最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,原子爆弾が投下された際,当時の広島市内若しくは長崎市内に在り,又は原子爆弾が投下された時から起算して一定期間内に広島市内に在った者として被爆者健康手帳の交付を受けている原告ら9名(X1ないしX9)が,原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し,又は疾病にかかり,現に医療を要...
《解 説》
1 事案及び原判決の概要
(1) 本件は,東京都渋谷区内の土地(本件各土地)の登録価格を争って,審査の申出をした共有持分権者の承継人Xらが固定資産評価審査委員会Yの決定(本件決定)の取消しを求めた事案である。
一般に,土地の登録価格についての審査決定の取消訴訟においては,審...
《解 説》
1 本件は,生コンクリートの製造販売業者であるYにおいて運転手等として就業していたXらが,時限ストライキ(以下「本件ストライキ」という。)等の争議行為に対してYが行ったロックアウト(以下「本件ロックアウト」という。)の期間中の賃金を請求した事案であり,ロックアウトの正当性が争点...
《解 説》
1 本件は,府立病院の「外科医長」であったXが,「主査」に命じる処分(本件処分)を受けたことにつき,かかる処分が降任(地公法27条2項)であり不利益な処分(同法49条1項)にあたるとして府人事委員会に不服申立を行ったところ,これを却下する裁決を受けたとして,Yに対して本件処分の...
《解 説》
1 本件は,市議会解散の是非を問う解散の投票につき投票事務の執行の差止めが求められた訴え(以下「本件本案事件」という。)に関して,行政事件訴訟法37条の5に基づき,本案の第1審判決言渡しまでの間,当該投票事務の執行を仮に差し止めることが求められた事案である(以下「本件申立て」と...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,申立外株式会社が大阪府公安委員会に対してパチンコ店の営業許可申請をしたのに対し,当該店舗近隣の歯科医院の管理者である申立人が,当該店舗は大阪府条例における制限区域内(有床診療所から100m以内)に所在するにもかかわらず許可がされようとしていると主張して...
《解 説》
1 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という)4条2項2号とこれを受けて定められた岐阜県条例では,岐阜県公安委員会は,保護施設周辺地域(学校等の敷地の周囲100メートル以内)において,同法3条1項の許可を行うことができないという距離制限規定を定めてい...
《解 説》
1 本件は,弁護人である弁護士が,東京拘置所の職員に対して午前の接見受付時間内に被告人との接見を申し出たにもかかわらず,休憩開始までに約3分程度しか接見時間を確保しなかったことが違法であると主張して,国家賠償法1条1項に基づき,Y(国)に対し,慰謝料10万円及び遅延損害金の支払...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Yは,ビル関連設備・システムのメンテナンス及び管理を業とする会社であり,Xは,Yに昭和52年4月に入社し,同社に勤務していた従業員である。Xは,平成16年8月,自宅のベランダに父親の死体を約4か月放置していたとして,死体遺棄罪で逮捕勾留され...
《解 説》
1本件は,XがYに対し,新築マンションを売り渡す契約をしたがYが代金の支払をしないとして,約定の違約金428万円の請求をしたところ,Yは,Xがマンションの眺望について事実と異なる説明をしたとして,消費者契約法による取消し,債務不履行(説明義務違反)による解除,損害賠償を主張して...
《解 説》
1 被控訴人(被告)は,反復継続してパチンコ攻略情報の販売をしている事業者である。本件は,控訴人(原告)が,被控訴人からパチンコで確実に稼げるとの勧誘を受けたことにより,パチンコ攻略情報を購入して多額の代金を支払ったが,教えられた手順では成功せず金銭を費消したため,前記勧誘は消...
《解 説》
1 本件は,貸金業者Yから借入れと返済を繰り返していたXが,Yに対し,弁済金のうち利息制限法所定の制限利息を超えて支払った利息部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して,不当利得返還請求権に基づく過払金の返還等を求めたのに対し,Yが,Xの弁済はXY間に成立した和解契約...
