最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本判決は,覚せい剤等の規制薬物の密売を業としたことに係る麻薬特例法違反幇助の事案において,「幇助犯が得ていない薬物犯罪収益を幇助犯から没収・追徴することはできない」と判示して,幇助犯から没収・追徴可能な薬物犯罪収益の範囲について,これまでの高裁判例とは異なる判断を示したもの...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Yは,損害保険業等を目的とする株式会社であり,Xら46名は,いずれもYにおいて損害保険の契約募集等に従事する外勤の正規従業員である「契約係社員」の地位にある者である(Yにおいては,契約係社員を「リスクアドバイザー」あるいは「RA」と呼称して...
《解 説》
1 本件は,日本経済新聞社の元代表取締役である原告1及び同社の元常務取締役である原告2 において,被告1 が執筆し,被告2の発行する週刊誌に継続して連載され,また,被告2 により単行本化された「乱気流 小説 巨大経済新聞」の記載により名誉を毀損されたとして,被告らに対し,本件小...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,厚生年金保険の被保険者であった叔父との間で内縁関係にあった姪が,厚生年金保険法(以下「法」という。)に基づき遺族厚生年金の支給を受けることのできる配偶者に当たるか否かが争われた事案である。
(1) Xは,祖父の勧めにより,父の弟に当たる叔父Aと夫婦と...
《解 説》
1 本件は,自動車の通行を前提とする民法210条1項所定の通行権(公道に至るための他の土地の通行権。210条通行権)の成否等が問題となった事案である。
2(1) Xらが現在所有している本件一団の土地(約1万5200㎡)においては,従前,その東側に位置する本件赤道が公道へ出入り...
《解 説》
第1 事案の概要
1 請求の内容等
本件は,「中華民国」という名称の原告が,中国人留学生の学生寮として使用され,「光華寮」と呼ばれていた建物(以下「光華寮」という。)を昭和27年12月に買い受けたとして,その所有権に基づき,一部の寮生に対し,不法占有を理由に各占有部分の明渡...
《解 説》
1 本件は,被告人が,①共犯者1名と共謀の上,10軒の住居に侵入し,強盗強姦5 件,強盗致傷・強制わいせつ1 件,強盗・強制わいせつ3件等を敢行し,②単独で,2 軒の住居に侵入し,強盗致傷1 件,窃盗1件を敢行したという事案である。
1審判決は,これらのうちの強盗強姦5件につ...
《解 説》
1 本件は,公務執行妨害被告事件の被告人として大阪拘置所に勾留されていたXが,大阪拘置所長らに対して,弁護人接見時における弁護人に対する宅下げ書類については,弁護人やXの面前で,封筒を開披し,書類を閲読することなく禁制品の有無の検査だけをするよう要求したにもかかわらず,拘置所の...
《解 説》
1 本件は,被告が,①原告が所有して賃貸していた土地について,賃貸借契約が合意解約される際に,賃借人から原告に無償で提供された本件建物利益が不動産所得に当たるとして,所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行い,さらに,②原告所有の集合賃貸住宅の敷地内に設けられた本件駐車...
《解 説》
1 本件は,青森県弘前市の住民である原告らが,市が自然体験型拠点施設整備事業の用地取得のために,スキー場用地の取得後に経営破たんしていた第3セクター所有の土地等を約3億5000万円で買い受ける契約を締結した上で,その契約に基づく残代金約1億円を支出したことが違法・不当な支出であ...
《解 説》
本件は,Yが設置するY病院に勤務していた看護師のXが,検査器具を洗浄する際に使用する消毒液に含まれる化学物質(グルタルアルデヒド)の影響で化学物質過敏症に罹患したとして,Yに対し,安全配慮義務違反を理由として損害賠償を請求した事案である。
Xは,平成10年5月から平成12年6...
《解 説》
甲が空き地で知人とともに飼犬を放して遊ばせていたところ,乙が飼犬を散歩に連れて通りかかり,知人の飼犬と乙の飼犬との絡み合いが起こり,これを制止しようとした知人が転倒したため,甲は,駆け寄って乙の飼犬を制止しようしたところ,犬に咬まれて負傷してしまった。甲は,乙に対し,乙の飼犬に...
