最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,外国人を母とし,日本人父から認知を受けた未成年の非嫡出子について,国籍法(以下「法」という。)3条を根拠に日本国籍を取得したことの確認請求が認容された事例であり,法3条1項が国籍取得の要件として父母の法律上の婚姻を要求した部分は憲法14条1項に違反するとの判断が示さ...
《解 説》
1 事案の概要
(1) Xは,「情報処理装置及び情報処理方法」という名称の発明(本件発明。請求項は3つあり,1及び2は情報処理装置であり,3は情報処理方法である。)に係る特許権(本件特許権)を有している。本件発明の特許請求の範囲請求項1は,「アイコンの機能説明を表示させる機能...
《解 説》
1 事案の概要
X(控訴人,上告人)は,大工工事業を営む個人事業者であるが,平成2年1月1日から同年12月31日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)の消費税について確定申告をしなかった。また,Xは,昭和63年分,平成元年分及び同2年分の所得税についてそれぞれ確定申告...
《解 説》
1 本件は,動産売買の先取特権者が,物上代位の目的債権が譲渡され,第三者に対する対抗要件が備えられた後においても,目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるか否かなどが争われた事案である。
A社は,B社に対し,商品(動産)を売り渡したところ,B社は,Y1~Y3に対...
《解 説》
1 本件は,定期金の給付を命ずる仮処分の執行について,民事保全法43条2項の期間の起算点が問題となった事案である。
2 X(抗告人)は,Y(相手方)に対し,「平成16年4月から平成17年2月まで毎月2日限り20万円を仮に支払え。」との内容の定期金の給付を命ずる仮処分についての...
《解 説》
1 ミャンマー国籍を有するXは,平成10年3月29日に本邦に上陸したが,法務大臣による平成10年6月9日付け難民の認定をしない旨の処分(以下「本件不認定処分」という。)及び同月12日付けの退去強制手続における異議申出に理由がない旨の裁決並びに東京入国管理局成田空港支局主任審査官...
《解 説》
1 本件は,Yの営業担当取締役であったXが,僅か2年半の間に,営業部長(第1次降格処分),課長職(第2次降格処分),翻訳業務(第3次降格処分),試作管理課の現業職(第4次降格処分)と順次降格され,それに伴い,給与も順次減額され,約半額になったのは,人事権を濫用したものであり,合...
《解 説》
1 Xは,リース,金融等を業とする会社であるが,平成10年12月17日,Yとの間で,リース契約を目的とするため,清酒・ワイン等生産設備機器類(以下「本件物件」という。)を,代金2億5746万円で買い受ける旨の本件売買契約を締結したうえ,同日,清酒・ワイン等の製造販売業者で組織す...
《解 説》
本件事案は若干複雑であるが,判示事項と関係のある限りで説明すると,原告並びにその親族及び原告の経営する会社は,総額約80億円に上る債務の整理を弁護士である被告に委任した。被告は,その債務整理の一環として,2箇所の土地建物を総額約45億円で売却し,その報酬として原告から総額1億1...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,Y社が,東京都国立市の通称「大学通り」に面する土地を購入して14階建てマンションを建築し,その余のYらに分譲販売したところ,近隣に学校を設置し,同校に通学・通勤し,近隣に居住し,又は大学通りの景観等に関心を有するXら50名が,本件マンションは,20メー...
《解 説》
1 本件事案の概要は,次のとおりである。
本件は,テレビ放送番組の制作会社であるXが,Yの被用者であり赤坂郵便局の外務職員であるAから,5年後に中途解約した場合年平均利回りが5.77パーセントとなる等の説明をされ,簡易生命保険の勧誘を受けた。Xは,社内の稟議を経て,全従業員の...
《解 説》
1 事案の概要
患者Xは,平成8年4月9日,喘息が徐々に増強したとの訴えで被告病院に入院したが,13日ころから38℃台ないし39℃台の発熱が始まり,15日に口腔頬粘膜にコプリック斑が出現したため,麻疹と診断された。Xは,同日深夜に一度解熱したものの,その後も38℃から40℃台...
《解 説》
1 訴外Aは,平成5年10月,Y1の経営するB病院に入院し,同病院において,全身麻酔のうえ胃の切除手術を受けたが,執刀の開始直後にチアノーゼ状態に陥ったため,前記手術を中止し,緊急の蘇生活動が行われたが,低酸素血症による心不全により死亡した。
そこで,Aの遺族であるXらは,麻...
《解 説》
1 事案の概要
Xらは,中国の著名な詩人A(本訴提起後に死亡)の相続人である。Y2は「XO醤男と杏仁女」(以下「被告小説」という。)を執筆し,小説等の出版を業とする株式会社であるY1がこれを出版した。被告小説は,Y2をモデルとする主人公「小悦」と,Aの弟Bをモデルとする中国人...
《解 説》
1 本件は,インターネットのウェブサイトに掲載されたニュース記事の見出しの著作物性が争われた事案であるが,その概要は次のようなものである。Xは日刊新聞の発行等を業とする会社であり,その運営するウェブサイトにおいて,Xのニュース記事本文(YOL記事)及びその記事見出し(YOL見出...
《解 説》
1 本件は,耐火粘土(鉱業法上,「鉱物」として扱われる耐火粘土は,ゼーゲルコーン番号31以上の耐火度を有するものに限られると理解されている。)等の採掘権(鉱業権)を有するX(原告・控訴人)が,鉱区内において道路拡幅工事等(本件工事)を施工したY(被告・被控訴人)に対し,本件工事...
《解 説》
1 X(平成7年生)は,平成12年7月12日,Yの製造にかかる幼児用自転車(以下「本件自転車」という。)に乗って遊戯中,両足を地面に着けた際,右膝の後部が本件自転車の右ペダル軸根元部分から突き出していた約10ミリメートルの長さの「ばり」と呼ばれる針状の金属片(以下「ばり」という...
《解 説》
1 事案の概要等
本判決の「量刑の理由」によれば,本件は,定職にも就かず,同棲中の女性に経済的に依存する生活を送っていた被告人が,性的欲求不満の解消を図るとともに,生活費・遊興費の足しにする意図もあって,約2か月間に,(1)帰宅途中の女性3名をその自宅のすぐ近くで相次いで襲っ...
《解 説》
本件は,覚せい剤の密売組織に所属していた被告人が,密売組織の保管している覚せい剤について,共謀による共同所持の罪責を負うかどうかが問題になった事案である。
密売組織が密売用に保管している覚せい剤について,組織の構成員がどこまで責任を負うかの問題については,一般論としては,組織...