最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 平成6年当時,香川県香川町の町長であったAは,B設計会社に設計を行わせた町道の改良工事をC建設会社に請け負わせた。C社は,工事を完成し,町に引き渡したが,翌年には,工事に瑕疵があることが明らかになり,町は,修補費用の支出を余儀なくされた。そこで,Aは,町長として,B社に対し...
《解 説》
1 本件は,北海道のパチンコ業者であるXが,北海道A市内でのパチンコ店の出店を計画したものの,地元のパチンコ業者ら(以下「本件事業者ら」という。)において,地元の社会福祉法人(以下「本件社会福祉法人」という。)と共謀し,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営...
《解 説》
1 本件は,日本人夫婦であるX(申立人,抗告人,相手方)らが,X1の精子とX2の卵子を用いた生殖補助医療により米国ネバダ州在住の米国人女性が懐胎し出産した双子の本件子らについて,品川区長に対し,Xらを父母とする嫡出子としての出生届(本件出生届)を提出したところ,品川区長は,X2...
《解 説》
1 本件は,原告が,北海道の北広島市情報公開条例(以下「本件条例」という。)に基づき,本件条例所定の実施機関である北広島市教育委員会に対し,被告が過去に実施した北広島市芸術文化ホールの管理業務委託(以下「本件業務委託」という。)に係る指名競争入札の予定価格調書(以下「本件各文書...
《解 説》
1 本件は,医療法人である原告が,県知事である被告に対し,病院開設の許可を申請したところ,被告が,医療法30条の7に基づき,病院開設中止の勧告(本件勧告)をしたことにつき,原告が,その手続に重大かつ明白な違法があるなどとして,本件勧告の無効確認を求めた事案である。
本件請求は...
《解 説》
1 事案の概要
原告X1は,長崎市長から被爆確認証の交付を受け,居住していた大韓民国から,代理人を通じて,広島県知事に対し,被爆者健康手帳交付申請書に被爆者確認証を添付して提出し,被爆者健康手帳の交付を申請した。ところが,広島県知事は,原告X1の居住地が大韓民国であることを理...
《解 説》
1 本件は,Yが,平成16年12月17日,定期航空運送事業を営むA社に対して,航空法107条の3第1項に基づき,平成17年2月1日以降の使用に係る羽田空港についての混雑飛行場運航許可(本件許可)をしたところ,同事業を営むXが,国土交通省が新規航空会社の市場参入を促進させる目的で...
《解 説》
1 本件の事案
本件は,東京都立の養護学校の教職員を組合員とする労働組合である原告が,教育研究集会を開催する目的で東京都立の養護学校(以下「本件学校」という。)施設の使用許可を求めたが不許可とされたことについて,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,100万円の損害賠償の支...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 川崎市は,かわさき港コンテナターミナル株式会社(以下「訴外会社」という。)が第三セクター方式で設立されるに際して,複数の金融機関との間で,各金融機関の訴外会社に対する融資について,各金融機関が損失を被った場合には,その損失を補償する旨の協定(以下「本件...
《解 説》
1 事案の概要
東京都の住民であるXは,東京都清瀬市を流れる一級河川である空堀川の河川区域のうち埋立工事により廃川敷地となった区域において,東京都知事の河川管理権限に基づく止水壁撤去工事等が実施され,工事請負代金が支出されたが,これは,廃川敷地となったことによって河川管理権限...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,高知県,須崎市及び土佐市など6団体が大規模年金保養基地(グリーンピア土佐横浪。以下,単に「グリーンピア」という。)の運営のため出資して設立した財団法人に対し,高知県が平成14年度に総額5億7391万円,平成15年度に総額480万8000円をそれぞれ貸し...
《解 説》
1 災害補償給付の要件である公務起因性(業務起因性)があると認められるためには,公務(業務)と疾病との間に事実的因果関係(条件関係)のみならず相当因果関係のあることが必要であるところ,基礎疾患,素因等の他の要因と公務が競合して疾病の発症に至った場合における相当因果関係の有無の判...
