最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,長崎市に投下された原子爆弾によって被爆し,長崎市長から被爆者健康手帳の交付を受けた上,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成11年法律第87号による改正前のもの。以下「被爆者援護法」という。)による健康管理手当の支給認定を受けた者として,同手当の支給を受けてい...
《解 説》
1 国税徴収法は,32条以下において第二次納税義務につき定めているが,その39条は,滞納者である本来の納税義務者が,その国税の法定納期限の1年前の日以後にその財産について無償又は著しく低い額の対価による譲渡等の第三者に利益を与える処分を行ったために,本来の納税義務者に対して滞納...
《解 説》
第1 はじめに
1 本件は,当時18歳になって間もない少年であった被告人が,平成11年4月14日の白昼,配水管の検査を装って上がり込んだ山口県光市内のアパートの一室において,当時23歳の主婦(以下「被害者」という。)を強姦しようとしたが,激しく抵抗されたため,被害者を殺害した上...
《解 説》
1 本件は,東京都羽村市の住民X1らが,市が施行する予定の羽村駅西口土地区画整理事業は違法であると主張し,平成13年度一般会計歳入歳出決算書の抜粋(写し)等を添付して,同年度に不当,違法に支出された公金を羽村市に返還し,今後もこのような不当,違法な事業に対し公金を支出しないよう...
《解 説》
1 本件は,広島県の公立小中学校等に勤務する教職員によって組織された職員団体であるXが,Xが主催し昭和26年から毎年開催してきている広島県教育研究集会の第49次集会の会場として,呉市立中学校の学校施設の使用を申し出たところ,いったんは口頭でこれを了承する返事を校長から得たのに,...
《解 説》
1 本件は,ガーナ国籍を有する原告が,入管法(平成16年法律第73号による改正前の出入国管理及び難民認定法)24条4号ロの退去強制事由(不法残留)に該当するとの入国審査官の認定,同認定に誤りなしとする特別審理官の判定を経て,法務大臣に対する異議申出(入管法49条1項)に理由なし...
《解 説》
1 本件は,いわゆる潜水橋(河川増水時に水流に逆らわずに橋面が水面下に没するよう構築され欄干も設けられていない橋で,四国地方に多く見られる)を通行中の自動車が川に転落して運転者(長男)と同乗者(長女)が水死した事故につき,その相続人であるXらが,橋の管理者であるYに対し,管理に...
《解 説》
1 本件は,海運業を営む被控訴人が,パナマ共和国に子会社を設立して以来,子会社の資産,負債,損益はすべて内国法人である被控訴人に帰属するとして確定申告を行っていたところ,控訴人は,当該子会社は租税特別措置法66条の6第1項及び第2項に規定される特定外国子会社等に該当する会社であ...
《解 説》
1 Xらは,長野県の住民であり,Yらは長野県議会議員である。長野県は,平成12年4月20日,Yらを全米桜祭り親善交流(本件親善交流)に派遣し,その費用を農林水産業費の予備費から支出する決定をし,同年5月2日に合計171万円の公金を支出した(本件公金支出)。Xらは,平成14年3月...
《解 説》
1 私立学校を経営する学校法人Yは,教職員らの給与について,給与規程を置き,期末勤勉手当については,予め定められた期日に理事会が定めた額を支給すると規定していたが,実際の期末勤勉手当の支給は人事院勧告に準拠しておこなっていた。Yは,平成14年度及び平成15年度の人事院勧告がマイ...
《解 説》
Xは,品質管理システムの国際規格であるISO9000シリーズ等の第三者登録機関から審査登録業務の委託を受けたYとの間で,品質システムの契約審査員として雇用期間1年間の有期雇用契約を締結したが,審査業務には極めて高度な知識及び技能が必要であるにもかかわらずXがこれらを備えていない...
《解 説》
1 原告は,本件マンションの管理組合の理事長であり,管理者の地位にある。被告Aは,同マンションの一室の区分所有者である女性である。被告Aは,同人の長男である被告Bを同室に居住させ(使用貸借)ている。本件は,原告が,被告Bの近隣に迷惑を及ぼす異常な行動等が他の区分所有者らの共同の...
《解 説》
1 本件は,債権者から根抵当権の譲渡を受けたXが,その目的となる土地建物の競売開始後に競売建物の占有を開始したY1と,競売土地に隣接して競売建物の付属建物の敷地として利用されている土地の所有権移転登記をしたY2が共同して根抵当権に基づく不動産競売を妨害し,当初1200万円以上で...
《解 説》
Xら夫婦の子Aは,Y1に雇用され,Y2に出向して店長をしていた者であるが,他店の店長の要請を受け,夜間その他店に赴き,レイアウト変更の手伝いをしていたところ,侵入して来た2人の強盗犯人にバットで殴られたり,ナイフで刺されて失血死した。XらはYらにおいて強盗等の侵入防止のためのセ...
