最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
本件は,被告人が,共犯者4名と共謀の上,保険金目的で被害者を殺害しようと企て,被害者に海外旅行傷害保険契約を締結させた上,社員旅行を装ってフィリピン共和国に連れていき,同国において,被害者を殺害したが,保険会社に殺害の疑いを抱かれて,死亡保険金等の詐取は未遂に...
《解 説》
1 本件は,亡夫Aと共にマンション管理員として住み込みで勤務していたXが,両名は時間外労働及び休日労働を行ったのに就業規則所定の割増手当が一部しか支払われていないと主張して,Y社(合併によりB社の権利義務を承継)に対し,上記の割増手当の残額等の支払を求めた事案である。
2 事...
《解 説》
1 事案及び判決の概要
(1) 本件は,電機製造業最大手Y2の工場に就業する工員Xの労働組合への二重加入をめぐる同人と同社及び企業別組合Y1との間の争いである。原審の確定した事実の要点は次のとおりである。
Xは,Y1の組合員であったが,自分の待遇についてY1がY2との間です...
《解 説》
1 本件は,自動車を運転していたAが自動車ごとため池に転落して死亡した事故について,その相続人であるXらが,保険会社Yに対し,自動車総合保険契約の人身傷害補償特約(本件特約)に基づき保険金の支払を請求する事案である。
2(1) Aは,昭和57年ころに狭心症との診断を受け,狭心...
《解 説》
1 本件は,夜間高速道路において自動車を運転中に自損事故を起こし,避難のため車外に出た運転者が,後続車によりれき過されて死亡したことにつき,自家用自動車保険契約普通保険約款の搭乗者傷害条項における死亡保険金の支払事由に該当するか否かが問題となった事案である。
2 Aは,夜間高...
《解 説》
1 本件は,港湾運送事業や倉庫業等を営む被告会社の代表取締役等であった被告人5名において,被告会社が,千葉市内の借地において保管中の,いわゆる硫酸ピッチ入りのドラム缶約6000本(以下「本件ドラム缶」という。)の処理を,下請会社の代表者であるWに委託したところ,そのうち361本...
《解 説》
1 工場跡地に15階建て分譲マンションの建築計画がされたところ,景観権・環境権が侵害され,日照,通風その他の被害を受けると主張する近隣住民が,建築主,建築工事を請け負った建設会社及び本件マンションの建築確認を行った指定確認検査機関を被告として,建築差止,5階を超える部分の撤去及...
《解 説》
1 Xは,商品取引所における商品取引を行う商品取引員Aに対し,商品取引所法(平成16年法律第43号による改正前のもの。以下「法」という。)97条1項に基づき,委託保証金を預託し,商品先物取引を委託していた。ところが,Aが,監督庁により営業停止処分を受けて,各商品取引所で違約(決...
《解 説》
1 本件は,隣家同士のトラブルが険悪化する中,隣家の夫が隣家の主婦を猟銃(散弾銃)で狙撃して,同女を殺害した上,その義妹にも重傷を負わせた事件(本件事件)につき,亡主婦の夫らである原告らが,栃木県公安委員会が発砲加害者に銃所持を許可した(本件許可処分)のは違法であった等と主張し...
《解 説》
1 本件は,荒尾市の住民であるXらが,第三セクター方式で設立され「アジアパーク」の名称でテーマパークを経営していた会社(本件会社)に対する金融支援として行った補助金約1億1650万円の支出,及び銀行5行(本件5行)と市の間で本件会社の債務につき締結した損失補償契約に基づく損失補...
《解 説》
1 本件は,建設工事請負業を営むXが,雇用していた従業員であるA(ただし,専務の肩書きを与えていた)が集金した工事代金等約3500万円を着服横領したため,Aの母や兄弟であるYらに,将来再びAが同様の行為をした場合には,Aと連帯して既発生の上記損害金を支払うことを約束させた(本件...
《解 説》
1 AはX所有の甲地とB所有の乙地及び丙地を各賃借人からそれぞれ転借し,甲地と乙地及び丙地の上に跨る一棟の丁建物を所有してショッピングセンターとして使用してきたが,経営に行き詰まり民事再生手続の開始決定を受けた。Aの管財人に選任されたYは再生手続の換価業務として丁建物を売却する...
《解 説》
本件は,貸金業者Yとの間で金銭消費貸借を締結し,借入と返済を繰り返していたXらがYに対し,Xらが支払った利息を利息制限法に照らして計算し直すと過払であったと主張し,悪意の不当利得による過払金及び確定利息の支払を求めるとともに過払元金に対する過払発生日以降の商事法定利率(年6分)...
《解 説》
X1(代表者X2)は,1級建築士事務所を開設し,土木建築,測量,設計等を目的とする株式会社であるが,Y信用金庫に出資して,その会員となっていた。X1とYとの間では,信用金庫取引約定が締結され,X1はYから4回にわたり,総額1億円余を借り受けたが,支払を怠り,信用保証協会が代位弁...
《解 説》
1 事案の概要
Xの父A(当時82歳)は,平成10年7月6日(以下,日付はすべて平成10年を指す。),左耳介部有棘細胞癌と診断され,Y1大学病院に入院した。有棘細胞癌とは,表皮を構成する主要な細胞が癌化し,多くの場合カリフラワー状の隆起性の外観を呈するもので,Aの場合には10...
《解 説》
1 本件は,オーストラリア国籍を有する夫がオーストラリア国ニューキャッスル連邦治安判事裁判所において得た離婚判決に基づいて我が国において離婚届出したが,日本人である妻が,その離婚判決は外国判決の承認の要件を欠いているとして,離婚の無効確認を求めた事案である。
2 本判決は,外...
《解 説》
平成15年10月7日付けの婚姻届出によって戸籍上A(平成16年4月25日死亡)の妻となったYは,東京家庭裁判所に対し,亡Aの自筆証書遺言書であるとして,「15年10月7日」,「Aは妻Xへじょうとする」,「保険 そんぽ 年金 預金 北越BK 山梨中央BK その他をする」などと手書...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。X社は,自動車売買の仲介斡旋等を目的とする株式会社であり,株式を東証第2部に上場している。Y1社は,コンピュータネットワークに関するコンサルティング等を業とする株式会社であり,株式を平成18年4月14日まで東証マザーズに上場していた。X社と...
《解 説》
Xは,平成15年4月7日,Yとの間で火災共済契約を締結したところ,平成16年3月7日に発生した火災により目的物件である本件建物が全焼したことを理由として火災共済金,臨時費用共済金及び弁護士費用合計3700万円の支払いを求めて提訴した。Yは,本件火災は,鍵のかかった家屋の内部から...
《解 説》
1 事案の概要
フリーランスの写真家であるXは,Yからの依頼に基づき,Yが発行する雑誌の特集記事のテーマに従って,同記事掲載用に撮影を行い,その写真をポジフィルムの形で,Yに納品した。Xは,Yにおいて,雑誌掲載後に,保管していたX撮影の写真の一部をデジタルデータ化して,当該デ...
《解 説》
1 本件は,XがYに対し,リボルビング払い(元利定額残高スライド)方式のカードキャッシングによる貸金の元利金等の支払を請求したところ,Yが答弁書その他の準備書面を提出しないで第1回口頭弁論期日に欠席したが,一審の簡易裁判所が,貸付は全体として1個の貸付けであると解して,各貸付(...
《解 説》
本件は,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(いわゆる医療観察法)42条1項1号の入院決定についての抗告審の決定である。
事案は,家族と同居中の居宅に火を放って現住建造物等放火をした対象者が,その当時心神喪失の状態にあったとして不起訴処分とな...