最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 自動車損害賠償保障法(以下「法」という。)16条の3第1項は,保険会社が被保険者に対して保険金を支払うとき又は保険会社が法16条1項の規定により被害者に対して直接損害賠償額を支払うときは,死亡,後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める「支払基準」に従ってこ...
《解 説》
1 本件は,交通事故発生時に胎児であった者が,その事故によって,出生後に傷害を生じ,重い後遺障害が残ったとして,その者及びその者の両親が,自家用自動車総合保険契約の無保険車傷害条項に基づく保険金の請求をする事案である。
2 本件の事実関係は,次のとおりである。
(1) X2...
《解 説》
本件は,大学共同利用機関のA研究所に,1年任期の非常勤職員(時間雇用職員,事務補佐員)として,13年11か月にわたり勤務していたXが,次年度の任用更新を拒絶されたため,既に13回にわたり任用更新を繰り返されてきたXにとって,突然の拒絶は不当であって,解雇に関する法理の類推あるい...
《解 説》
1 本件は,原告らが,住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)を定めた住民基本台帳法の制定又はその施行が,憲法13条で保障されている人格権(国民が公権力から一方的に管理の客体に置かれない権利)及び自己情報コントロール権を侵害し違法であるとして,被告国に対し...
《解 説》
1 本件は,原告が,被告の設けていた年金共済制度である酒販年金制度(以下「本件制度」といい,これによる年金については「本件年金」ともいう)に関し,原告の亡夫と被告との間で締結され原告においてその年金受給権を相続した契約(以下「第1契約」という)及び原告と被告との間で締結された契...
《解 説》
1 本訴は,原子燃料の製造等を業とするYの転換試験棟において,平成11年9月30日に本件臨界事故が発生し,それが東海村臨界事故として新聞等で大きく報道されたため,茨城県の名産として知られる納豆商品につき悪風評が全国的に広がり,その売上が大きく減少し営業損害を被ったとして,納豆の...
《解 説》
1 原告の父であるAは,鹿児島県肝属郡内之浦町の教育委員会の職員であった者である。Aは,平成2年5月に,内之浦町学校体育連盟が主催し教育委員会が共催するバレーボール大会に公務として参加した際に,急性心筋こうそくを発症して死亡した。当時,44歳であった。Aは,昭和57年,36歳の...
《解 説》
1 被告人は,クレジットカード在中のセカンドバッグを窃取し,その後,このカードの番号等を冒用して,いわゆる出会い系サイトの有料サービスを受けようと考えた。その方法は,自己の携帯電話機から,インターネットを介し,出会い系サイト業者のホームページを経て,クレジットカード決済代行業者...
《解 説》
1 本件は,公園内の公衆便所の外壁にラッカースプレーでペンキを吹き付け「反戦」等と大書した行為が,刑法260条前段にいう建造物の「損壊」に当たるかどうかが争われた事案である。
被告人は,区立公園内に設置された公衆便所の白色外壁に,所携のラッカースプレー2本を用いて赤色及び黒色...
《解 説》
1 本件は,被告人が,別居中の妻の監護養育下にある子を保育園送迎の機会に有形力を行使して連れ去った行為が,未成年者略取罪に問われた事案である。その事実関係の概要は,次のようなものである。すなわち,被告人は,別居中の妻が養育している当時2歳の長男と会うこともままならないことから,...
《解 説》
1 本件は,保護観察付き執行猶予を言い渡された申立人が,検察官の請求により上記執行猶予の言渡しを取り消されたことにつき,不服を申し立てている事案である。申立人が執行猶予言渡し取消しを請求された事由は,保護観察期間中に酔余被害者を殴打して全治約1か月間を要する傷害を負わせたという...
《解 説》
1 本件は,アルミニウム再生精錬事業を行う被告会社の事業に関し,同会社のアルミニウム再生精錬工場の工場長である被告人Aが,同工場従業員らをして,アルミニウム再生精錬過程から排出される汚泥,金属くず,鉱さい,がれき類等の産業廃棄物を工場敷地内に掘られた素堀の穴に埋め立てることを前...
《解 説》
1 Y(外海町。なお,同町は,一審判決後に市町村合併により長崎市に編入された。)は,平成7年ころから公共下水道事業を計画し,所要の事業認可を受けて各種工事を進めた末,平成14年4月から,一部地域において公共下水道事業を開始した。なお,Yにおいては,下水道の整備等に伴う一般廃棄物...
《解 説》
1 本件は,原告が,本件土地の所有権移転登記申請の審査を担当した登記官及び原告から登記手続を受任した司法書士Yには,それぞれ本件土地の登記済証が偽造であることを看過した過失があり,そのため原告は損害を被ったとして,被告国に対しては国家賠償法1条に基づき,被告Yに対しては債務不履...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,被告の女子従業員(退職者も含む。)19名が,女子であることを理由に,雇用者である被告により,各原告とそれぞれ勤続年数,年齢を同じくする男子従業員と比較して,賃金等の支給につき不合理な差別を受けたことが不法行為に該当するとして,その差額相当損害金の請求を...
《解 説》
1 本件は,日本トータルネット株式会社(トータルネット)という電光掲示板の販売等を行う会社から,テレビ,文字放送受信表示器等を組み合わせたテレテキストビジョンシステム(本件機器)をクレジット・リース契約を利用して購入した原告ら(合計245名)が,同システムの販売が詐欺的商法であ...
《解 説》
1 事案の概要
トンネル工事における切羽断面のマーキング等に用いる装置に関する特許権(本件第1特許権)及び同マーキング方法の発明に係る特許権(本件第2特許権)を共有しているXらが,Yが貸与等している多機能測量計測システム(Y製品)が,本件第1特許権の技術的範囲に属し,また,本...
《解 説》
1 X株式会社は,不動産の造成販売等を業とする株式会社であるが,茨城県那珂郡東海村において,平成7年から土地買収に着手して宅地(本件土地)を造成し,平成12年度から順次709区画の宅地を販売する事業を計画していた。ところが,Y株式会社東海事業所の軽水炉用低濃縮ウラン再転換工場(...
《解 説》
1 Xは,中小企業等協同組合法に基づき設立した信用協同組合であるところ,その理事長であったYが,在任中の①平成9年7月,回収困難であることを知りながら,訴外Aに対して1億6500万円を融資し,②平成10年9月,支店新築移転に適当でない土地を1億304万5000円で買い受けるなど...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,殺人,死体遺棄被告事件の再審請求事件である。請求人は,昭和55年3月31日に第1審で懲役10年の判決を受け(控訴審,上告審を経て昭和56年2月17日に確定),平成2年7月17日に満期出所した後,平成7年4月19日,本件再審請求に及んだ。
確定判決の認...