最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
本件は,神奈川県に在住するがん患者である原告が,被告(国)に対し,インターフェロン療法(保険診療)に活性化自己リンパ球移入療法(自由診療)を併用する療養を受けた場合であっても,インターフェロン療法については健康保険法(以下「法」という。)に基づく療養の給付を受...
《解 説》
1 事案の概要
Xは,郵政事務官として採用され,A郵便局に勤務して郵便集配業務に従事していた者であるが,採用になる約8か月前の学生時代にM48戦車輸送阻止闘争(ベトナム反戦行動)に参加し,その際犯した公務執行妨害罪により,採用から約7か月後の昭和48年12月7日に懲役4月,執...
《解 説》
1 所属弁護士会から業務停止3月の懲戒処分(以下「本件懲戒処分」という。)を受けた弁護士Xは,Y(日本弁護士連合会)に審査請求をしたが,審査請求を棄却する裁決を受けたため,上記裁決の取消しの訴えを提起するとともに,本件懲戒処分の効力の停止を求める旨の執行停止の申立てをした。原決...
《解 説》
1 事案の概要
京都府にある宮津市(以下「市」という。)は,その周辺の町と共同して,公有地の拡大の推進に関する法律に基づき,丹後地区土地開発公社(以下「本件公社」という。)を設立し,本件公社に委託して公有地となるべき土地の先行取得を行わせていた。
市は,平成8年12月19日...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,学校法人であるYに雇用され,その設置する私立学校に勤務する教職員であるXらが,Yは平成14年度及び同15年度の各12月期の期末勤勉手当(以下「本件各期末勤勉手当」という。)をいずれも一方的に減額し,一部しか支払わなかったと主張して,Yに対し,本件各期末...
《解 説》
1 本件は,強姦の被疑事実に基づき逮捕,勾留され,その後不起訴処分となった被疑者が,検察官のした勾留請求が違法であるなどと主張して,国に対して国家賠償を求める本案訴訟において,勾留請求の資料として勾留担当裁判官に提出された告訴状や被害者の供述調書等について,これを所持する国を相...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,訴訟上の救助の決定(以下「救助決定」という。)を受けた者(以下「受救助者」という。)の全部敗訴が確定し,かつ,受救助者に訴訟費用を全部負担させる旨の裁判が確定した場合において,裁判所が,受救助者の資力回復等を要件とする民訴法84条に基づく救助決...
《解 説》
1 道路交通法(法)及び同法施行令(令)は,免許の取消し又はその効力の停止の処分の基準の一部としていわゆる点数制度を採用している。同制度は,交通法規に違反した運転者,特に道路交通上最も危険度が高いと考えられる常習的な違反運転者を的確に把握し,これに対し適正かつ効果的な改善措置を...
《解 説》
本件は,東京拘置所に収監されていた際に結核性頸部リンパ節炎を発症した刑事被告人が,同拘置所における結核治療について,①生体組織検査(生検)等の必要な検査を行わずに直ちに抗結核剤を投与したため確定診断が遅れ,療養期間が長期化するとともに耐性菌による再発の不安を抱えることになり,②...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,原告らが,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)3条に基づき,資金管理団体「松岡利勝新世紀政経懇話会」の平成18年分の収支報告書の開示を請求したところ,総務大臣が開示決定を行わない旨の処分をしたと主張して,その取消しを求...
《解 説》
1 Aは,建築コンサルタント業社Bの土木技師であり,数多くの海外赴任経験を有していたが,平成11年4月からは,ODA事業の施工監理のため,セントヴィンセントに単身赴任し(ホテル暮らし),現地で施工管理業務に従事していた。現地には,会社関係者はA以外にはおらず,現地に滞在する邦人...
《解 説》
1 本件は,原告が,被告世界基督教統一神霊協会(以下「被告統一協会」という。),被告統一協会の支配下にあって被告統一協会による組織的な違法資金獲得活動に従事していた会社であって,被告玉置祥子(以下「被告玉置」という。)が代表取締役を務める被告株式会社グローバルビューティー(以下...
《解 説》
1 本件は,原告が,ヘルペス脳炎により高次脳機能障害の後遺障害が残ったのは,被告病院医師が適切に問診・鑑別診断をしなかったこと(過失①)及び被告病院入院後の抗ウイルス剤の投与期間及び量が不適切であったこと(過失②)が原因であるとして,被告に対し,債務不履行又は不法行為に基づく損...
《解 説》
1 本件は,相続財産の全部を換価してその費用等を控除した全額を第三者に遺贈する旨の清算型包括遺贈(雨宮則夫=石田敏明編著『遺産相続訴訟の実務』335頁参照)がなされた場合に,遺言執行者は遺留分を有しない法定相続人に対して相続財産目録の交付義務や執行状況等の報告義務を負うか否か,...
《解 説》
本件は,平成9年11月17日に経営が破綻した北海道拓殖銀行(拓銀)の元代表取締役であったYら8名に対し,特定の企業グループ(本件ではカブトデコム株式会社及びそのグループ)に融資したことが取締役の善管注意義務に違反するとして商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条...
《解 説》
1 本件は,Xにおいて,Yと合併する前の会社(以下,合併前後を問わずYと表示する。)との間で成立した株式持合いの合意に基づき,平成13年から平成14年にかけてYからYの保有する鉄道会社(なお,鉄道会社の会長は,Yの会長であるAが兼ねていた。)の株式(本件株式)を購入した(本件取...
《解 説》
1 本件は,建具製造等を業とするXが,火災保険契約を締結していた損害保険会社のYに対し,その工場から出火(本件火災)して損害が発生したとして,火災保険金を請求したところ,Yが火災は偶然の事故ではない(X代表者の意を受けた者による放火である)として,その保険金の支払を拒んだため,...
《解 説》
1 本件は,メジャーリーグ所属の球団「シカゴ・カブス」のロゴと同一形状の本願商標と引用商標とは,外観及び観念の差異を考慮してもなお,称呼において類似するから,本願商標は,商標法4条1項11号に該当するとした拒絶審決の取消訴訟である。
本願商標は,肉太の円輪郭中に,これとほぼ同...
《解 説》
1 本件は,①被告人が共犯者らとともに,パチンコ店でパチスロ遊技機(回胴式遊技機)のロムを取り外し,代わりに不正ロムを取り付けていた際,それを店長らに発見されて逮捕されそうになったため,店長や店員ら3名に暴行を加えて傷害を負わせたという強盗致傷(事後強盗)と,②別のパチンコ店に...
《解 説》
本件は,被告人が,①特急電車に乗車していた女性を車内のトイレや洗面所に連れ込んで強姦し,②普通電車に乗車していた女性を車内の座席において強姦し,③鉄道駅で見かけた女性を駅構内のトイレに連れ込んで強姦し,④飲食店で店の責任者に暴行を加えて負傷させるという強姦3件,傷害1件の犯行に...