最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 本件は,Xが,XのYに対する金銭債権についての債務名義による強制執行として,Yの三大メガバンク(三菱東京UFJ銀行,三井住友銀行,みずほ銀行)及びゆうちょ銀行に対する預貯金債権の差押えを求める申立てをするに当たり,①三大メガバンクに対する預金債権については,それぞれその取扱店...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,市立小中学校の教諭であるXら9名が,平成15年4月~12月の間(ただし8月を除く)に時間外勤務を行ったところ,これは義務教育諸学校等の教育職員に原則として時間外勤務をさせないとしている「国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」...
[解 説]
1 本件は,大手消費者金融会社であるYが,国内の消費者金融子会社を再編する手続の一環として,完全子会社である貸金業者Aの顧客であるXとの間で,形式上,Yからの借入金によりAに対する約定利率による残債務を完済し,以後,Yとの間で継続的な金銭消費貸借取引を行うといういわば契約の切替え...
[解 説]
1 本件は,共同住宅・店舗として建築された建物(以下「本件建物」という。)を建築主から買い受けた原告が,本件建物に瑕疵があることを理由に,設計及び工事監理者並びに建築請負人に対して,不法行為に基づく損害賠償を請求する事件の第2次上告審である。
第2次上告審に至る訴訟の経緯は,次...
[解 説]
1 元妻であるXは,協議離婚の後,元夫に対して,①財産分与,②慰謝料,③子供の所持品の引渡し,④年金分割の4つを申立ての趣旨とする家事調停の申立てをしたが,この調停は不成立となった。
本件は,Xが,このうちの①財産分与と④年金分割についての部分は乙類事項であるから,調停不成立に...
[解 説]
1 事案の概要
(1)原告は,「全国軽自動車運送連合会(全軽連)」の名称で運送事業免許取得代行及び運送事業コンサルティング業を行っている会社である。本件において問題となった原告の業務は,原告があっせんする運送業務に従事することによって得られる利益を収受しうるとして相手方を誘引し...
[解 説]
1 本件事案の概要
Aは,覚せい剤取締法違反罪などにより懲役刑に処せられ,平成16年8月,B刑務所に収容されたが,幻覚を訴えたり,自傷行為がみられたことから,平成17年8月,C医療刑務所(本件刑務所)に移送された。本件刑務所でも,「死ね」との幻聴が聞こえるなど幻覚を訴え,担当医...
[解 説]
1 佐賀県伊万里市は,平成19年4月1日,浄化槽の保守点検業者らとの間で随意契約により浄化槽維持管理等の業務委託契約を締結し,同業者らに対し契約代金を支払った。
Xらは,同市の住民であるが,同契約の締結は,地方自治法(以下「法」という。)234条に違反するとし,同市の市長である...
[解 説]
1 原告は,被告において,被告が発行する新聞の編集長を務めていたが,平成20年7月1日,被告が作成した図表等を,業務外で執筆した書籍に無断で使用したうえ,書籍の題名に「カラクリ」という表現を使って被告の信用を損なったなどという理由で,懲戒解雇された。本件は,原告が,「本件懲戒解雇...
[解 説]
1 Xの発行する平成21年5月8日付け讀売新聞朝刊千葉県版は,「Y氏市税数十万円滞納 A市長選出馬予定『会社経営不振で』」と題する記事を掲載した(選挙は,平成21年5月10日に告示,同月17日に投開票の予定)。記事の掲載後,Yは,抗議のため次のような行動に出た。
① 5月8日,...
[解 説]
1 本件は,弁護士法人Y1に債務整理を委任していたXが,①Y1の債務整理の処理方法は,特定の担当者を置かないなど,Xの期待に反していたから,債務整理委任契約は,要素の錯誤が存し,無効であり,また,②Y1は不当に辞任して,委任契約を解除したと主張して,Y1に対し,Y1が報酬に充当し...
[解 説]
1 本件は,シンジケートローン(以下「シ・ローン」という。)におけるアレンジャーたる金融機関の参加金融機関に対する説明義務違反が問われた事案である。
シ・ローンとは,借受人から依頼を受けた1つの金融機関が複数の他の金融機関(貸付人)の参加を募り,参加金融機関がそれぞれ借受人に対...
[解 説]
1 本件は,株式会社A(A社)に出資したXらが,A社の商法は,大規模な詐欺であり,不法行為を構成するところ,Yは,A社の主催するコンサートに出演したり,DVDに出演するなどして,A社やその投資商品を宣伝して,その信用性を高め,顧客らに対し,出資をさせるなどしたのであり,これはA社...
[解 説]
1 本件は,インクジェットプリンタの製造・販売を行う著名なメーカーである原告X社がインクジェットプリンタに用いるインクカートリッジ等に関する発明につき特許登録を受けた特許権(本件特許権)につき,被告Y1社ないしY5社が無効審判請求をしたところ,特許庁が特許を無効とする審決をしたの...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,X(原告・控訴人)が特許料の追納期間の経過後に特許料納付書を提出して特許料及び割増特許料(本件特許料等)の納付手続をしたところ,特許庁長官が同特許料納付書を却下する手続却下の処分(本件却下処分)をしたため,Xが,Y(被告・被控訴人)に対し,追納期間内に特...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,原告が,「berry mobile」の文字を標準文字で表し,指定役務を「携帯電話による通信」(本件指定役務)とする本件商標に係る被告の商標登録について,本件商標は「BlackBerry」(引用商標1及び2につき)又は「BLACKBERRY」(引用商標3な...
[解 説]
1 事案の概要 原告の「自動装着機の作動方法,自動装着機,自動装着機用の交換可能なコンポーネント,並びに自動装着機と交換可能なコンポーネントとからなるシステム」との名称の発明に係る特許出願に対する拒絶査定不服審判の請求について,特許庁は,審判段階の補正(本件補正)を却下した上,...
[解 説]
1 本件は,妻が夫の頭をワインボトルで殴って殺害し,その死体を切断し,遺棄したという殺人,死体損壊,死体遺棄の事案である。犯罪事実に争いはなく,被告人の責任能力が争点であった。
2 1審で2人の医師により被告人の精神鑑定が行われた(本判決によると,2人の所見は同じであるが,共同...
[解 説]
本判決は,控訴審が事実誤認を理由として1審判決を破棄したものであり,いわゆる被害者供述の信用性判断の参考事例の一つとして紹介するものである。
本件において,検察官は,被告人が携帯電話のサイトを通じて親しくなった被害少女と3回にわたり淫行を繰り返していたとして,そのうち最後の3回...