《解 説》
X(原告)は,競走馬の所有,育成等を主要な業務とする法人馬主であり,被告(Y)は,日本中央競馬会法に基づき設立された法人で,競馬法により競馬を行う団体である。Xは,Yの登録を受けた競走馬の所有者として,所有競走馬の預託料等の経費を負担する一方,所有競走馬がレースに出走した場合,...
《解 説》
1 X(昭和37年生)は,平成13年3月16 日,Y 病院で麻疹及び重症の肺炎(疑い)と診断され,全身麻疹,呼吸困難の症状や高熱を出していたことから即日入院した。
その後,Xの熱は一旦下がったものの,同月19日から高熱を出して意識障害を起こし,麻疹の合併症として髄膜炎が疑われ...
《解 説》
Aは東京都渋谷区内に土地建物(渋谷不動産)を所有していたが,平成4年9月に死亡し,妻B と長男X 及び二男Y が相続した。Bは青森県内に土地(青森土地)を所有していたが,Bは平成13年5月に死亡し,XとYが相続した。ところでAは,昭和62年4月に渋谷不動産をYに相続させるとの公...
《解 説》
1 本件は,被告(立川市)が,Aの市都民税滞納金を徴収するため,Aと原告との間の生命保険契約(本件契約)に基づくAの請求権を差し押さえ(本件差押え),同契約の解約に基づく払戻金等の支払(本件支払)を受けたが,Aが差押えから支払までの間に死亡していたため,原告が被告に対し,被告の...
《解 説》
1 パチンコ店経営等を業とする有限会社であるXは,その経営する店舗建物及び設備機械等について,損害保険会社であるY1及びY2との間で,火災保険契約を締結していたが,上記店舗建物及び設備機械等が火災により焼失した。そこで,Xは,Y1及びY2に対して,上記火災保険契約に基づき火災保...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,商標法(以下「法」という。)8条2項に規定する協議や,同5項に規定するくじの実施がなされずに登録に至った場合に関する無効不成立審決の取消訴訟である。すなわち,被告が有する「ガンバレ!受験生」との商標(以下「Y商標」という。)は,訴外Z 社が有する「がん...
《解 説》
1 X1は,本件商標(「YODEL/ヨーデル」,指定商品「薬剤」,商品の区分第1類「薬剤」(平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表))に係る商標権の元商標権者であり,同商標権は,その後グループ企業であるX2,X3に順次移転され,X1は本件商標の独占的使用許諾を受け...
《解 説》
1 訴外Aは,平成16年2月13日,司法書士であるYを遺言執行者に指定し,その遺産を訴外Bなどに遺贈する旨の公正証書による遺言(以下「本件遺言」という。)をし,平成17年5月8日に死亡した。
Aの戸籍上の子であるXは,受遺者に対する遺留分減殺請求手続を訴外C弁護士に委任をした...
《解 説》
1 本件は,破産した甲株式会社(甲)に対して貸金債権を有していた原告が,同貸金債権を担保するため乙有限会社(乙)の有する不動産に根抵当権を設定したところ,乙有限会社の破産管財人に就任した被告が,上記根抵当権設定は破産法(法)160条3項の無償行為にあたるとして否認請求の申立てを...
《解 説》
1 本件は,次のような事案である。被告人は,独居老人である知人の女性から返済の意思も能力もなしに借金を繰り返し,同女の銀行預金口座の残高がほとんどなくなってしまったため,借金の原資とさせるため,投資契約に係る同女名義の中途解約申込書を作成して契約相手の会社に郵送し,投資契約を中...
《解 説》
1 本件は,被告人らが,個室マッサージ店の実質的な経営者であった被害者を殺害し,被告人Aにおいて同店舗の経営を承継したとして,経営上の権益を強取したという2項強盗殺人罪で起訴された事案である。
2 ここでいう「経営上の権益」とは,もとより法律上の概念ではないが,起訴状の記載や...