最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,平成16年の司法制度改革関連の法改正により新設され,平成18年10月2日から施行されている即決裁判手続に関し,違憲の主張等がなされた事件についての最高裁の判決である。事案は,自衛隊に勤務していた被告人が,業務上保管していた官給品のパソコン1台を横領したというものであり,...
《解 説》
1 本件は,ビデオテープ等の販売を目的とする被告会社を経営する被告人が,福島県二本松市内に図書類の販売を目的として自動販売機1台を設置するに当たり,福島県青少年健全育成条例(以下「本条例」という。)所定の事項をあらかじめ届け出ず,かつ,従業員2名と共謀の上,販売の目的で,同自動販売...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,Y市がその設置する保育所のうち四つの保育所を平成16年3月31日限りで廃止する旨の条例(本件改正条例)を制定し,その施行によって当該各市立保育所が廃止され,その同じ建物等を利用して引き続き社会福祉法人による保育所の運営(いわゆる民営化)がされることになった...
《解 説》
1 貸金業者であるYは,Xに対し,平成10年2月19日に300万円を,同年3月から平成15年2月まで毎月20日限り,元本5万円ずつを経過利息と共に支払うなどの約定で貸し付けた。なお,この貸付けにおいては,Xが元利金の支払を怠ったときは,元利金について当然に期限の利益を失い,直ちに債...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,借主であるXが,貸金業者であるYに対し,Yとの間の継続的な金銭消費貸借契約に基づいてした弁済につき,利息制限法所定の制限を超えて利息として支払われた部分を元金に充当すると過払金が発生しており,かつ,それにもかかわらず,Yが残元金の存在を前提とする支払の請求...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,特別養護老人ホーム(以下「本件施設」という。)の入所者に対して虐待行為が行われている旨の新聞記事が同施設の介護職員である被上告人らからの情報提供等を端緒として掲載されたことにつき,本件施設を設置経営する社会福祉法人である上告人が,虐待行為につき複数...
《解 説》
1 本件は,A銀行(株式会社四国銀行)の株主であるXら(上告人)が,A銀行のB社に対する融資について,回収可能性がないにもかかわらず実行されたものであり,その融資当時のA銀行の取締役らのうち,融資実行の決裁や取締役会での承認決議に関与した取締役(以下「決裁関与取締役」という。)には...
《解 説》
1 外国国家に対する民事裁判権の免除に関しては,最二小判平18.7.21民集60巻6号2542頁,判タ1228号119頁(以下「平成18年判決」)がそれまでの判例を変更し,主権的行為と私法的ないし業務管理的な行為を区別して,「外国国家は,主権的行為以外の私法的ないし業務管理的な行為...
《解 説》
1 本件は,略式命令により確定した公職選挙法違反被告事件(以下「本件被告事件」という。)の記録につき,同事件の再審請求審の弁護人である申立人(ただし,本件被告事件の弁護人ではなかった。)が,刑事確定訴訟記録法(以下「確定記録法」という。)に基づいて閲覧を求めたのに対し,検察官により...
《解 説》
本件は,控訴人らが被控訴人である国に対し,イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(イラク特措法)に基づき自衛隊をイラクへ派遣することが憲法9条に違反するなどと主張して,自衛隊のイラク派遣の違憲確認及び差止めを求めるとともに,自衛隊のイラク派遣に...
《解 説》
1 愛知県青少年保護育成条例(以下「本件条例」という。)は,図書類を販売する自動販売機についての届出義務を課すとともに,有害図書類の自動販売機への収納を禁じ,自動販売機に収納された有害図書類についての撤去義務を課している。
2 Xは,愛知県内に多数設置した無人小屋の内部に通信制御販...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,業務上横領被疑事件の捜査のため第三者として捜索差押えを受けた原告らが,警視庁公安部公安第二課所属の警察官(以下「公安二課警察官」という。)による捜索差押許可状の各請求,東京簡易裁判所裁判官による捜索差押許可状の各発付,及び公安二課警察官による同捜索差押許可...
《解 説》
1 本件は,滋賀県の住民である原告が,滋賀県知事である被告に対し,滋賀県労働委員会,滋賀県収用委員会及び滋賀県選挙管理委員会の各委員(以下「本件委員ら」という。ただし,滋賀県収用委員会の予備委員及び滋賀県選挙管理委員会の臨時補充委員を除く。)に対し,月額報酬を支給する(以下「本件公...
《解 説》
1 本件は,弁護士事務所の経営者弁護士Xと勤務外国人弁護士Y(Yは外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法2条3号の外国法事務弁護士ではなく同条2号の外国弁護士であり,Xが依頼者Aから受任したインドにおける国際仲裁事件を担当していた。)との報酬分配合意を巡る紛争である。従...
《解 説》
1 本件は,株式会社プリンスホテル(Y1)において,そのホテルの会場(宴会場等)の使用予約などを一方的に取り消したため,平成20年2月に予定されていた日本教職員組合(X1)主催の「日教組第57次教育研究全国集会」(本件集会)の全体集会等が開催されなかったことについて,X1らが提起し...
《解 説》
1 本件事案の概要は,次のとおりである。Xは,「独り暮らしをつくる100」と題する書籍を著作した。Xは,同書籍の各所に同一のコンセプトに基づく同一の特徴を有する女性のイラスト(原告各イラスト)を創作して描いた。Y1会社(大和ハウス工業株式会社)は,Y2会社に依頼して,マンション購入...
《解 説》
1 本件は,Yが輸入した中国製の本件電気ストーブを,X1がAの経営する店舗で購入し,X1・X2間の子であるX3が自室で使用したところ,同ストーブから有害な化学物質が発生し,この化学物質を原因とする中枢神経機能障害及び自律神経機能障害を発症した上,化学物質過敏症の後遺症が残ったとして...
《解 説》
週刊誌の記事が名誉毀損に該当するとして提起された損害賠償等請求訴訟において記事の真実性,これがあると信じる相当理由の存在が問題となった事案である。記事は,「『人権擁護派』X Z大学教授『学内セクハラ』を被害者が告発!」という見出しのもと,大きく6つの内容からなっていた。①Aが愛人...
《解 説》
1 本件は,「鹿児島公職選挙法違反事件」,「志布志事件」などと称された事件であり,被告人12人全員(AからMまで。なお,Eは審理中に死亡し,公訴棄却決定が確定)に対し,無罪判決が言い渡され,確定した。
2 本件公訴事実の概要は,次のとおりである。すなわち,Kは,平成15年4月13日...