最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,東京都中野区の住民である原告が,住民基本台帳法の平成11年改正により導入されたいわゆる住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)が,憲法13条により保障されている原告のプライバシー権(自己情報コントロール権),氏名権及び公権力によって包括的に管理...
《解 説》
1 本件は,我が国に不法残留していたパキスタン人である原告が,日本人女性の配偶者になったことを理由に,入管法49条1項の異議の申出には理由がない旨の裁決及び退去強制令書発付処分の取消しを求めた事案である。
原告は,日本人と結婚したことを理由に,在留特別許可を得るべく入管当局に...
《解 説》
1 本件は,平成10年5月16日の集中豪雨により旧宍喰町の山間部の谷間を流れる河川沿いにあるX土地の北側にある本件山腹の斜面が崩落し,X土地に居住するXらの家屋が全半壊する等の被害を受けるという本件崩落事故が発生したことにつき,その原因は本件山腹の斜面に沿って設置された本件町道...
《解 説》
1 本件は,散弾銃の誤射による死亡事故の被害者Aの相続人であるXらが,①散弾銃を誤射したY1に対し,民法709条に基づく損害賠償を,②Y2(奈良県)に対し,Y1の散弾銃の所持許可が失効していたにもかかわらず,公安委員会委員若しくはその補助者には銃砲刀剣類所持等取締法に基づく提出...
《解 説》
1 本件は,文部科学省登山研修所(当時は文部省登山研修所)が大学の山岳部及びワンダーフォーゲル部等のリーダーなどを対象として主催した平成11年度山岳部リーダー冬山研修会(以下「本件研修会」という。)において,北アルプス大日岳頂上付近で雪庇の崩落により発生した雪崩事故によって死亡...
《解 説》
1 本件は,青森県弘前市の住民である原告らが,同市議会議員11名が同市から交付を受けた政務調査費の全部又は一部の支出が違法である旨主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告市長に対し,違法支出額と同額の不当利得返還及び遅延損害金支払を市議会議員ら11名に対してそれ...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。X労働組合は,Y鉄道会社の労働者約1000名で組織されている組合である。Yは,地方機関としてO市内に関西支社を置き,同支社の現業機関として第1ないし第3車両所を置いている。第1車両所には約56名で組織されたXの下部組織である分会(以下「本件...
《解 説》
1 本件は,X大学が,Yらが所属しているサークルが使用していたサークルボックス(以下「本件建物」という。)について,その使用禁止処分を発したにもかかわらず,Yらが,本件建物の使用を不法に継続しているとして,所有権に基づく明渡しを請求した事案である。
2 本件の中心的争点は,①...
《解 説》
1 本件は,Y発行の新聞販売店を経営するXらにつき,①X1が,Yによる新聞販売店契約の更新拒絶には正当理由がないとして,かかる契約上の地位を有することの確認と,Yの継続的取引関係における供給者側の優越的地位の濫用による営業権侵害を理由とする不法行為による損害賠償請求を,②X2が...
《解 説》
1 本件は,家電用品,日用雑貨品等の販売を主たる業とする原告が,被告Y2発行の月刊誌において,被告Y1が執筆した,原告の店舗(以下「本件店舗」という。)で発生した放火事件(以下「本件火災」という。)につき,本件店舗の営業に関して危険な商品陳列方法を採用していた上,従業員への防災...
《解 説》
1 本件は,3件の別件訴訟(被告Y1が原告,被告Y2がその訴訟代理人,被告Y3が被告Y1の協力者,原告X又はその経営する会社が被告)における準備書面やY1・Y3作成の陳述書が原告の名誉を毀損するものとして提起した損害賠償請求訴訟である。
2 本判決は,原告が主張する名誉毀損行...
《解 説》
1 本件は,左膝下(左膝窩部)を負傷してYの経営する病院に入院したものの,負傷部位にガス壊疽(嫌気性細菌による感染症で,ガス発生を伴い,極めて速やかな進行により,筋肉の壊死や全身状態の悪化を招く疾病)が発症して,入院5日目には左大腿切断術を受け,1下肢を膝関節以上で失うという後...
《解 説》
1 患者は,被告の開設するA病院において胃癌に対する幽門側胃切除術等を受けていたところ,その約3か月後の平成15年5月13日,午後4時ころから心窩部痛が出現し,徐々に増悪して自制不可能な状態となったという主訴により,午後7時35分ころに救急車でA病院に来院した。A病院では,ソセ...
《解 説》
1 X(昭和4年生)は,平成8年9 月26日,Yの開設するA病院で脳血管撮影を受けたところ,脳動脈瘤が発見されたため,同年11月29日,A病院において,顕微鏡下脳動脈瘤クリッピング手術(以下「本件手術」という。)を受けたが,手術直後から顔面・上肢に麻痺が発症し,左半身麻痺等の重...
《解 説》
1 事案の概要
X1,X2の被相続人であるAは,Y1の経営するY2医院に通院していたところ,平成4年2月ころ,C型ウイルス性肝炎と診断されたが,Y1はインターフェロン投与の適応を判断する検査を行わなかった。Aは,その後平成13年末ころまでY2医院への通院を続けたが,Y1は,肝...
《解 説》
1 本件は,亡AがYとの間で締結した建物及び家財一式に関する住宅総合保険(火災保険)につき,建物等が火災により全焼したとしてAの相続人であるXらが,Yに対して火災保険金の支払を求めた事案であり,火災がAの故意重過失により招致されたものか(放火性とAの関与)が争点となった。
2...
1 1 差し戻し審において、控訴審が特信性ありありとした証人の検察官調書を採用したものの、なお同証人の供述は核心的部分において信憑性に欠ける等として無罪を言い渡した事例。
2 一次的媒介物の近くで二次的媒介物に着火したが、現在建造物等放火罪の実行の着手を否定した事例
(横浜地裁平18・11・14判決)