最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 Xら4名は,昭和34年から昭和50年にかけてYに採用された高卒女性事務職であるが(うち1名は,当初約3年間Yの関連会社で採用),昇格及び昇級について女性差別を受けたとして,Yに対し,①主位的に,昭和61年以降の同期同学歴の高卒男性事務職との差額賃金相当の損害及び精神的損害を...
《解 説》
1 本件は,A国大使館の日本人事務職員である被告人が犯した業務上過失傷害被告事件について,いわゆる外交特権として,刑事裁判権の免除を享有するか否かが争点となった事例である。
被告人は,A国大使館の商務参事官の下で,通訳等の職務を担当していた。車の運転は本来の業務ではなかったが...
《解 説》
1 本件は,北九州市(以下「市」という。)の区域内に事務所を有する権利能力のない社団であるX(上告人)が,旧北九州市情報公開条例(以下「本件条例」という。)に基づき,市長ほか本件条例所定の実施機関であるYら(被上告人ら)に対し,平成7年度の市の局長ないしこれに準ずる職員の交際費...
《解 説》
1 本件は,証券取引により巨額の損失を被ったXが,証券会社であるYに対し,Yの担当者によるオプション取引の勧誘行為は適合性の原則に違反するものであったなどと主張して,不法行為による損害賠償を求めた事案であり,その事実関係の概要は,次のとおりである。
Xは,水産物の卸売り等を業...
《解 説》
1 事案の概要等
本件は,Aの弟ら(以下「Xら」という。)が,Yに対し,Aの遺産のうち遺贈等の対象とされた遺産を除くものについて,これをそれぞれの法定相続分に応じて取得したと主張して,各法定相続分の割合による持分を有することの確認等を求める事件と,Yが,Xら外1名に対し,Aの...
《解 説》
1 本件は,登録商標が商標法4条1項8号(以下「8号」という。)所定の他人の名称の「著名な略称」を含む商標に当たるかどうかが争われた訴訟である。
2 事実関係及び訴訟の経過の概要は,以下のとおりである。
(1) Xは,「自由学園」という名称の中学校,高等学校等を開設する学校...
《解 説》
1 商標法10条は,「商標登録出願の分割」について規定している。これは,例えば,A,Bを指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)とする商標登録出願をした者がある場合,その者は,その指定商品等の一部である,例えば,Aを指定商品等とする新たな商標登録出願とすることができ,...
《解 説》
1 商標法47条(以下「47条」という。)は,商標登録の無効理由のうち同法4条1項15号(以下「15号」という。)違反を含む一部のものにつき,商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は無効審判を請求することができないと規定する。この期間は,講学上,「除斥期間」と呼ばれる。本件...
《解 説》
1 本件は,イラン人の被告人が,本邦に不法在留した上,覚せい剤等の譲渡を業としたという,麻薬特例法違反,出入国管理及び難民認定法違反の事案であり,問題となった論点は,この場合に麻薬特例法が「薬物犯罪収益」として必要的に没収・追徴することとしている「薬物犯罪の犯罪行為により得た財...
《解 説》
1 本件は,強制わいせつ未遂等により1審で有罪判決を受けた外国人被告人が提出した控訴申立書が,電子複写機によって複写されたコピーであったことから,不適法であるとして控訴棄却決定を受け,抗告に代わる異議申立ても棄却されたため,被告人から特別抗告がされ,原決定は①最三小決昭50.1...
《解 説》
1 本件は,ミャンマー連邦の国籍を有する原告が,①被告法務大臣が原告の出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)61条の2第1項に基づく難民認定申請に対してした難民の認定をしない旨の処分(以下「本件不認定処分」という。)の取消しを求めるとともに,②被告法務大臣が原告に対して...
《解 説》
1 Xは,衣料品販売店を多数展開している会社であり,安い中国産の花崗岩を自社輸入して店舗の建設に使用してきた。建築用石材としての中国産の花崗岩は,最近急速に国内で広く使用されるようになったが,本件は,平成12年当時,安い中国産花崗岩を使用して建築した建物の不動産取得税の課税標準...
