最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 ここに紹介するのは、平成一一年九月三〇日、我が国において初めて発生した臨界事故に関する刑事事件の判決である。本件臨界事故の概要は、核燃料加工事業者である被告人会社Aが茨城県東海村に有していた東海事業所内にある核燃料加工施設(転換試験棟)において、核燃料サイクル開発機構からの...
《解 説》
一 Xは、警視庁警察官採用試験Ⅰ類に合格し、大学院修士課程の終了後、警察学校への入校手続を完了して、警視庁警察官に任用された。警察学校は、Xに精密身体検査の一環として血液検査を行った。採取した血液により、HIV抗体検査も実施したが、このことは明示的には説明されなかった。警察学校...
《解 説》
一 本件は、Cの両親であるX1及びX2が、Y1(町)及びY2(県)に対し、CがY1町立中学校在学時に同級生らによるいじめを苦にして自殺をしたのは、右いじめを漫然と放置した右中学校の教師らの責任であり、また、右教師ら及びY1町教育委員会は、Cの自殺後、Xらに対して右いじめに関する...
《解 説》一 本件事案の概要は以下のとおりである。
X1及びX2の次男A(当時三歳)は、平成九年二月二七日午後五時五〇分ころ、友人らとともに、Y1(国)が管理している一級河川林田川の低水敷(河床)において遊んでいるうちに、この付近で施行されていた河川浄化工事(本件工事)のために設置された仮...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
Xは、旧国鉄が分割民営化された会社の一つであり、Yは、Xの千葉支社管内における動力車に関係する業務に従事する従業員などで構成される労働組合である。
Yは、平成二年三月一九日午前零時からストライキを予定していた。Yは、Xとの間で、争議...
《解 説》
一 本件は、女優である参加人Zが関与した「地上げ訴訟」の一環として、マスコミ等に取り上げられたものである(本件参加人が原告となった訴訟につき、東京地判平3・10・7本誌七七八号二〇一頁)。
二 本件は、マンション管理組合における理事の選任決議等の有効性が争われた事案であり、そ...
《解 説》
一 本件は、建物の賃貸人であるXが、賃借人であるYに対し、その賃料が未払いとなっているという二か月分の賃料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたのに対し、Yにおいて、当該二か月分の賃料はいわゆる債権者不確知を理由とする弁済供託をしているので、その支払義務がないと主張して、Xの...
《解 説》
一 Yは、平成一二年三月初めころ、賃貸目的で本件建物を建築した。学習塾を経営するXは、その計画段階である平成一一年七月ころ、Yに対し、本件建物の中の本件貸室を賃借したいとの意向を示し、Yの依頼を受けた不動産仲介会社の担当者Aとの間で賃貸借の交渉を行ったが、結局、契約書の作成まで...
《解 説》
一 本件は、高級腕時計の詐欺事件に絡んで、腕時計の購入代金を立替払いした信販会社が、時計を配送した業者、時計の受取先として場所を提供した業者に対し、損害賠償請求をした事案である。Aは、秘書代行業(顧客に代わって電話を受けたり転送したり、宅配荷物を受領する等を行う仕事)を利用して...
《解 説》
一 事案の概要
控訴人は、アルバイトで勤務し始めた職場の先輩に当たる被控訴人と男女関係を持つ間柄となっていた。間もなく控訴人は、妻子ある被控訴人の子を妊娠したが、結局、産婦人科医院で堕胎した。その後、相当期間にわたり交際が継続したが、両者間に生じた複数回のトラブルにより、その...
《解 説》
一 X(昭和五〇年生)は、平成七年六月、Y1の設置するA病院において、心臓に欠陥があるとして検査を受けたところ、「右室二腔症」と診断され、手術のためA病院に入院した。
そして、Xは、同年七月、A病院において、人工心肺装置を用いた心臓手術を受けたが、手術中に送血ポンプのチューブ...
《解 説》
一 本件は、亡Aの子として認知されているXが、真実は亡Bの子であると主張して、検察官を被告とし、亡Aによる認知の無効及び亡Bの子であることの認知を求めた事案である。
被告である検察官及び亡Bの相続人である被告補助参加人は、①認知無効の訴えは形成訴訟であるから、Xは、まず、亡A...
《解 説》
一 本件は、原告が行った二件の融資について、各融資は長期にわたり原告の代表取締役を務めていた被告Y1の関連企業に対して融資することを目的とした違法な迂回融資であり、これに取締役として関与した被告らには善管注意義務若しくは忠実義務に違反する行為があり、又は各融資は利益相反取引に該...
《解 説》
(事案の概要)
一 原告は、昭和四六年、わが国の出版社を通じて、「ピーターラビットのおはなし」の絵本の販売を開始し、昭和五一年からは、同出版社をエージェントとし、ピーターラビットの商品化事業を開始した。そのころ、原告は被告との間で、原告商品化事業に関するライセンス契約(第一ラ...
《解 説》
一 貸金業者であるYの債務者であるXは、Yに対する債務額を確定した上、支払方法を協定することを求める特定調停を申し立てた。本件では、XとYとの間で平成八年六月一〇日付けで締結された消費貸借基本契約書が提出されていたが、Yは、平成一〇年一月三一日取引以降の計算書を提出した。
担...
《解 説》
一1 ①事件は、兵庫県の酒造会社であるY1(破産会社)がX(酒造組合中央会)と清酒についての流動集合動産譲渡担保契約を締結していたところ、Y1の破産管財人であるY2がこれをXに無断で売却したとして、XがYらに対し、不法行為に基づく損害賠償を求める訴えをXの住所地(Xは義務履行地...
《解 説》
一 本件は、遊興費欲しさに、強盗を企図した被告人が、人相を隠すための仮装用マスクや脅迫用に刃体の長さ約一三センチメートルのペティナイフを準備し、集合店舗ビルの女性用トイレから出ようとしていた被害女性にナイフを突きつけたが、恐怖心からトイレ内にしゃがみ込んだ被害女性に大声をあげら...
《解 説》
一 Xらは、いずれも大阪いずみ市民生活協同組合の職員であったが、平成九年五月、同協同組合の副理事長Y1と専務理事Y2が、組合の施設を私邸として使用するなどして組合を私物化しているなどと書いた匿名の文書を組合の総代会の出席予定者約五〇〇人に郵送した。
これに対し、同協同組合は、...