最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 Aは,指名競争入札により,一部事務組合から浄水場内の監視設備工事を請け負い,上記工事のうち監視設備機器(以下「本件機器」という。)の製造等については,AからB,C,D,Y(被上告人),X(上告人)と順次発注されて,それぞれ請負契約が締結された。Xは,本件機器を完成させて,Aに...
[解 説]
1 本件は,土地の転借人であるA社が土地上に所有している建物に根抵当権の設定を受けた銀行であるXが,根抵当権の設定を受けるに当たり,土地の所有者兼賃貸人であるY1及びY2と,これらの者から土地を賃借してA社に転貸していた会社であるY3から,A社の地代不払などその借地権の消滅を来す...
[解 説]
1 本件は,被告人が,2回にわたり,共犯者らと共謀の上,中国人を航空機に搭乗させる意図を秘して,共犯者の1名において,係員に当該共犯者名義の搭乗券を請求して交付を受けた行為が詐欺罪に問われた事案である。
その事案の概要は本決定理由の1項(1)に要約されているとおりであるが,被告...
[解 説]
1 本件は,被告人が共犯者2名と共謀の上で万引きをしたが,追跡してきた店長に取り押さえられて共犯者の1名に助けを求め,これに呼応した同共犯者と共謀の上,主として同共犯者が店長に対して暴行を加えて負傷させたという事案である(1審判示第1の事実。ほかに,万引き4件〔同第2〕及び不法残...
[解 説]
1 本件は,被告人方住居兼事務所(本件建物)の使用方法等をめぐって被告人らとの間で民事上の紛争を有していた不動産会社(E不動産)の従業員Bが立入禁止等と記載した看板を本件建物に設置しようとした際,当時74歳の女性であった被告人が,これを阻止するため,当時48歳の男性であったBに対...
[解 説]
1 本件は,申立人が実母方に放火したことから,現住建造物等放火罪として捜査が行われたものの,検察官が,申立人は当時心神喪失の状態にあったと判断し,申立人を不起訴処分に付するとともに,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「医療観察法」とい...
[解 説]
1 本件は,妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で幻聴,妄想等に基づいて行われた行為について,これが「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「医療観察法」という。)による医療等を行う要件である対象行為に該当するかどうかの判断方法が問題とな...
[解 説]
1 本件は,被告人が,その実質的に経営する会社の関係者らと共謀の上,会社事務所において,22回にわたり,宅配便により,覚せい剤結晶及び覚せい剤様の結晶合計約3.7㎏を譲り受けて,覚せい剤を譲り受ける行為と薬物その他の物品を規制薬物として譲り受ける行為を併せてすることを業とし,その...
[解 説]
1 Xら528名は,平成10年4月から平成13年12月ころまでの間に,Y1の職員から出資の勧誘を受けて,Y1に出資金を拠出した者である。Y1は,大阪府下及び兵庫県下に本店1,支店38の店舗を有する信用金庫であった。Y1は,平成14年1月25日,内閣総理大臣より金融整理管財人による...
[解 説]
本件は,債務者との雇用契約に基づきたばこのルート営業(コンビニエンスストア等に対してたばこの陳列等の営業をすること)等に従事していた債権者が,就業規則等に違反したという理由で諭旨退職処分を受け,債務者に対して退職願を提出して退職の意思表示をしたことについて,この意思表示は,諭旨退...
[解 説]
1 本件は,本件不動産を保有してそこから得られた収益を分配することを目的とする特定目的会社であるX1が,Yに対し,本件不動産を所有するのはX1であると主張して,Y名義の所有権移転登記につき真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めるとともに,X1に本件不動産の所有権...
[解 説]
1 本件は,1審原告会社(分譲別荘地の管理会社・受任者)が1審被告ら(分譲別荘地購入者である住民等・委任者)に対し,その分譲地域内の不動産の管理という事実行為を委任し,その対価として管理費を支払う旨の管理契約(準委任契約。以下「本件管理契約」という。)に基づき管理費の支払を求めた...