《解 説》
1 金沢市では,平成13年度以降,平成12年法律第89号による改正後の地方自治法100条13項に基づく条例を制定し,同条例により,市議会議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として市議会の会派に対して政務調査費を交付するようになったが,平成12年度までは,金沢市議会市政調査...
《解 説》
1 本件は,ゼミの学生に対しセクハラをしたとして懲戒処分等を受けた大学院教授が,セクハラの事実はないとして懲戒処分の取消請求及び国家賠償請求をした事案である。XはY1大学大学院教授の地位にあるものであるが,Y1大学の学長であるY2から,平成13年2月8日付けで,Xが担当するゼミ...
《解 説》
1 本件は,原告(X)の被告株式会社ユーエフジェイ銀行(Y1)に対する普通預金について,当該預金通帳が盗まれて(印章は盗まれていない。),同通帳と偽造印鑑により預金残高の全額に近い600万円の払戻しがされてしまったのに対し,Xが,Y1に対し,主位的に,①預金契約に基づく600万...
《解 説》
1 スポーツ用具等を販売するYが,スポーツ用具(本件商品)の販売代理店となる訴外会社Zに無権限でタレント(元プロ野球選手)の肖像・氏名を使用した広告を4回にわたり雑誌に掲載することを許可したとして,タレントのパブリシティ権を所有するXが,Yに対し,パブリシティ権を侵害した不法行...
《解 説》
1 Xは,平成14年3月16日にY1,Y2から宝塚市所在の本件土地建物(Y1持分20分の3,Y2持分20分の17)を2280万円で買い受ける旨の売買契約を締結し,同年5月に代金を支払ってその所有権を取得したが,その直後に,本件建物はその西側隣人Aとのトラブルによって居住の用に耐...
《解 説》
1 X(昭和12年生)は,平成8年5月14日,発熱,呼吸困難などを訴え,呼吸不全の状態になったため,Yの開設するA病院に救急車で緊急入院した。
そして,A病院の医師らは,人工呼吸器による呼吸管理を行い,各種抗生剤を投与しながら各種検査を続けたが,Xは,同年6月2日まで意識は回...
《解 説》
1 Xは,平成5年1月18日,交通事故により頭部裂傷等の傷害を負ったため,同年2月17日まで,Yの設置するA病院に入院して治療を受け,また,同年6月14日から同年8月25日までA病院に入院して,腰椎椎間板ヘルニアの摘出手術を受けた。
しかし,Xは,その後もヘルニアの症状が改善...
《解 説》
1 原告及び被告は,ともに,玩具の製造,販売等を業とする会社である。被告は,平成10年9月から,女性ドール用素体(被告商品)を製造,販売していたところ,被告が製造,販売する商品の金型の製作等を委託していた原告も,平成14年5月から,女性ドール用素体等(原告商品)を製造,販売した...
《解 説》
1 事案の概要
宗教法人である霊友会では,平成8年ころから,2代目会長であった久保継成(以下「久保」という。)及びこれを支持する者らとこれに反対する者との間で,会長の地位等をめぐって内紛が生じていた。原告らは,いずれも,同内紛以前に霊友会に入会し,同内紛において久保を支持する...
《解 説》
1 本件は,債権者(X)が,債務者(Y)に対する不法行為による損害賠償請求権を被保全債権として,Yが第三債務者である銀行及び信用金庫(Z)に対して有する預金債権(仮差押債権)につき,4ないし37の本店及び支店を列挙しこれに順序を付して仮差押債権である預金債権を表示する方式により...
《解 説》
本件は,被告人が,銀行支店においてキャッシュカードの再発行手続に当たり銀行員から手数料を請求されたことに憤慨し,同支店内で怒声を発するなどし,銀行員の通報を受け臨場した警察官から任意同行を求められた際,同警察官の顔面を殴打して傷害を負わせたとして,公務執行妨害罪,傷害罪に問われ...
《解 説》
1 本件は,地元では名門とされ相当数の中・高生が通っていた医学系専門の大学受験塾の塾長であった被告人が,塾生の女子中・高生らの信頼・誤信に乗じてわいせつな行為を繰り返し,うち1名を負傷させたとして,準強制わいせつ,強制わいせつ致傷罪に問われた事案である。弁護人は,被害者らは,わ...