最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,Yの経営する外国語会話教室に通っていたXが,受講契約を中途解約したことに伴い,前払受講料の清算を求める事案である。本件の事実関係等の概要は,以下のとおりである。
(1) Yが経営する外国語会話教室において授業を受けるためには,Yの料金規定(以下「本件料金規定」とい...
《解 説》
1 X(昭和33年生)は,平成2年4月に三重県立高校の教諭として採用され,平成15年4月からは県立A高校の教諭として勤務していたものであるが,平成15年9月5日午前2時ころ,飲酒の上で自動車を運転し,信号待ちのために停車していた自動車に追突して運転者に傷害を負わせる事故を起こし...
《解 説》
1 本件は,十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流の遊歩道において,観光客X1が石に腰掛けて昼食を取っていたところ,地上約10mの高さから,長さ約7m,直径約20cmのブナ(国有林)の枯れ枝が落下し,これに直撃されて重傷を負ったため,X1とその夫X2が,遊歩道及び本件ブナの所有者及び...
《解 説》
1 本件は,茨木市の住民であるXらが,茨木市長の職にあったAが市長として同市のもと職員に対し非常勤の嘱託員を委嘱したことが嘱託制度の濫用であって違法であり,同市は上記職員に対して支給した報酬相当額の損害を被ったなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,同市の市長...
《解 説》
1 本件は,地方公共団体の実施する農業集落排水事業に伴う維持管理分担金の負担について,その適法性が争われた事案である。
被告村長は,原告世帯の居住する住宅が,同事業の中核施設となる汚水処理場に連なる管路施設にいつでも排水管等の排水設備を接続して排水施設を利用できる状態になった...
《解 説》
1 事案の概要
Y土地改良区の事務部門の長にあったXが,Y土地改良区に対し,違法な降職処分により4階級降格させられたとして,①総務部長及び出納責任者の地位にあることの確認,②現に減額された給与分の支払,③定年直前までの減額される分の給与の支払,④精神的苦痛に対する慰謝料の支払...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Y病院は,昭和31年11月28日に法人化され,精神科等を診療科目とする病院を経営する医療法人であり,平成11年4月当時,医師約20名,職員約230名が在籍していた。X労働組合は,昭和48年8月17日,Y病院の職員によって組織されたY病院で唯...
《解 説》
1 本件の事案は,Xら親子とYが共有する通路(本件通路)を巡る紛争である。Xらからは多岐にわたる主張及び請求がなされているが,本判決が注目されるのは,原判決では認容されていた本件通路についての共有物分割請求(乙事件)を斥けた点である。そこで,以下においては,その点に関する限りで...
《解 説》
1 本件は,根抵当権に基づく不動産競売事件において作成された配当表に関し,1個の根抵当権が数個の債権を担保し,そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において,当該担保不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足...
《解 説》
1 本件事案の概要
X銀行は,昭和54年,Yとの間で,A会社のX銀行に対する手形貸付取引上の債務について元本極度額を350万円(後に850万円に変更された。)とする根保証契約(本件保証契約)を締結した。Yは,当時,農協職員であり,A会社の役員,従業員でもなく,A会社と取引関係...
《解 説》
1 本件は,1審被告から地続きの2筆の土地(以下「本件土地」という。)を買い受けた1審原告が,そのうちの1筆の土地上に以前存在していた建物(以下「本件建物」という。)で殺人事件があったことを後で知ったことから,本件土地には隠れた瑕疵があると主張して,1審被告に対し,損害賠償を請...
《解 説》
1 本件は,被告(非貸金業者)から300万円の貸付けを受けた原告が,被告に対し,利息制限法に沿って弁済を充当計算した結果生じた過払金の返還を求めた事案である。これに対し,被告は,原告から310万円の弁済を受けたことは認めるものの,それ以外に弁済は受けていないと反論した。
2 ...
《解 説》
1 本件は,弁護士2名(Y1,Y2)に対し,元の依頼者である2社(X1,X2)が,弁護士に預託した金員が費消・領得された旨主張し,不法行為や債務不履行に基づき損害賠償を請求したところ,その一部が認容されたという事案である。
2 事実関係は次のとおりである。Y1は,X1会社から...
《解 説》
1 Y1は,性同一性障害者に対する医療分野における先駆的立場にある医科大学教授である医師Xに対し,診察の際のセクシャル・ハラスメント(以下「セクハラ」という。)及びこれに関して取材を受けた際の週刊誌記者に対する発言による名誉毀損,プライバシー侵害を理由とする謝罪広告掲載等請求訴...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,原告が,商品先物取引会社2社との間で先物取引を行い,合計で3600万円余りの損失が生じたところ,この損失は,商品先物取引会社の従業員らが適合性原則等に違反した違法な勧誘行為をし,過度な取引を行わせるなど違法な行為をしたために生じたとし,上記商品先物取引...
《解 説》
1 本件は,交差点の横断歩道上を歩行していた被害者の女性(当時26歳)に,対面信号機が赤色であったにもかかわらず同交差点に直進進入してきた加害車両が衝突し,被害者が即死したという交通事故(以下「本件交通事故」という。)について,被害者の両親である原告らが,加害者である被告に対し...
《解 説》
1 本件の診療経過等は,以下の通りである。
患者は,平成13年10月,乳がん検診を受診し,左乳腺腫瘤を指摘されたため,同月23日,被告病院を受診し,触診,エコー,マンモグラフィー,吸引細胞診等の検査を受けたところ,マンモグラフィーによっては,癌は描出されなかったが,エコーの結...
《解 説》
1(1) 本件は,永代信用組合(以下「永代信組」という。)が,リゾート開発を行っていた不動産業者に対し19億円の融資(以下「本件融資」という。)を行ったことについて,当時,永代信組の代表理事組合長であった被告が理事としての善管注意義務及び忠実義務に違反したもので,本件融資の未回...
《解 説》
1 事案の概要
(1) Xは,「本当にあったH(エッチ)な話」の語を配置した図形商標の商標権(本件商標権)を有する者である。Yは,「本当にあったHな話がてんこ盛り!」の語を配置した標章(被告標章1),「実際にあったエロ話がてんこ盛り!」の語を配置した標章(被告標章2)及び「本...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,Yらが輸入・販売した鞄の形態が,Xが販売していた鞄(原告商品)の形態を模倣したものであり,Yらの行為が不正競争防止法2条1項3号の不正競争に該当するとして,Xが,Yに対し,同号及び同法4条に基づき,不正競争の損害の賠償を求めた事案である。
Yは,原告...
《解 説》
1(1) 本件は,国民健康保険組合であるYの理事長(X1)及び副理事長(X2)の地位にあったXらが,Xらを理事長等から解任するとともに,反対派の理事を理事長等に選任した理事会決議(本件決議)について,同決議は,招集権者であるXによる招集手続がされていないのはもちろん,Yの主張す...
《解 説》
リース業者であるXは飲食店業を営むYとの間で多数回にわたり,フルペイアウト方式によるファイナンスリース契約を締結し,各対象物件を引き渡した。各契約においては,特約として,ユーザーであるYに整理,破産,和議,会社更生等の申立てがあったとき,リース業者であるXは,催告をしないで契約...
《解 説》
1 本件は,暴行被告事件について,被告人が,自閉症により非常に多岐にわたるコミュニケーション障害を有する上,中等度精神遅滞があるため,知的能力によってコミュニケーション障害を補うことができず,刑事裁判の構成員の役割や黙秘権について理解しているとは認めがたいこと等に照らすと,被告...