[解 説]
1 Xは,平成20年1月27日,Yから,賃貸中の本件建物と敷地を,代金8680万円で購入し,同年2月18日,代金を支払って,本件土地建物の引渡しを受け,所有権移転登記を受けた。
ところが,平成20年2月18日,本件建物の一室の賃借人が自殺しているのが発見された。
そこで,Xは...
[解 説]
1 本件事案の概要
Xは,平成11年8月,貸金業者であるY会社から,同年9月から平成16年8月まで毎月5日限り元本8万円ずつと約定の経過利息を支払う,約定支払日よりも15日以上前に支払った場合には約定支払日は次回に繰り越さない(当月分の支払とは認めない)との定めで,480万円を...
[解 説]
1 事案の概要
X(控訴人・原審原告)らは,大手スーパーであるM社の無担保社債を,証券会社を通じて購入した者である。この社債を販売したのはY(被控訴人・原審被告)証券であり,社債を管理していたのはZ(被控訴人・原審被告)銀行であった。M社は,平成13年9月,東京地方裁判所に対し...
[解 説]
1 本件は,87歳であった亡Aの全財産を妹Yに遺贈する旨の公正証書による遺言につき,Aの養子X1X2が,本件公正証書はAの意思によらずに作成され,Aは作成当時認知症が進行し遺言能力を欠き,本件遺言は無効であると主張して,遺言無効確認及びYが本件遺言に基づいてした所有権移転登記の抹...
[解 説]
1 本件は,相手方の全部取得条件付普通株式4株(以下「本件株式」という。)を保有する株主であると主張する抗告人が,平成21年6月29日開催の定時株主総会及び普通株主による種類株主総会(以下「本件総会」という。)においてされた相手方発行の全部取得条項付普通株式の全部取得(以下「本件...
[解 説]
1 本件は,損害保険業等を目的とする株式会社である被告との間で住宅総合保険契約を締結した原告が,当該保険の目的物であった建物から出火し(以下「本件火災」という。),当該建物及び家財が焼損したとして,被告に対し,当該保険契約に基づき保険金の支払を求めるとともに,被告が当該保険金の支...
[解 説]
1 本件は,発明の名称を「モールドモータ」とする発明の特許権者である原告が,特許庁に対し,特許の請求の範囲の減縮等を目的とする訂正審判請求をしたところ,特許庁からその訂正を認めない旨の審決を受けたことから,知財高裁に対し,その審決の取消訴訟を提起した事案である。
2 審決は,「...
[解 説]
1 Yは,「つゝみ」の平仮名文字を横書きしてなり,土人形を指定商品とする商標(本件商標)の商標権者である。本件商標は,昭和56年3月2日,登録出願され,平成3年11月29日,商標法3条2項に基づき設定登録されて,現在まで登録がされている。そして,Yは,かねてより本件商標と社会通念...
[解 説]
1 本件は,ジュール加熱(電気抵抗のある対象物に電流を流すことにより発生する電気抵抗熱を利用した加熱方法)を使用する連続加熱装置である被告製品を製造,譲渡した被告らに対し,「流動性を有する食品材料の連続加熱装置」に関する特許権を有する原告が,同特許権侵害の不法行為に基づいて,損害...
[解 説]
1 事案の概要
甲管理組合は,区分所有者乙に対する滞納管理費等請求権について債務名義を取得し,これに基づいて乙の区分所有建物(以下「本件建物」という。)の強制競売を申し立てた。
同強制競売事件において剰余金が発生し,弁済金交付手続が行われたが,債務者乙が出頭しなかったため,同...
[解 説]
1 事案の概要等
本件は,殺人被告事件の公判前整理手続において,被告人の取調べ状況を撮影したDVD2枚(以下「本件各DVD」という。)についての弁護人からの類型証拠開示請求(刑訴法316条の15)に対し,検察官が開示方法を閲覧のみと指定したため(ただし,その数日後に弁護人が検察...