最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、職務発明をした従業員Xから会社Yに対して、特許法三五条三項に基づき、特許を受ける権利を会社に承継させたことについての相当の対価を請求した事案である。
Xは、光ディスクの分野の技術を専門とし、Y在職中のXによる職務発明は、主として光ディスクの分野に関するもので、本件...
《解 説》
一 本件は、法律上の婚姻関係のない日本人である父とフィリピン人である母との間に出生した上告人が、出生の約二年九箇月余り後に父から認知されたことにより、出生の時にさかのぼって日本国籍を取得したと主張して、被上告人に対し、日本国籍を有することの確認及び日本国籍を有する者として扱われ...
《解 説》
一 国鉄労働組合、国鉄労働組合東日本本部及び国鉄労働組合仙台地方本部は、日本国有鉄道の分割・民営化に伴って設立された東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の職員採用に際し、所属組合員であるXが採用されなかったのは不当労働行為に当たると主張して、宮城県地方労働委員会に対して救済を申...
《解 説》
一 本件は、物上保証人所有の不動産を目的とする競売において、物上保証人が、被担保債権が時効消滅したと主張して、競売手続の取消しを求めて執行異議を申し立てた事案である。競売開始決定正本の債務者に対する送達が公示送達によってされた場合に、民法一五五条の通知がされたものとして被担保債...
《解 説》
一 本件は、精神病院に入院中に治療のため複数の向精神薬の投与を受けたXが、これらの薬剤の副作用によってスティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群。以下「SJS」と略称。)を発症し失明したとして、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を求めた事案である。
一審(本誌八七...
《解 説》
一 川越町長であるY(被告)は、特別養護老人ホームに対し、入所用ベッドのうち二〇床を二〇年間にわたり川越町の住民が優先的に使用できるようにするために、補助金交付決定をし、さらに、その特別養護老人ホームと「入所用ベッド二〇床について、入所の必要性が高い入所希望住民を優先的に受け入...
《解 説》
一 事案の概要
Xの夫Aは、勤務する会社の命令に基づき、中華人民共和国(以下「中国」という。)に出張し、ホテルで休憩中に、何者かによって財布を強奪された上、殺害された。そこで、Xは、Aの死亡は業務上の事由によるものであるとして、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。...
《解 説》
一 被告ら(三名)は、それぞれ月刊誌Aの発行所、発売元、編集人であるが、その二〇〇〇年八月号において、大手出版社である原告の内部事情を暴露する記事を掲載したところ、原告が謝罪広告等請求訴訟を提起した。この前訴においては、八月号記事の記載内容が適切さを欠いていたことについて謝罪す...
《解 説》
一 本件は、共同保証人間における求償の可否が争点になった事案である。
A会社は、B会社に対し、合計約一三七億円の借受債務及び請負代金債務を負い、Aの共同代表取締役であったX及びYは、AのBに対するこれらの債務について連帯保証をしていた。Xは、この連帯保証債務の履行として、Bに...
《解 説》
一 産業廃棄物収集運搬業などをしていたXは、平成九年一〇月から平成一〇年二月にかけて、貸金業者であるYから合計一〇〇〇万円を借り受け、その支払のために、Yに対し小切手一〇枚を振り出し交付した。その際に、Xの代表者A、Z会社、Z会社の代表者B、Cの四者がXの債務につき連帯根保証し...
《解 説》
本件は、原告が、産婦人科医師である被告に対し、被告が原告に催奇形性作用を有する薬剤を処方するに当たり、①調査義務、②説明義務、③投与禁止義務にそれぞれ違反した結果、原告が人工妊娠中絶手術(以下「本件手術」という。)を受けることを余儀なくされたとして、診療契約上の債務不履行又は不...
《解 説》
一 訴外A(昭和二年生)は、平成七年一一月二七日、発熱、悪寒、戦慄が発生し、チアノーゼの状態となったため、Yの開設する病院に救急車で搬送され緊急入院した。
そして、Aは、入院後も症状が悪化し、悪寒、戦慄などの症状が顕著となり、苦悶状態、見当識障害が発生し、同年一二月五日、腎盂...
《解 説》
一 Yは、本件商標「財団法人日本美容医学研究会」の商標権者である。名称を「日本美容医学研究会」とする人格なき社団であるXは、本件商標登録を無効とすべき旨の審判を特許庁に請求した。Xは、本件商標登録出願である昭和五二年よりもはるか以前に設立され、現在もその活動を行っていること、本...
《解 説》
一 本件は、カーテン吊り具に関する特許権を有しているXが、Yに対し、Yの製造販売しているカーテン吊り具(Y製品)はXの特許発明の技術的範囲に属するからその製造販売行為はXの特許権の侵害に該当するとして、Y製品の製造販売の差止めと損害賠償を求めた事案である。
本件の主要な争点は...
《解 説》
一 事案の概要は、以下のとおりである。
親会社が農業協同組合連合会から精米工場の製品タンク等に隣接して新たな製品タンク等を設置する工事を請け負い、その親会社から、製品タンクや機器の点検用通行部分の増設工事等を請け負った被告人会社が、労働者派遣契約により派遣された労働者を使用し...
《解 説》
一 本件は、宅地の所有者が、他人の設置した給排水設備を当該宅地の給排水のため使用することができるかどうかが問題となった事案である。
他の土地を経由しなければ、自己の所有地に、電気・ガス・上下水道等を引こうとしてもこれができない状態にある土地を、囲繞地通行権についての袋地との類...
《解 説》
一 事案の概要
1 事実経過
被控訴人(一九二四年七月生れ)は、韓国在住の韓国人であるが、旧日本陸軍に召集され、昭和二〇年八月広島で原子爆弾に被爆した。被控訴人は、平成一〇年五月治療目的で来日し、大阪府知事から原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法」とい...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、日米地位協定により国に雇用され、米海軍横須賀基地で働いてじん肺に罹患した原告らが、国に対し、安全配慮義務違反ないし不法行為を理由として慰謝料の支払を求めた事案である。争点は、①国が負うべき安全配慮義務の内容及び国の債務不履行責任ないし不法行為責任の成否...
《解 説》
一 本件は、いわゆるイトマン特別背任事件の共犯者として起訴された取引先会社の実質的代表者である被告人に対する商法違反(特別背任罪)及び法人税法違反事件の控訴審判決である。被告人は、自らのグループ企業の一つである関西コミュニティとイトマンとの間の絵画売買取引の譲渡益及びS社との間...