《解 説》
1 本件は,被告がその発行する産経新聞の平成14年1月30日付け朝刊の社説において,「問題教師 すみやかに教壇から外せ」との標題の下に,「『紙上討論』と称する社会科の授業で反日的な教育を行っていた東京都足立区の女性中学教師は,授業に疑問をもつ母親を中傷するプリントを配り,生徒が...
《解 説》
1 Xは,個人タクシー業者であるY1が運転するタクシーに乗車しようとした際,Y1のドア操作上の過失により負傷したとして,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟(以下「別件訴訟」という。)を提起した。Y1は,Y1の任意保険会社Y2を通じて,甲弁護士に別件訴訟の追行を委任し,上記ドア操作...
《解 説》
1 事案の概要
Yは,医療機関に賃貸する目的で,本件メディカルビル(メディカルビルとは,1つのビル内に複数の医療機関や調剤薬局が入居するビルのことである。メディカルビルには,ある診察科目を受診した患者が他科を受診する可能性が高くなるということから,開業コストの低減,集患面での...
《解 説》
本件は,人事録からの経歴の抹消費用等の名目で,200万円を騙し取られた原告が,この詐欺行為の振込先として利用された銀行口座(以下「本件口座」という。)を開設・譲渡した被告に対し,この不法行為の幇助者に当たるとして,民法719条2項,1項,709条に基づき,損害賠償を求めた事案で...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,A有限会社の従業員であった知的障害のある原告ら女性3名が,A社の代表取締役であった被告が,原告らに対し身体的,性的,精神的虐待を行ったこと及び被告はA社の代表取締役として,従業員らの安全かつ平穏な労働環境等を確保すべき義務があるのに,原告らに対し,身体...
《解 説》
1 本件は,慢性心不全の急変によりY病院に搬送後,急死した患者Aの母であり相続人であるXが,Yに対し,Yが設置・運営する病院医師の診療行為の過誤を理由として債務不履行又は不法行為に基づき損害賠償を求めた事案である。
本判決によれば,その事実経過は,先天性心疾患(ファロー四徴症...
《解 説》
1 X1とX2は,平成3年7月16日,Yの設置する「A病院」において,円錐角膜の治療のため,角膜移植の手術を受け,その後も数度にわたり緑内障治療のための手術を受けるなどしたが,最終的に失明するに至った。
そこで,Xらは,Yに対し,A病院で実施した角膜手術の際の措置が不適切ある...
《解 説》
1 本判決が認定した事実経過は次のとおりである。X1はY4が設置する小学校6年に在籍中の1学期に同級生であったY1,Y3から暴行等を受け,2学期にY1~Y3から無視されるなどのいじめを受け,3学期からY1,Y2が別室で授業を受けるようになったが,Y1,Y2から下校中に暴行を受け...
《解 説》
1 Xは,平成11年7月から平成12年9月にかけて,フットワークインターナショナル株式会社(以下「インター」という。)の株式を取得したものである。
被告のうち,Y11は,本件当時,インター及びフットワークエクスプレス株式会社(以下「エクスプレス」という。)の会計監査法人であっ...
《解 説》
1 本件は,Xが不正競争防止法及び著作権に基づき,Yに対し,Y標章を包装紙に付した饅頭等(Y商品)の販売の差止め等を求めた事案であるが,その概要は次のようなものである。Yは,包装紙に「撃」と「GEKI」の文字からなる標章(本件標章)を付した饅頭(本件饅頭)をXから仕入れて販売し...
《解 説》
フィリピン人女性Xと日本人男性父Yは,フィリピンにおいて結婚し,両名の間に子Zが生まれた。この結婚は日本国においては届出がされておらず,子Zについて日本国の国籍が留保されていなかったため,Zはフィリピンの国籍のみを有していた。Zは出生以来,Xと共にフィリピンにおいて生活し,Yは...
《解 説》
XはYに対する不法行為に基づく損害賠償請求債権(201万円余)を被保全債権としてYの都市銀行3行に対する預金債権の仮差押を申し立て,その際,仮差押債権として銀行毎に各本店及び同一県内支店(13ないし17店)を順位付けて表示した。原審は,金融機関に対する預金債権を仮差し押さえする...
《解 説》
1 本件は,被告人が,いわゆるセキュリティ・ホールを利用して,不正アクセス行為を行ったという不正アクセス行為の禁止に関する法律(以下「不正アクセス禁止法」という。)違反の事案である。本件の手法等事案の詳細については判決文にあたられたいが,本件サーバでは,ID及びパスワードの入力...