最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,被告(被控訴人,上告人)を貸主,原告(控訴人,被上告人)を借主としていわゆるリボルビング方式の金銭消費貸借に係る二つの基本契約が締結され,各基本契約に基づいて取引が行われたところ,原告が,上記取引を一連のものとみて,これに係る各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利...
《解 説》
1 本件は,遺留分権利者である原告ら(被控訴人,上告人)が,被相続人からその遺産を遺贈された被告ら(控訴人,被上告人)に対し,民法1041条1項に基づく価額弁償として,弁償金及びこれに対する相続開始の日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求めた事案である。上告審においては,価額...
《解 説》
1 本件事案の概要
X組合は,北千住駅西口地区を施行地区とする第一種市街地再開発事業(本件再開発事業)の施行者であり,平成11年3月1日に知事の認可を受けて設立された(この日に認可の公告もされているようである。)。X組合は権利変換計画の縦覧を平成13年1月17日から行い,知事...
《解 説》
1 本件は,西大阪高速鉄道株式会社の西大阪延伸線(阪神西九条駅から近鉄難波駅)計画予定地の近隣住民等であるXらが,Yが行った鉄道施設の工事施行認可(本件認可)につき,列車走行により受忍限度を超える騒音被害を生じさせるものであって,鉄道事業法(事業法)8条2項の国土交通省令で定め...
《解 説》
1 本件は,東京都公立中学校の教員であるXが,東京都教育委員会の職員がXに関して作成された本件各文書を都議会議員である本件議員らに提供してXのプライバシーを侵害した旨主張して,Yに対し,国家賠償法1条,4条,民法723条に基づき,損害賠償として220万円及びこれに対する遅延損害...
《解 説》
1 X1は,平成16年2月25日午後9時10分ころ,道路交通法違反(速度超過,免許証提示義務違反)の現行犯人として逮捕(本件逮捕)されるとともに,同18分ころ,警視庁A警察署に引致され,犯罪事実の要旨と弁護人選任権の告知,弁解録取の後,同30分ころからB警部補による取調べが始め...
《解 説》
1 本件は,土地の持分の売買代金が相続税法7条の規定する「著しく低い価額」の対価に該当するとして行われた課税処分の違法性が争われた事案である。本判決は,本件における土地持分の代金額は,相続税評価額(財産評価基本通達に従って評価した価額。以下同じ)と同額で,時価の約78%であると...
《解 説》
1 事案の概要
原告は,鉱泉浴場等(以下「本件各施設」という。)を経営する株式会社(町が発行済株式総数の9割を所有するいわゆる第三セクターである。)であるところ,平成12年4月1日から同13年3月31日までの間,同年4月1日から同14年3月31日までの間及び同年4月1日から同...
《解 説》
Xら3名は,K市の住民であるが,K市が市内のA土地区画整理組合に職員を派遣し,職員の給与を支出したことは,地方公務員法35条(職務専念義務),地方自治法204条の2,公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(公益法人等派遣法)2条,6条に違反し,また,K市がA組合に...
《解 説》
XらはY(県教育委員会)に対し,Yが県立高校から受け取った学校調査に関する文書の公開(又は開示。以下,同様。)を請求したところ,これを拒否され,後に一部文書の公開を受けた。Xらは,公文書の部分公開決定の内,非公開部分の取消しを求めて提訴した。Yが非公開としたのは,高等学校の校地...
《解 説》
1 Xは,昭和47年にYに高校教諭として雇用され,昭和52年に病気により休職して両目が弱視となり身体障害者手帳の交付を受ける状況となり,昭和54年に復職した後に教科担当から外されて「AV学習指導センター指導員」(指導員)となったところ,平成15年度校務分掌から外され,これに対し...
《解 説》
各種機械の製造等を主な業とするX社の社員であるX労働組合及びX組合員12名は,組合加入を理由とする賃金昇格差別があったと主張してY労働委員会に救済申立てをしたところ,Yはその主張の一部を認め,救済命令を発した。X社は同救済命令中,救済申立てを認容した部分につき取消しの訴えを提起...
《解 説》
本判決の要点を理解するために事実経過を単純化すると次のとおりである。Xら6名は,平成元年10月から同2年3月までの間,A社からゴルフ会員権を購入し,そのうち4名が銀行(Y1),2名がその関連会社であるノンバンク金融会社(Y2)から提携ローンにより購入資金を借り入れ,うち2名が完...
《解 説》
Yは,エステティックサロンを経営する会社であり,A社との間でサーバーのレンタル契約を締結してウェブサイトを開設し,その後,A社にホームページの制作と保守を委託した。Xら14名は,平成12年から14年の間にYのホームページに本件ウェブサイトで実施された無料体験の募集に応じ,氏名,...
《解 説》
1 Y1社は,平成16年6月,「崩壊したごみリサイクル 御殿場RDF処理の実態」と題する書籍(以下「本件書籍」という。)を出版したが,その中で,「官僚出身の元御殿場市長であったXは,工学部に籍を置いた経験と,RDFに詳しい大学の先輩から情報を集めて,自らRDFの将来性について,...
《解 説》
脳動脈りゅうを発見された患者Aは,Yが設置する大学病院において,当初,開頭手術を受ける予定であったが,術前に行われた医師らのカンファレンスにおいて,脳血管撮影の所見をよく検討した結果,開頭手術がかなり困難であり,コイルそく栓術を試みるべきであるとされ,コイルそく栓術が実施された...
《解 説》
1 本件年金制度の概要
被告には,被告を退職した元教職員,その遺族を主たる年金受給者とする私的年金制度(以下「本件年金制度」という。)が存在し,本件年金制度は,被告の規約である年金規則(以下「本件年金規則」という。)及び同規則施行規程によって運営されている。
本件年金規則で...
《解 説》
本件は,被告人が酒気を帯びた状態で自動車を運転したという道路交通法違反及び自車を高速度で走行させて制御を失わせ,橋の上を歩行していた被害者に衝突させ,死亡させたという危険運転致死の事案である。
被告人は,犯行前に友人らと多量の飲酒を行った後,自分は酒を飲んでも事故を起こさない...
《解 説》
1 本件は,殺人未遂被告事件の公判前整理手続において,弁護人が,被告人の捜査段階における自白の任意性を争うとともに,刑事訴訟法316条の20に基づき,その予定主張に関連する証拠として,いわゆる取調べメモ(取調警察官が取調べの経過その他参考となるべき事項を記録し作成した備忘録)の...