最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、盗まれた預金通帳が使用されて機械払の方法によりATM(現金自動入出機)から預金の払戻しがされた場合に、銀行が預金者に対して民法四七八条による弁済の効力を主張することができるか否かが問題となった事案である。
二 事実関係の概要は、次のとおりである。
1 Xは、福岡...
《解 説》
一 会社の従業員等が職務上行った発明、すなわち、「職務発明」については、特許を受ける権利又は特許権が会社、従業員のいずれに帰属するのか、会社に帰属するとした場合に従業員は会社から代償を受けられるのかが問題となる。職務発明に関する法制度は国ごとにかなり異なるが、我が国の現行特許法...
《解 説》
一 本件は、原告が、亡父の相続に関して遺産分割協議に基づき相続税の申告をした後、他の相続人から遺産分割協議無効確認の訴えを提起され、同訴訟において、上記遺産分割協議が通謀虚偽表示により無効である旨の判決が確定したのを受けて、国税通則法二三条二項一号に基づき更正の請求をしたところ...
《解 説》
一 本件は、証券会社の外務員のした行為が証券取引法(平一〇法一〇七号改正前。以下特に断らない限り同じ。)六四条一項にいう「その有価証券の売買その他の取引」に当たるかどうかが争点となった事案である。
二 Aは、証券会社であるYに所属していた証券外務員であったが、自己の担当する顧...
《解 説》
X(原告、控訴人)は、昭和三八年中国において出生した中国国籍を有する外国人であるが、昭和六二年七月中国国内の医科大学を卒業し、同国内の病院に数か月間勤務した後来日し、以来日本に居住している者である。平成七年二月、Xが厚生大臣(当時、現在は厚生労働大臣)に対し、医師法に基づく医師...
《解 説》
一 本件は、原告が福井刑務所において受刑中、(1)作業中に隣席受刑者と雑談していたところ、同刑務所職員から頭部を殴られる暴行を受けたとして、国家賠償法に基づき一〇万円の慰謝料の支払を求めるとともに、(2)実弟に宛てた信書(以下「本件信書」という。)の中で、同刑務所職員の中には受...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
甲野榮子(訴外甲野)は、登記官に対し、登記名義人として住所「神戸市A区B町」・氏名「甲野栄子」との表示がされていた大分県別府市所在の土地三筆(本件各土地)について、真実の所有者・登記名義人は同姓同名の甲野榮子(亡甲野)であるにもかかわ...
《解 説》
一 本件は,原告らが,名古屋市公文書公開条例に基づき,名古屋市土地開発公社が保有する土地の一覧表について文書公開請求をしたのに対し,被告がそのうち土地の取得価格等に関する部分(係争情報)を一部非公開としたことから,その取消を求めた事案であり、被告は、係争情報は、本件条例の定める...
《解 説》
一 本件は、Y信用金庫の従業員X1、X2がその管理している顧客に関する信用情報等の記載されている文書を業務外の目的で使用するために許可を得ないで取得した行為などが就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するとしてYがXらに対してした懲戒解雇の効力が争われた事案につき、第一審判決が、Xら...
《解 説》
一 Xは、X名義ないしその妻の名義で負担した合計三〇〇万円を超える債務の整理を、弁護士であるYに委任し(以下「本件委任契約」)、委任事務処理費用等合計二七三万六〇〇〇円を支払った。しかし、Yは、本件委任契約に基づく事務処理を事務員に任せ、単にXの各債権者の主張する債権額に応じた...
《解 説》
一 Xは、Yの組織するコンビニエンスストアのフランチャイズチェーンの加盟店主として、コンビニエンスストアの経営を行っていたが、フランチャイズ契約(本件契約)を締結するに当たってYから示された売上予測に実際の売上が及ばない状態が続いていたところ、Xの経営する店舗(本件店舗)内に、...
《解 説》
一 Xは、コンビニエンスストアのフランチャイズ事業を行っているYとの間で、フランチャイズ契約を締結したうえ、平成八年三月、コンビニエンスストアを開店した。しかし、Xは、開店後売上が予想より少なく、経営不振となったので、Yに対し、経営指導等を求めたが、適切な指導援助を受けることが...
《解 説》
一 控訴人は、被控訴人(旅行業者)の主催する「荘厳なるコーランの響き サウジアラビア紀行Bコース 一三日間」と題する旅行(本件旅行)に参加したが、移動に中古バスや小型バスが使われ、天井から水漏れがしたり、通訳の能力に問題があったり、見学予定が走行中の車窓からの見学に変更されたり...
