最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,会社更生法所定の否認権行使の範囲が問題となっている事案である。
その事実関係は,訴訟承継・引受参加があるため,錯綜しているが,要約すると,次のとおりである。すなわち,のちに更生会社となったK会社は,のちに再生会社となったN会社の完全子会社として,Hゴルフ場を経営し...
《解 説》
1 本件は,被告人が共犯者らと共謀の上,被害者から風俗店の登録名義貸し料名下に金品を喝取しようと企て,被害者を監禁し,その際に被害者に対して加えた暴行により傷害を負わせ,これら監禁のための暴行等により畏怖している被害者を更に脅迫して現金及び自動車1台を喝取したという監禁致傷,恐...
《解 説》
1 漫画家のXと出版社のX社(小学館)は,平成14年4月に売り出された書籍「ファンブック」所収の対談記事について,著作権を共有している。Yが運営するインターネット上の電子掲示板「2ちゃんねる」に本件対談記事が無断で転載されたことにより,Xらの送信可能化権,公衆送信権が侵害された...
《解 説》
1 X(債権者,相手方)は,Y(債務者兼所有者,抗告人)の所有する土地・建物(ホテル)に抵当権を有していたところ,本件土地建物に関するYとZ(給付義務者,抗告人)との間のホテル運営管理委託契約の存在を前提に,担保不動産収益執行を申し立てた。執行裁判所は,給付請求権の内容を「本件...
《解 説》
1 判示事項と関係する本件の事実関係は,被告人が,民家等の立ち並ぶ国道上を走行中の普通乗用自動車内において,助手席に乗車していた被害者に対し,背後から,所携の回転弾倉式けん銃の銃口を下向きにして同人の左肩部に突き付けて体内に向けて弾丸1発を発射し,同人を殺害した,というものであ...
《解 説》
1 事案の骨子
X(被控訴人,被上告人)は,建物を新築し,登録免許税を納付して所有権保存登記をしたが,阪神・淡路大震災の被災者に対する特例措置として登録免許税が課されない場合であったから納付した登録免許税は誤納付であるとして,Y(控訴人,上告人)に対し,登録免許税法(平14法...
《解 説》
1 本件は,パキスタン国籍の被告人の不法残留(出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前のもの。以下「入管法」という。)70条1項5号)の事案であり,前提として判示されている事実関係の概要は,以下のとおりである。
被告人は,日本人の妻と婚姻し,日本人の配偶者...
《解 説》
1 本件は,一連のオウム真理教関連事件の中で,下級審で最初に死刑判決を受けた被告人に対する上告審判決である。
事案は,当時教団の幹部(「大師」)であった被告人が,他の幹部等と共謀の上,(1)(殺人1件)同教団の出家信者が,教団内で修行中に死亡した他の信者の死体の処理に関与した...
《解 説》
1 本件は,刑法26条1号の必要的執行猶予取消請求手続において,被請求人(成人)の委任代理人として求意見に対する回答をした母親が申し立てた即時抗告の適否が争われた事案である。原々審(簡易裁判所)は,刑訴法349条の2第1項の規定に基づいて被請求人に求意見書を送付したところ,被請...
《解 説》
1 本件は,健康保険の被保険者である原告が,被告に対し,てんかん患者である被扶養者A(原告の子)の装着する頭部保護帽の購入費用について,健康保険法(平成13年法律第101号による改正前のもの。以下「法」という。)59条ノ2第8項,44条ノ2の規定に基づき,療養費の支給を請求した...
《解 説》
1 Xの子Aは,傷害致死事件の刑事被告人として勾留されていたが,府中刑務所八王子拘置支所から東京拘置所に移監された数日後,「お母さんありがとう。つかれた」などと書いたメモを看守に手渡した上で,居房内に備え付けられた雑巾を嚥下して自殺した。
本件は,Xが,①10年以上にわたりA...
