最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
本件は,被告人が,インターネットに開設した自己のホームページにおいて,フランチャイズによる飲食店の加盟募集及び経営指導等を目的として全国規模で事業展開している被害会社の社会的評価を低下させる表現行為を行ったとして,名誉毀損罪で起訴された事案である。
本判決に...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,建売住宅の分譲等の事業を営む原告(X)が,原告が他の建築主から請け負った建築工事に係る事業については,事業主として労働保険料の納付義務を負うが,原告が建築主として注文し他の業者に請け負わせた建売住宅の建築工事の事業(以下「本件事業」という。)については...
《解 説》
X2とX3は婚姻届出をしていない夫婦であるところ,両名の間に女子X1が出生したので,X2においてY区にX1の出生届を提出しようとし,X1を嫡出でない子とする表記が強制されるのを避ける考えのもとに出生届用紙の「父母との続柄」欄に何らの記載をせず,「届出人」欄の「父」欄にレ印を記載...
《解 説》
1 本件は,NTTグループを構成する原告らが,確定給付企業年金法に基づいて実施している規約型企業年金(以下「本件企業年金」という。)について,受給権の内容に変更を生じさせる年金規約の変更(給付利率等を国債の利率に連動して変動させる,いわゆるキャッシュバランス制度の導入)をするこ...
《解 説》
1 本件は,地方公務員であったA(夫)と婚姻後,既に14年間にわたって別居していたX(妻)が,その別居後,退職年金を受給するようになっていたAが失踪宣告を受けて死亡したものとみなされることになったことから,その所管する地方公務員共済組合であるYに対し,遺族共済年金の決定請求をし...
《解 説》
1 本件は,医師夫婦であるX2及びX3(X1の両親)が,世田谷区(Y2)の家庭福祉員(保育ママ)であるY1に対して長女X1(当時生後約5か月)の保育を委託したところ,Y1は,X1に対し,平成17年6月30日と同年7月12日の2回にわたり,泣きやまないX1をベビーカーに乗せたまま...
《解 説》
1 本件は,ストックアワードと呼ばれる勤務先の外国法人である親会社の株式を無償で取得することができる権利を付与されていた原告が,当該権利に係る株式を平成12年に売却して得た利益を給与所得として平成12年分の所得税の確定申告をし,上記株式を平成13年に売却して得た利益を一時所得と...
《解 説》
1 Xは,平成13年分の所得税に係る確定申告書を提出しなかったところ,税務署長は,Xに対し,株式を譲渡した譲渡所得があるとして,同年分の所得税に係る決定処分及び無申告加算税賦課決定処分をした。
そこで,Xは,株式譲渡当時,日本国内に住所を有していなかったと主張し,これらの処分...
《解 説》
1 地方税法73条の7は形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税を定めているところ,平成19年3月30日法律第4号による改正前の地方税法73条の7第4号は,「委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託により受託者から元本の受益者に信託財産を移す場合における不動産の取...
《解 説》
1 本件は,福井県(以下「県」という。)の住民である被控訴人Xらが,県の平成6年4月から平成9年12月までの旅費の支出について,架空の旅費に係る違法なものがあり,これにより県が損害を被っているとして,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,県に代位して,...
《解 説》
1 本件事案の概要は以下のとおりである。
経済産業省(当時の通商産業省)が,ゼロ・エミッション構想(ある産業から出る廃棄物を別の分野の原料として活用し,あらゆる廃棄物をゼロにするという資源循環型社会の形成を目指す構想)を推進すべく,平成9年度からエコタウン事業を創設したため,...
《解 説》
1 本件は,A(東京都八王子市)から工事の施工等につき委託を受けたB(財団法人東京都新都市建設公社)が発注した土木工事の入札に際して,Y1Y12(いわゆるゼネコン各社,被告ら)が談合した結果,受注予定者があらかじめ合意され,入札参加者間で公正な競争が確保された場合に形成されたで...
《解 説》
1 Xは,平成9年9月,自動車運送事業等を業とするY社に入社し,トラック運転の業務に従事していたところ,平成11年7月19日,荷物の荷卸し作業中に腰に激痛を感じたため,7月22日から,N病院等に入通院して治療を受けたが,腰椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄の後遺障害が残り,労災等級...
《解 説》
1 Y1(代表取締役Y2)は,Y3に対し建物管理業務等(以下「本件業務」という。)を委託し,X(建物の管理業務等を行う会社)は,Y3との間で業務委託契約(以下「本件契約」という。)を締結し,本件業務を受託した。
Y1は,別の会社に本件業務を委託するため,Xとの業務委託契約を更...
《解 説》
1 訴外A(大正12年生)は,尿路感染症等の治療のため,平成15年12月2日からY1の経営するB病院に入院していたが,同年1月12日,おにぎりを誤嚥して窒息するという事故(以下「本件事故」という。)に遭い,意識が回復しないまま,同年10月10日,呼吸不全で死亡した。
そこで,...
《解 説》
1 事案の概要
被告Yは富山県,石川県等を営業地域とする電気事業者であり,平成18年3月15日,実用発電用原子炉である志賀原子力発電所2号原子炉(同原子炉とその付属施設を包括して,以下「本件原子炉施設」という。)の営業運転を開始した。上記原子炉は改良型沸騰水型原子炉(ABWR...
《解 説》
1 訴外A(昭和7年生)は,平成15年12月27日,自宅で意識を失ったため,救急車で,Yが経営するB病院へ搬送され,B病院に入院して治療を受けていたところ,平成16年1月9日,右中大脳動脈に脳梗塞を発症し,以後重篤な状態が続いていたが,平成17年12月11日,B病院において死亡...
《解 説》
1 本件は,強直性脊椎骨増殖症の治療のため被告病院で頸椎骨切除手術を受けた当日の夜に呼吸困難で死亡した患者(なお,患者には術前から既に片側反回神経の麻痺が見られていた。)の遺族である原告らが,同病院医師及び看護師らが術後に適切な経過観察をせず,患者の呼吸困難の際に迅速に気道確保...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,父である被相続人Aの相続に関し,被相続人の子で相続人である控訴人Y1・Y2及び被控訴人X1~X4が,被相続人Aが有していた預貯金債権の帰属を争い,被控訴人X1~X4が,控訴人Y1・Y2に対し,預貯金債権が遺産分割の対象とならないことの確認を求めた事案で...
《解 説》
1 本件は,原告が,被告に対し,被告の製造販売するスパッタ装置が,原告が専用実施権の設定を受けている「平面及び非平面の支持体上に光学的な性能を有する薄いフィルムを付着させる方法」についての特許権を間接侵害するものであるとして,同製品の製造販売の差止め及び損害賠償を求めた事案であ...
《解 説》
1 本件は,第1審判決で敗訴したYが控訴期間経過後に控訴を提起したが,控訴の追完が認められるべきであると補足して主張したため,当該追完の許否が問題となった事案である。
2 Y(控訴人・第1審被告)の主張する追完の事由は,要するに,「原審においては,訴状や期日呼出状等の裁判所か...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,原告が,土地の造成工事の請負人から工事請負残代金債権を譲り受け,同土地の占有の移転を受けたので,同土地につき工事請負残代金債権を被担保債権とする留置権を有していたと主張して,不動産競売手続により同土地を買い受けた被告に対し,被告から原告に対する不動産引...