《解 説》
一 本件は、世界基督教統一神霊協会(統一協会)に所属する信者が、宗教教義の普及目的であることを秘して、原告らに各種の働きかけを行った結果、いったんは、統一協会に加入した原告らが、その後脱退し、統一協会ないしその信者組織の経済活動ないし伝道活動が違法であり、これによって物的精神的...
《解 説》
一 本件は、交通事故の被害者であるⅩが、その処理にあたったY(千葉県)の警察官Aが勝手に横断歩道近くで自己が安全確認を怠って横断したため事故が発生した旨のⅩ名義の供述調書を偽造したため、自己の氏名権を侵害されるとともに名誉を毀損されたと主張し、Yに対し、国家賠償法一条一項に基づ...
《解 説》
一 訴外AとBは、ともにC会社の従業員であるところ、平成一一年八月一一日、会社所有の普通貨物自動車の荷台に畳の芯材を積み込んで、会社の畳製造工場に運転してきたものであるが、同工場の建物に進入しようとしたところ、工場の入口のシャッターに積荷がつかえる状態にあったため、Bが右自動車...
《解 説》
一 本件は、被服類等を指定商品とし、黒塗りの横向きの犬の図形からなる登録商標1、2(登録商標2は、犬の図形の下に横書きの「DOG・DEPT」の文字が配置されている。)についての商標権を有するXが、Y標章1、2を付した被服等を製造販売するYの行為について、商標権及び不正競争防止法...
《解 説》
一 原告及び被告は、いずれもグループウェアと呼ばれるビジネスソフトウェアを主力商品として製造販売するソフトウェア会社である。「グループウェア」とは、会社や部署などのグループによる作業を効率化するために、ユーザー間のコミュニケーションや情報の共有を行えるようにするソフトウェアのこ...
《解 説》
一 本件は、供託金の還付請求を認可した供託官の行為の違法を理由とする国家賠償請求事件において、「供託所に提出又は提示すべき代表者又は管理人の資格を証する書面、代理人の権限を証する書面であつて官庁又は公署の作成に係るもの及び印鑑の証明書は、その作成後三月以内のものに限る。」と規定...
《解 説》
一 A社は、平成一三年三月九日に一回目の手形不渡りを出すとともに店舗を閉鎖して倒産し、同年五月一日に自己破産の申立てをなし、同月一八日に破産宣告を受けて、Xが破産管財人に選任された。A社は、B社ほか二社に対して合計一〇七万九九三三円の売掛債権を有していたが、平成一一年三月二八日...
《解 説》
本件は、飲食店で飲酒し、帰る際に、店の駐車場の中で自動車を無免許・酒気帯び運転したという事案である。原審は、本件駐車場内は道路交通法二条一項一号にいう道路には当たらないから、被告人には無免許・酒気帯び運転の罪は成立しないとして無罪とし、他の罪についてのみ有罪とした。本判決は、こ...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、砂利の採取や販売等を目的とする被告人二社の代表取締役又はその実質的経営者である被告人が、売上の一部を除外し、架空経費を計上するなどの方法により、被告人二社の所得を秘匿し、両社について延べ五事業年度にわたって合計二億九二九二万円余の法人税をほ脱したという...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。X(全労連系のメーデー実行委員会)は、Yが管理しているA公園を平成一四年五月一日開催のメーデー会場として使用するため、受付初日に、Yの機関であるR事務所長に対し、占用許可申請をした。ところが、連合傘下のT地公労も、受付初日に、A公園をメーデ...
《解 説》
一 Xは、財団法人日本相撲協会の理事会の決議を経て、昭和四四年一〇月、年寄名跡○○を襲名継承した者である。他方、Yは、Xの運営する相撲部屋(○○部屋)と同門の相撲部屋に所属していた力士(昭和六二年三月入門、最高位小結)であったが、平成七年四月、Xの娘であるAと婚姻し、X及びその...
《解 説》
本件は、いわゆる業際研事件のうち、元国会議員秘書で業際研を実質的に経営していた被告人に対する第一審判決である(なお、法人税法違反事件については、株式会社である業際研自体も共同被告人として起訴され、一緒に判決を受けている)。
業際研事件では、三つの地方公共団体を舞台とした競売入...
《解 説》
一 本件は、青森県及び同県内八市の共同出資により設けられた青森県住宅供給公社(以下、公社という)に勤務していた被告人が、公社の経理業務の実質的な決定権限を事実上委ねられていたことを奇貨として、約七年の間に、公社理事長名義の複数の預金口座間の預金の振替を装い、業務上預かり保管して...