最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 Yは,中小企業等への金銭の貸付けを業とする商工ローン業者で,貸金業の規制等に関する法律(以下「法」という。)3条の登録をした貸金業者である。本件は,Yから多数回にわたり金銭を借り入れていたX会社が,Yからの本件各貸付け及び返済について法43条1項の規定の要件を欠き,これらを...
《解 説》
1 Yは,中小企業等への金銭の貸付けを業とするいわゆる商工ローン業者で,貸金業の規制等に関する法律(以下「法」という。)3条の登録をした貸金業者である。本件は,訴外会社AのYからの借入金債務につき連帯保証(根保証)をしたAの代表者であるXが,この貸付け及び返済について法43条1...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,被告の元従業員であった原告が,在職中にしたアスパルテーム(物質名L―α―アスパルチル―L―フェニルアラニンメチルエステル。以下「APM」という。)の工業的晶析法等に関する発明(本件各発明)が職務発明であり,被告に特許を受ける権利を承継したとして...
《解 説》
1 本件は,スキルス胃がんで死亡したA(当時30歳の女性)の遺族であるXらが,Aを最初に診察した医師であるYに対し,Yが適切な検査をしなかったためスキルス胃がんの発見が遅れ,そのためにAが死亡し,あるいは,同人がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性を奪われたと...
《解 説》
1 本件は,公正証書遺言の公正証書の原本に公証人の署名があったかどうかが争われた事案である(以下,本件で問題となる遺言を「本件遺言」といい,遺言公正証書を「本件公正証書」という。)。
2 遺言者Aは,平成5年6月2日,証人2人と共に公証人Bが執務する公証人役場に赴き,B公証人...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 公選法は,原則的な投票の方法として,選挙人は,選挙の当日,自ら投票所に行き,投票所において,投票用紙に当該選挙の公職の候補者1人の氏名を自書して,これを投票箱に入れなければならないと規定している(同法44条1項・46条1項,選挙当日投票所自書主義)。こ...
《解 説》
1 本件は,被控訴人Xが,職務質問をしようとした警察官にいきなり引き倒され,これに引き続き,意に反する返答の強制,所持品検査及び携帯電話のチェック,同意なき写真撮影,意に反する警察署への連行が行われたとして,警察官が属する控訴人に対して国家賠償を求めた事案である。本件においては...
《解 説》
1 本件は,愛知県の住民である原告らが,特別地方公共団体である名古屋港管理組合(本件組合)が,名古屋港水族館の管理について委託を受けた財団法人名古屋港水族館(本件財団)との間で締結した協定に基づき,本件財団が入手を予定しているシャチの購入費用等を本件財団に対して支出するのは違法...
《解 説》
1 本件は,タクシー会社Yの従業員であり,A労働組合の組合員であるXらが,団体交渉において年末一時金を支給する旨の合意が成立したと主張して,タクシー会社であるYに対し,年末一時金の支払を求めた事案である。
Xらは,①4つのタクシー会社とそれに対応するA労働組合を含む自交総連傘...
《解 説》
1 事案の概要等
本件は,学校法人たる被告の設置に係る大学(以下「被告大学」という。)の平成7年度入学試験に合格して被告へ入学金等87万円余りを納付した原告が,被告大学への入学を辞退し,在学契約が終了したとして,被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,これに相当する額の金員等...
《解 説》
1 本件は,税理士の説明義務違反,任務懈怠の存否が問題となった事案であるが,事案の概要は次のとおりである。Xの父であるSは平成3年2月27日に死亡し,次いで母Jが翌月3日に死亡した。XはS及びJの相続人であるが,A,BはSと先妻との間の子であり,Sの相続人ではあったが,Jの相続...
《解 説》
1 本件は,事案が輻輳しているので,判旨との関係で,事案を簡略化して述べると次のとおりである。本件は,資本金5億円でゲーム機器製造販売業を営んでいたX1会社及び同社の代表取締役であるX2が,平成8年1月ころまでに,日本を代表する総合電機メーカーであるY1会社との間で,同社及びそ...
《解 説》
1 本件は,平成11年11月7日に松本市内で発生した被告らによる集団リンチによって息子を殺害されたとして,その家族が,被告らに対し,逸失利益,慰謝料等及び懲罰的損害賠償として,総額3億5800万円余の支払を求めた事案である。
2 本判決は,犯行前日から犯行当日までの被告らの行...
《解 説》
1 本件は,肝硬変,糖尿病,食道静脈瘤等の既往を有する患者が消化管出血を発症するなどして被告病院に入院したものの,入院の翌日に死亡するに至ったことから,患者の遺族が被告に対し,適切な検査,治療等を怠り,また,不適切な治療を実施した過失があるとして,診療契約の債務不履行に基づき,...
《解 説》
1 本件は,Z株式会社を退職した従業員のXら10名が,Z社を含む10数社はY株式会社を中心会社とするグループ会社を構成していたことを前提に,中心会社であるY社において,Z社の法人格の否認,さらに,Y社の重畳的債務引受を理由として,Xらに対して退職金を支払うべき責任があると主張し...
《解 説》
1 事案は,次のとおりである。夫を殺害して保険金を騙し取ることを共謀した妻と共犯者4名は,夫を殺害する方法として,事故死を装うために,自動車に乗せたまま水中に転落させて溺死させる計画を立てたが,拉致して自動車に乗せて転落場所まで運ぶのに,抵抗を排除するため,クロロホルムを吸引さ...
《解 説》
1 本件は,大学病院の耳鼻咽喉科において,右顎下部の悪性軟部腫瘍の一種である滑膜肉腫に罹患した患者に対し,抗がん剤である硫酸ビンクリスチン,アクチノマイシンD及びシクロホスファミドの3剤を投与する化学療法(VAC療法)を実施するに当たり,2ミリグラムを限度に週1回の間隔で投与す...