《解 説》
1 本件において認定された事案の概要は,次のとおりである。
原告ら10名は,被告会社の従業員であったところ,被告会社においては,その主たる取引先との取引関係が解消されることになったために,売上高が大幅に減少するようになり,相当額の営業損失が計上され,売上高に対する人件費率も高...
《解 説》
1 X(控訴人)は,熊本の旧市街にあった由緒ある神社で,国道の拡幅のため移転を余儀なくされ,新しい土地を求めて郊外に移転した。ところが,その新境内地の一部(枝番80,93)について,第三者から自分の土地であると明渡し訴訟を提起され(別訴),仮にそうであれば自社の土地はその隣地で...
《解 説》
1 本件は,被告にアマチュアボクシングの選手として登録していた原告が,被告に対し,違法な選手登録の取消しにより,平成15年5月28日から1年間,全国高等学校総合体育大会,国民体育大会及び全国高校選抜大会のボクシング競技に出場することができなくなったと主張して,不法行為責任に基づ...
《解 説》
1 訴外A(昭和22年生)は,Yの経営するB病院に准看護婦として勤務していたが,平成12年9月24日,自宅トイレを清掃中に気分が悪くなったため,救急センターで受診し,その後,数日間自宅で安静にしていたものの,症状が改善しなかったため,同月28日,B病院で受診して投薬等を受けた。...
《解 説》
本件は,被相続人A(平成13年死亡)の祭祀に関する権利の承継者を長男Y1と長女X1のいずれにすべきかが争われた事案である。原審判及び本件抗告審決定とも,双方の希望に沿い,過去帳及び仏壇についてはX1を,位牌(XらがAの死後作成したものを除く)についてはY1を権利の承継者と定めた...
《解 説》
1 株式譲渡制限のある非公開会社であったダスキンは,加盟店等による株式保有を経営方針としつつ,株主において換価の必要性が生じた時はグループ内の関連会社に買い取らせて適時同社から,また単元未満株主からの買取請求に応じた各自己株式取得をしていたところ,毎会計期の直前に次期における1...
《解 説》
1 本件は,Xが,その代表取締役であったYに対し,①YがX所有の自動車を低価格で買い受けた行為,②各種契約(4件の各種コンサルティング契約,1件の調査契約)を締結して高額な対価を支払った行為が,それぞれ取締役の善管注意義務に違反するとして損害賠償を請求した事案である。
Yは,...
《解 説》
本件は,交通事故の被害自動車を被保険自動車とする人身傷害補償特約付一般自動車総合保険に基づき被害者の相続人に保険金を支払った保険会社Xが損害賠償請求権を代位取得したことを理由として,加害者Aの加入していた家庭用総合自動車保険(TAP)の保険会社Yに対し,同保険の他車運転危険担保...
《解 説》
1 事案の概要
英国法人Xは,「BURBERRY」の文字商標及びいわゆるバーバリーチェックの図柄につき商標権を有している。Yは,通信販売の方法で,上記登録商標と同一の標章を付したバーバリーバッグ(被告商品)を譲渡した。なお,Yは,被告商品を,輸入業者から譲渡を受けたA社から仕...
《解 説》
1 事案の概要
Xは,発明の名称「放電焼結装置」に係る特許権(本件特許)を有していた。Yは,本件特許発明に対し,特許庁に特許異議の申立てをし,本件特許は取り消された。なお,Xは,Yに対し,上記特許異議申立てが不法行為に当たると主張して,損害賠償の一部請求として10万円の支払等...
《解 説》
1 刑事裁判において,被告人が犯人かどうかはもっとも深刻な争点であるところ,このような犯人性について,目撃証言などの直接証拠がなく,いわゆる情況証拠(間接事実)による認定が問題とされる事案は少なくない。本件は,何者かが被害者の頸部を何らかの方法で圧迫して窒息死させて殺害し,死体...
《解 説》
1 本件は,いわゆる横浜事件に関する再審公判の控訴審判決である。
2 本件控訴に至る経緯を要約すると,被告人ら5名は,当時の治安維持法違反の罪で横浜地裁に起訴され,昭和20年8月29日から9月15日にかけて有罪判決を言い渡され,判決は確定した。その後,死亡した被告人らの遺族か...