地内の墓地区画(以下「本件墓地」という。)の墓地使用権の設定契約を締結し,Aの子やその妻などが本件墓地に埋葬されたが,Xは,昭和46年3月,本件墓地の使用権を承継取得した。
Xは,Xの...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,継続的金銭消費貸借取引にかかる貸金債権が,A(アエル株式会社)からY1(ニューヨークメロン信託銀行株式会社)へ,Y1からY2(エヌシーキャピタル株式会社)へと順次譲渡された後,XがY1及びY2に対し,同取引において過払金が発生していたとして,過払金返還等...
〔解 説〕
1 事案の概要
Y(新潮社)は,平成19年8月から同年9月にかけて,発行する「週刊新潮」において,4回にわたり,参議院議員であるXの愛人問題,暴力団組長との賭けゴルフ等の行為を報道する記事を掲載した。
そこで,Xは,上記週刊誌の記事によって名誉を毀損されたと主張し,不法行為に...
〔解 説〕
1 事案の概要
株式会社Zは,平成21年9月1日,新設会社を設立する会社分割を行い,新たに設立された新設会社Xに一切の事業を承継させた。
そこで,分割前の会社に貸金債権を有するYは,会社分割は詐害行為に当たるとして,詐害行為取消権に基づき,会社分割の取消しを求めるとともに,価...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,昭和63年2月3日発生した交通事故により負傷したが,同年10月4日,Y1との間で示談をした。
しかし,Xは,平成18年に,Y1に対し損害賠償を求める訴えを提起したが,Y1が口頭弁論期日に出頭しなかったため,500万円の支払を命ずる判決が言渡され,確定した...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,民事再生計画認可後に,再生会社の消費者に対する債務を支払い,再生会社に対し還付充当金納付請求権を取得したXが,これを連帯保証したYに対し請求することができるか否かが問題となった事案である。争点との関係で,本件事案の概略を紹介することにする。A社は宅建業者...
〔解 説〕
1 事案の概要と本判決の判断
本件は,被告人が,平成15年5月23日,強盗目的で被害者方に侵入し,暴行後に強姦の犯意を生じて被害者を強姦し,現金を強取したという住居侵入,強盗強姦の事案である。平成22年に起訴されたため,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」とい...