最も長い歴史をもつ判例実務誌
Prof. Dr. Wolfgang Eisenmenger ヴォルフガング・アイゼンメンガ-教授・Prof. Dr. med. Thomas Gilg ト-マス・ギルク教授・(訳)黒木尚長・(訳)寺尾壽幸
《解 説》
第1 概要
本判決は,日本国籍を有する男性を父とし,フィリピン共和国籍を有する女性を母として本邦で出生したXが,出生後父から認知されたことを理由に法務大臣あてに国籍取得届を提出したところ,国籍取得の条件を備えておらず,日本国籍を取得していないものとされたことから,父母の婚姻によ...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。
(1) Xら289名は,平成16年10月13日当時西武鉄道株式を所有していた株主である。Y1(西武鉄道)は,鉄道事業等を目的とする会社であり,東京証券取引所市場第1部に上場していた会社である。K社(コクド)は,不動産の所有等を目的とする...
《解 説》
1 本件は,Xが,渡航先から帰国する際に携行していた写真集について,東京税関成田税関支署長から関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの。以下同じ。)21条1項4号所定の輸入禁制品に該当する旨の通知(以下「本件通知処分」という。)を受けたため,上記写真集が同号に規定す...
《解 説》
1 本件は,いわゆる市民オンブズマン組織であるX(原告,被控訴人,上告人)が,平成6年度及び同7年度における宮城県警察本部総務室総務課(以下「総務課」という。)の事務連絡又は業務視察を目的とする県外出張に係る旅費の支出について,これらの出張は架空のもの又は業務上必要のないもので...
《解 説》
1 本件は,Y(被告,控訴人,上告人)の従業員であったAの相続人であるXら(原告,被控訴人,被上告人)が,Aが急性心筋虚血で死亡したのは,YがAの健康状態に対して十分な注意を払わずにAをして宿泊を伴う研修に参加させたことなどが原因であるとして,Yに対し,不法行為又は債務不履行に...
《解 説》
1 本件は,建物賃貸借契約の賃借人である原告(反訴被告,被控訴人,上告人兼申立人)が賃貸人である被告(反訴原告,控訴人,被上告人兼相手方)に対し賃料減額請求の意思表示をしたとして減額された賃料の確認を求める事案である。
2 事実関係の概要は,次のとおり
(1) 原告と被告は...
《解 説》
1 本件は,Xが,Yに対し,所有権に基づき,X所有の不動産に設定された抵当権設定登記の抹消登記手続を求める本訴を提起したところ,Yが,当該抵当権の被担保債権として,Xに対する貸付金債権を有している,または,Yに対する第三者の借入金債務をXが連帯保証しており,Xに対する連帯保証債...
《解 説》
1 本件は,Y1社の発行済株式の100分の3以上の数の株式を6か月前から引き続き有するXが,Y1社及び会社法346条1項に基づきその任期満了後もなおY1社の取締役の権利義務を有するY2に対し,会社法854条を適用又は類推適用して,Y2をY1社の取締役の権利義務を有する者から解任...
《解 説》
1 本件は,被審人が不当景品類及び不当表示防止法違反審判事件につき,公正取引委員会から排除措置を命じる旨の審決(以下「本件審決」という。)を受けたにもかかわらず,その履行をけ怠していたため,公正取引委員会が東京高等裁判所に対し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下...
《解 説》
1 本件は,民事再生手続において,再生債務者Xの再生計画(以下「本件再生計画」という。)を認可した原々決定を取り消して,これを認可しないとした原決定に対し,Xから許可抗告の申立てがされた事案である。
民事再生法(以下「法」という。)174条2項3号は,再生計画の不認可事由の一...
《解 説》
1 本件は,刑事被告人として勾留により大阪拘置所に収容されていた原告が,同所に収容されていた間,朝日新聞の自費による定期購読を許可されなかったのは違憲,違法であるなどと主張して,被告(国)に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料等の支払を請求した事案である。
昭和41年矯正...
《解 説》
1 原告はいわゆる執行役員制度を採用していたところ,Aらは同制度の下で主要な使用人というべき執行役員の地位にあった。Aらは,原告が委員会等設置会社(平成17年法律第87号による廃止前の株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律1条の2第3項)に移行するのに伴い,原告の執行役...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,寝屋川市,枚方市,四條畷市,交野市の4市で構成された一部事務組合である被告(以下「本件組合」という。)が,プラスチック類の中間処理を行うための圧縮梱包処理施設(以下「本件施設」という。)の建設工事に際し,本件施設建設工事・運営費を支出する行為が違法であ...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,平成18年度新司法試験の受験者である原告が,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「法」という。)13条に基づき,法務大臣に対し,上記試験における自己の労働法の答案及び当該答案を採点した考査委員が付した素点が記載された文書の開示を請...
《解 説》
1 事案の概要
被控訴人は,昭和41年,被控訴人やそのグループ会社の従業員の退職者に対し,福祉年金制度を創設した。その制度の概要は,従業員が退職した場合,その退職金の一部を被控訴人に預け,これに対し,被控訴人が,その預入額に一定の利率(給付利率)(当初は年10%)による利息相...
《解 説》
1 本件は,個人タクシー事業者である原告において,タクシー利用者からの苦情処理や乗務員に対する指導等の事業を行う組織である被告から,換気のためにタクシーの窓を開けたり,乗客に対して禁煙を願い出たりする行為を接客態度違反との理由で一律禁止され,また,接客態度違反があったとして始末...
《解 説》
本件は,心臓弁膜置換手術を受けた患者が,術後,出血性貧血による心筋虚血及び心タンポナーデ(大量の心嚢液貯留により心膜腔内圧が上昇し,心室拡張障害を来し,それに伴って著しい静脈灌流障害が出現し,心拍出量が低下した状態)を原因とする心不全を発症した結果,低酸素脳症から遷延性意識障害...
《解 説》
1 本件は,発熱と痙攣を主訴として,平成7年5月19日に被告病院に入院した原告甲(生後10か月)及びその両親が,被告病院における結核性髄膜炎との鑑別診断が遅れ,専門医への転医が同年6月8日になったために,結核性髄膜炎後遺症,水頭症,痙性四肢麻痺,難治性てんかん,重度精神遅滞の後...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。
(1) Xらは,厚生年金保険法等に基づき設立された各種年金基金等から,将来の年金給付の原資となる資産等を合同して運用する年金投資基金信託口を受託し,あるいはその受託者から再信託を受け,機関投資家として,各年投口に係る信託財産を所有し,管...
《解 説》
1 本件は,「無アルカリガラス,液晶ディスプレイパネル及びガラス板」の発明に係る特許出願(特願平7―311019号)についての拒絶査定を維持すべきものとした審決(不服2003―11174号)に対する取消訴訟である。
本件出願は,先行する2つの特許出願に基づく優先権を伴う特許出...
《解 説》
1 本件は,区分所有建物であるマンションの管理組合である被上告人(控訴人兼被控訴人,第1審原告)が,同組合の管理に係るマンションの区分所有権等を特定承継した上告人(被控訴人兼控訴人,第1審被告)に対し,建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)8条,7条1項に基づき,前...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,2件の背任事件及び1件の偽計業務妨害事件からなる事案である。2件の背任事件は,外務省国際情報局の主任分析官であった被告人が,日本国とロシア連邦等(協定上,「受益諸国」と称されている。)との間で締結された協定(以下「協定」という。)に基づいて設置された国...