最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,保険会社との間で火災保険契約を締結していた有限会社が破産宣告を受けた後,その代表取締役が保険の目的である建物に放火して建物が焼失したことから,有限会社の保険金請求権に質権の設定を受けていた金融機関が保険会社に対し保険金を請求した事案である。
上記保険契約に適用され...
《解 説》
1 本件は,被告人が酒気を帯びて普通乗用自動車を運転して,制限速度時速40キロメートルの左方に湾曲した道路を時速70キロメートル以上の速度で進行し,自車を対向車線に進入させ,対向普通乗用自動車と正面衝突させて,対向車両の運転者及び同乗者の2名を死亡させたという事案である。検察官...
《解 説》
1 本件は,平成14年5月24日,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長から出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出が理由がない旨の各裁決を受け,同年6月21日,抗告人(東京入国管理局主任審査官)から各退去強制令書(以下「本件各令書」という。)の発付処分を受...
《解 説》
1 本件は,建物所有を目的とする土地の賃貸借契約の当事者間に,賃料を減額しない旨の特約がある場合に,賃借人が,借地借家法11条1項の規定に基づいて,賃料の減額を請求することができるかどうかが争われた訴訟である。
2(1) X1は昭和59年及び63年に,X2は昭和62年に,それ...
《解 説》
1 本件の事実関係の概要は,次のとおりである。
X会社は,Aとの間で,本件土地をAに対して売り渡す旨の売買契約(本件売買契約)を締結し,X会社とAは,司法書士であるYに対し,本件土地の所有権移転登記手続(本件登記手続)についての売主及び買主の代理の嘱託(本件嘱託)をした。
...
《解 説》
1 本件は,商標法4条1項8号(以下「8号」という。)所定の商標不登録事由の存否の判断の基準時が争われた訴訟であり,事実関係及び訴訟の経過の概略は,以下のとおりである。
(1) Xは,貴金属,かばん類,被服等を指定商品とする本願商標につき商標登録の出願をした。本願商標は,米国...
《解 説》
第1 事案の概要
1 本件の経緯の概要は,次のとおりである。
X(夫)がY(妻)に対して離婚を求める訴訟を提起したところ,第1審判決は,Xの請求を認容した。Yは,第1審判決を不服として控訴を提起し,原審において,上記離婚の請求が認容されることを条件として,予備的に,慰謝料及...
《解 説》
1(1) 本件は,A保険会社が,Xが他の者と共謀して故意に交通事故を作出して保険金名下に金員を詐取したとして,Xを被告として不法行為に基づく損害賠償を請求した本案訴訟(以下「本件本案訴訟」という。)において,Xが,上記保険金詐欺等に係る被疑事件における共犯者らの司法警察員及び検...
《解 説》
1 本件は,強姦致傷,殺人,強姦致死,死体遺棄事件につき,死刑の確定判決を受けた者からなされた再審請求事件の特別抗告事件において,申立人(再審請求人)が申立て中に死亡したため,決定により,再審請求事件の手続が終了した旨の宣言がされたものである。事案の概要等については本件の再審請...
《解 説》
1 本件は,X(権利能力なき社団たる県教職員組合支部)の分会(特定の小学校の教職員組合員で構成されているもの)が,そのオルグ活動のための分会会議を当該町立小学校で開催すべく同小学校長に対して求めた小学校施設の使用許可を拒否されたことにつき,これが裁量権の行使を逸脱した違法な処分...
《解 説》
1 本件は,第46期司法修習生であったXが,平成6年4月に司法修習を終え,最高裁に判事補採用願いを提出したが,判事補に指名されなかったことにつき,思想・信条を理由に判事補任命を拒否されたなどと主張して,国家賠償を求めた事案である。1審判決・大阪地判平12.5.26訟月46巻12...
《解 説》
本件は,Y町の住民であるX1らが,町長Y1らに対し,Y町役場新庁舎建設工事に関する平成13年度庁舎設計費・庁舎建設費及び平成14年度庁舎建設費の支出,庁舎位置変更条例を制定しない状況下(条件)における庁舎建設基金の取り崩しによる支出が違法であるとして,それらの公金支出の差止めを...