《解 説》
1 本件は,上告人が,主位的請求として,被上告人との間の金銭消費貸借取引において支払われた利息等のうち,利息制限法1条1項所定の利息の制限を超える部分等を元本に充当すると過払金が生じているとして,不当利得返還請求権に基づく過払金の返還等を求め,予備的請求として,会社更生手続中の...
《解 説》
1 本件の特色は,カードローンに係る貸金返還請求事件において,被告が口頭弁論期日に欠席したにもかかわらず,弁済金の充当方法に関する原告の主張が排斥され,原告が一部敗訴した点にある。
2 原告と被告の取引は,いわゆるカードローンなどと呼ばれるものであり,被告は,一定の利用限度額...
《解 説》
1 Xは,京都弁護士会所属の弁護士であるが,その外5名の弁護士とともに,A外1名(以下「Aら」という。)から,訴訟委任を受けて,貸金業等を目的とする株式会社のYを相手方として,Aらがその夫又は父である亡BからBの財産を相続により取得したことを前提に,BとYの間の金銭消費貸借契約...
《解 説》
1 Xは,内閣官房郵政民営化準備室が発行した郵政民営化に関する「郵政民営化ってそうだったんだ通信」と題する新聞折込みチラシの企画制作等を受注した業者であり,Yは,元衆議院議員である。Yは,衆議院郵政民営化特別委員会において被告が質問,発言した内容に関し,週刊誌「SPA!」を発行...
《解 説》
1 訴外A(昭和5年生)は,平成12年7月13日夕刻,犬を連れて散歩に出たが,近所の排水路に転落して負傷したため,救急車で,Yの経営するB病院に搬送された。
B病院のC医師は,下顎の裂傷を消毒して縫合する等の必要な処置を行ったが,傷が化膿するおそれがあるため,経過観察のためB...
《解 説》
1 本件遺言者(明治42年3月生。平成15年10月死亡。)には,本件の原告ら及び被告である3名の相続人(いずれも本件遺言者の子である。)が存在し,本件遺言者は,平成5年7月,平成8年12月,平成11年3月に,それぞれ遺言公正証書による遺言を行っている(以下,上記各遺言を順に「第...
《解 説》
1 本件は,原告らが特許出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これを不服として審判請求をしたが,特許庁が請求不成立の審決をしたことから,その取消しを求めた事案である。
2 本件の事実関係は,次のとおりである。
(1) 特許庁等における手続の経緯
原告らは,平成5年12月1...
《解 説》
1 Xは,弁理士であり,Y(日本弁理士会)の会員であったところ,平成17年8月9日,Yにより,Y審査委員会の覆審部の決定に基づき,日本弁理士会会則(以下「会則」という。)によりXに与えられた権利を1年間停止する旨の処分を受けた。処分の理由は,Xが,会則41条(品位保持義務)に違...
《解 説》
本件は,XはYとの間において,Xをライセンサー,Yをライセンシーとする,ライセンス契約を締結していたところ,Yについて民事再生手続開始決定がなされ,Yが民事再生法49条に基づいてライセンス契約の解除をしたので,Xは再生債権として解除後の年間最低保証ロイヤリティ相当額を届け出たが...
《解 説》
1 本件は,地方銀行の行員であった被告人が,本人確認の手順が行われないまま銀行で顧客の通帳を作成させた上,この通帳を一旦分解して用紙にワープロで印字し,再び通帳をくみ上げるなどして通帳を変造して,顧客に交付して行使し(有印私文書変造,同行使),定期預金として預け入れる名目で,顧...
《解 説》
本件は,被告人が,歯科医師の免許がないのに,患者の口くう内に手を入れ切削機器を用いて自然歯,補てつ物を切削するなどの歯科医行為をし,歯科医業を行ったという事案である。
被告人は,歯科技工士であったが,歯科医療の現場とも関わるうちに,噛み合わせを調製することで身体の不快症状を改...