《解 説》
1 Xは,昭和37年4月に三井石油化学に雇用され,昭和62年6月から千葉高分子研究所の所長代理の地位にあったところ,昭和63年1月,単純ヘルペス脳炎に罹患して入通院治療を受け,休業を余儀なくされたため,休業補償給付等を請求したが,Yから不支給の処分がされた。
そこで,Xは,単...
《解 説》
1 本件は,Y1大学の大学院科目履修生で留学生のXが,担当教授であるY2から,Y2とXを含む学生との懇親会の後,2人でホテルのラウンジにおいて飲もうと誘われ,これに応じたところ,帰宅するまでの間に,卑猥な言葉をかけられたり,数回にわたり胸を触られるなどされ,さらに,その後,ゼミ...
《解 説》
1 原告は,被告の発行する中期国債ファンド(以下「本件中国ファンド」という。)を購入していた者である。被告は,大成火災海上保険株式会社(以下「大成火災」という。)発行のコマーシャルペーパー(以下「本件CP」という。)を本件中国ファンドの信託財産に組み込んでいたところ,いわゆる同...
《解 説》
1 X1は,戦時下の女性への性暴力をなくし,世界の非軍事化を目指すことなどを目的として設立された権利能力なき社団であり,X2は,元朝日新聞社の社会部記者で,X1の代表者である(X2は,本件訴訟係属中に死亡しており,本件の当事者はX2の訴訟承継人であるが,解説中では便宜上X2を当...
《解 説》
1 訴外Aは,昭和20年代,肺結核症に罹患し,昭和37年4月から昭和40年11月まで,国立B病院に入院し,化学療法を受け,以後,年に1回,B病院で検診を受けた。
Aは,平成6年9月,咳,痰,余熱等の症状がみられたため,B病院で診察を受けたところ,左胸壁外瘻を有する膿胸の疑いが...
《解 説》
1 Xの母A(明治41年生)は,平成2年11月から,Y1の開設する老人ホームに入居し,生活していたが,平成7年12月,Y2が開設する「医療センター」に入院し,腰椎圧迫骨折等の治療を受け,平成8年1月,医療センターを退院した。
Aは,退院後,老人ホームに戻り,生活していたが,平...
《解 説》
1 Xは,平成7年5月9日,通学していた小学校の校庭にあったアスレチック施設から転落して右上腕骨折等の傷害を負ったため,「仙台市立病院」に運ばれ,同病院において,右上腕骨折整復固定等の手術(本件手術)を受けた。
しかし,その後,Xは,右手に激しい痛みを感じ,右手指にも痛みと腫...
《解 説》
1 本件は,自己が役員を務める会社ビルのエレベーター4階昇降口から深夜に昇降路内に落下して死亡したZにつき,(1)Zが加入していたY2~Y4との傷害保険契約につき,その受取人であるXらが,落下が偶然の事故であると主張してY2~Y4に対して死亡保険金の支払を請求し,(2)落下がエ...
《解 説》
1 事案の概要
本件事案の概要は次のとおりである。
Y(大手電機メーカー)の元従業員であるXは,Y在職中に温水器用ステンレス鋼製缶体の発明(本件特許発明)をし,当該発明は,昭和52年11月24日,Yにより特許出願され,昭和61年8月28日,発明者をX,権利者をYとして設定登...
《解 説》
1 本件は,①販売宣伝員として派遣されていた被告人が,その販売宣伝先であったスーパー店舗(以下「本件店舗」という。)の従業員から受けた不適切な言動について,氏名不詳者ら概ね40名と共謀のうえ,そのスーパー経営会社(以下「本件会社」という。)の本社事務所にその営業時間中,旗竿を持...
《解 説》
本件は,被告人が,無車検かつ無保険の普通乗用自動車に他車の自動車登録番号標(ナンバープレート)を取り付けた上で,これを無免許運転したという事案の控訴審判決である。
原審判決は,被告人に,無免許運転,無車検車運行供用及び無保険車運行供用とともに道路運送車両法98条3項違反(自動...