最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、一般に「東京都銀行税訴訟」などとして大きく取り上げられた事件の控訴審判決である。本件の事実関係の概略は以下のとおりである。
東京都が、各事業年度の終了日に資金量五兆円以上の銀行業等を行う法人に対し、業務粗利益を課税標準として税率一〇〇分の三の法人事業...
《解 説》
一 本件で問題となった建造物等以外放火(刑法一一〇条一項)は、被告人が、妻と共謀の上、小学生の長女の担任教諭が駐車していた自動車にガソリンを掛けて火を付けたという事案である。
同教師の自動車は、当時、小学校の敷地から間に道路一本を隔てたところにある教職員用の駐車場に停められて...
《解 説》
一 原告(X)らは、被告(Y)に対して国民健康保険料の免除申請をしたが、その一部又は全部について不承認処分を受けたことから、上記不承認処分の取消しを求めて提訴した。
本件の主要な争点は、上記不承認処分は、「特別の理由がある者」に対し保険料を減免することができると定めている国民...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
執行裁判所は、平成九年七月、京都市西京区所在の土地(本件土地)を含む土地及び建物(本件各物件)について強制競売開始決定をするとともに、不動産鑑定士Z(被告補助参加人)を評価人に選任し、本件各物件の評価を命じた。しかるに、Zは、本件土地...
《解 説》
一 X(イラン・イスラム共和国籍)は、平成四年二月に来日し、その後三回にわたり在留期間更新の許可を受けてわが国に在留していたが、平成五年四月、出入国管理及び難民認定法違反(資格外活動)により懲役六月(執行猶予三年)の刑に処せられ、同日、不法残留などの理由で東京入国管理局第二庁舎...
《解 説》
一 本件は、新宿区内に土地(本件土地)を共有しているXらが、本件土地に対する平成一二年度の固定資産課税台帳登録価格が不当に高額であるとして、Yに対し、審査の申出を行ったところ、審査の申出を棄却する旨の本件裁決を受けたため、その取消しを求めている事案である。
二 Xらは、本件裁...
《解 説》
一 本件は、YのA会社に対する公正証書による債権差押えに疑問を持ったX会社の代理人の弁護士Bが「公正証書原本不実記載罪等でYを告発準備中である。」旨の内容証明郵便をYに送付し、その後Yに対し「告発がいやなら念書を書け。世間体や家族のこともあるだろう。」などと申し向け、「転付命令...
《解 説》
一 本件は、貸金業者であるXが顧客であるYに対し、三口の貸付の返済を求めたところ、Yが同貸付は過剰貸付を禁止する貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業法」という。)一三条に違反する無効な貸付であって、信義誠実の原則、権利濫用の法理に照らしても許されないと主張して請求を争った事...
《解 説》
本件は、「泰道」と称する団体が、「手かざし」によって「生命の作用」を使えば病気が治癒すると唱えて宣伝活動を行い、会員を募ったことにつき、「泰道」の元会員とその遺族(元会員数二五名)が、「泰道」を構成する会社八社と一宗教法人(以下「法人被告ら」という)、及び「泰道」や法人被告らの...
《解 説》
本件は、マンション建築工事が施工された土地の近隣に居住する原告らが、マンションの建築主及びその施工業者である被告らに対し、工事によって発生した地盤沈下に起因する原告らの居宅の損傷、工事による騒音、振動等、並びに工事完成後のマンションによって生じた日照、通風等の阻害及びプライバシ...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、Yの開設するB病院において左肺癌手術を受けて入院中に死亡したAの相続人であるXらが、Yに対し、B病院の医師には、術前の各種検査によりAの右肺には間質性線維性変化や腫瘍の存在等が確認されており、Aはおよそ左肺全部摘出の負担には耐えうる状態ではなく、Aの治...
《解 説》
一 事案の概要と判断の分かれた前訴第一審及び控訴審判決
Xは大学医学部を卒業した医師であり、Yと婚姻した後、同女との間に二子をもうけたが、その後病院に勤める看護婦甲と親密な関係となり、このことがYの知るところとなったことを契機に、XはYに対し、甲のことを「これほどまでに愛する...
《解 説》
一 本件は、中堅のゼネコンであるY社の東京支店建築営業部長の地位にあったMが、Xに対し、一一億五〇〇〇万円の工事を発注するので、その見返りに工事保証金として三〇〇〇万円を預託するように指示したところ、Xがこれに応じ三〇〇〇万円をMに渡したにもかかわらず、工事の発注がなかったとし...
《解 説》
一 本件は、原告1が、自己及びその母である原告2の無権代理人として、互いに隣接する各所有建物について、保険料を自ら負担して火災共済契約を締結し、原告2の追認を得たが、その後、原告1の故意により火災が発生して、各建物が損傷した。原告1については、事故招致が肯定される限りは、保険者...
《解 説》
一 Xは、米国を中心に「Budweiser」(バドワイザー)の名称のビールを製造販売している会社であり、我が国において、「Budweiser」、「BUD」の商標を商標登録している。Y1は、チェコ共和国チェスケ・ブジェヨビチェに所在する法人(国営企業)であり、「Bude・jovi...
《解 説》
一 X(原告)は、音楽著作権の管理等を目的とする音楽著作権等管理事業者であり、現在通信カラオケで配信される歌詞・楽曲の約九七パーセントの著作権を管理している。Y(被告)は、スナック等の飲食店に対し通信カラオケ装置をリースしているリース業者である。
Xは本件訴訟に先だってYを相...
《解 説》
本件は、少年事件のあり方などが社会問題となっており、改正少年法の施行を間もなくに控えた時期に、若年少年男女により敢行された凶悪事件として、マスコミをにぎわした事件である。本件の概要は以下のとおりである。被告人は、幼いころに両親が離婚し、以後実父とともに暮らしており、定時制高校を...
《解 説》
一 本件は、被告人が、二名と共謀して被害者を脅して現金を喝取しようとしたが未遂に止まった、という恐喝未遂事件について、原裁判所から接見等禁止決定を受けていた勾留中の被告人から、内妻との接見等禁止部分につき、その取消しを求める申立てがされた(なお、その翌日、内妻からも特定の日時に...