《解 説》
1 本件は,北九州市の住民であるXらが,北九州市が協議,懇談に際して支出した食糧費につき,出席者1人当たりの金額が6000円を超えるかまたは1人当たりの酒量が2本を超える飲食は違法であると主張し,市長であるYらに対し,地方自治法242条の2第1項4号前段に基づき,損害賠償を請求...
《解 説》
1 事実関係
判決の認定する事実関係は複雑であるが,判示事項と関係のあるもののみを要約すると,次のとおりである。
仮設ハウス110棟の売買の商談が売主Y1(判決文の一審被告セルタスCM)とA(判決文のクリアハウス)との間で成立したが,Aが必要な資金手当ができなかった。そこで...
《解 説》
1 本件は,Yが所有し,Aクリニックを経営している本件建物の近隣に居住するXらが,本件建物からXら宅を眺望することができる本件窓に曇りガラスが使用されていないなどと主張して,本件窓のガラスをXら主張のガラスに交換する旨の工事の実施と,その間にXらが被ったという精神的苦痛に対する...
《解 説》
1 本件は,Xが,Y・Zに勧誘されて共に軽油を密造・販売することとし,Xが軽油の密造を,Yが密造原料の重油の調達を,Zがダミー会社を用いての軽油の販売と回収売掛金のXへの入金をそれぞれ担当していたところ,XがYに密造軽油を販売するに際しては一般需要家への販売単価よりも値引きする...
《解 説》
本判決は,大ヒットを記録した歌手である原告が,芸能プロダクション(本件では「マネジメント会社」という。)との契約解除を理由にレコード会社との専属契約の終了の確認等を求めた請求について,契約終了の確認を求める部分の請求を認容したものである。
1 本件の事案の概要は以下のとおりで...
《解 説》
1 本件で問題となっているXが訴訟代理人となって提起した別件訴訟というのは,ゴルフ会員権業者のAが預託金会員制ゴルフクラブの会員から会員権を取得してゴルフ場会社に対してその返還を求める事業が弁護士法72条,73条に違反するか否かをめぐって争われた事案につき,最高裁が平成14年1...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Yの従業員であったKは,平成13年4月3日から同年8月8日までの間に,Yのためにすることを示して,Xから,JR券等を大量に購入した(以下「本件取引」という)。Yは,本件取引のうち,平成13年4月から7月分の代金は,Xに対しこれまで支払ってき...
《解 説》
1 原告は,ゴルフ会員権の預託金返還訴訟等,ゴルフ関係の訴訟を多く手がけ,この分野では著名な弁護士であり,被告は,ゴルフ場経営者向けの月刊誌「ゴルフ場セミナー」(以下「本件雑誌」という。)等,ゴルフ関係の書籍の出版を行っている株式会社である。なお,原告は,従前,本件雑誌にゴルフ...
《解 説》
1 原告は,被告大学の運営する病院(被告病院)に入院し,脳動静脈奇形(AVM)であるとの診断を受け,大腿動脈から内頚動脈(首筋血管)まで基幹となるカテーテル(親カテーテル)を挿入し,内頚動脈から患部までは,この親カテーテル内を通った超極細の子カテーテル(マイクロカテーテル)(本...
《解 説》
1 本件は,特許権侵害訴訟における損害額の算定に当たり,特許発明の寄与率について判断した事案であり,その概要は以下のとおりである。
X(原告)は,発明の名称「液体充填装置におけるノズル」に係る特許権に基づき,ノズルを付した液体充填機を製造販売等しているY(被告)の行為が,Xの...
《解 説》
1 XらとY(信販会社)は,融資限度額,遅延損害金,期限の利益の喪失約定を定めるなどして,クレジットカードないしキャッシングサービスカードの利用契約を締結し,Yは,Xらに対し,継続的に,カード利用による方法で,利息制限法1条1項所定の制限を超える利率で反復継続して金員を貸し付け...
《解 説》
1 本件は,妻Aが,実母Bから階段の角等に頭を打ち付けられるなどして頭部から多量に出血しているのを発見した被告人が,直ちに止血をし,救急車の派遣を求めるなどAの生存に必要な措置を講じないでAを放置し,Aを失血により死亡させたとして,保護責任者遺棄致死罪に問われた事案である(なお...