最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、市立中学校の体育用具庫の中で体育用マットの空洞に入った状態で死亡しているのが発見された生徒の両親ら四名が、犯人として逮捕あるいは補導された少年七名及び学校設置者である市に対し不法行為又は国家賠償法に基づき損害賠償を請求した事案である。
被告少年らはいずれも傷害及び...
《解 説》
一 本件は、奈良県の住民である原告が、奈良県情報公開条例(以下「本件条例」という。)に基づき、実施機関である被告に対してした食糧費の情報公開請求につき、被告が一部を非開示とした処分の取消しを求めた事件である。
被告は、支出負担行為決議兼支出命令書及び請求書(以下「本件公文書」...
《解 説》
一 本件は、都市計画法五九条一項に基づく都市計画事業の認可処分につき建設大臣に審査請求をした原告が、同審査請求を不適法として却下する旨の裁決を受けたので、その取消しを求めた事件である。
本件の争点は、本件審査請求について、行政不服審査法(以下「行服法」という。)一四条一項が規...
《解 説》
一 本件は、高知県内に事務所を有する権利能力なき社団である原告が、平成六年一〇月六日、高知県情報公開条例(平成二年高知県条例第一号。以下「本件条例」という。)に基づき、平成六年七月二五日に実施された平成七年度高知県公立学校教員採用候補者選考審査のうちの教職教養筆記審査(県立学校...
《解 説》
本件は、いわゆるリクルート事件文部省ルートの上告審決定である。
被告人は、文部省初等中等教育局長、文部事務次官等の職にあったものであるが、同次官在任中の昭和六一年九月、株式会社リクルートの代表取締役A外一名から、リクルート社の事業遂行に好意的な取り計らいを受けたことに対する謝...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、大分県下の市町村立小中学校又は県立学校等に勤務する教職員であり、大分県教職員組合等に所属するXらが、政府が昭和五七年度人事院勧告を不実施(全面凍結)したのに続き、昭和五八年度の人事院勧告も完全実施が見送られる情勢になったため、人事院勧告の全面実施を求め...
《解 説》
一 事案の概要
みやざき・市民オンブズマンは、宮崎県情報公開条例(平成一一年宮崎県条例第三六号による改正前の平成元年宮崎県条例第三号。以下「本件条例」という)に基づき、本件条例の実施機関である宮崎県監査委員(以下「Y」という)に対し、平成六年度のY事務局の旅費及び食糧費の支出...
《解 説》
一 Yはいわゆる外国語会話学校を開設する会社であり、英国人のXは英会話講師としてYに雇用されてきた者である。Xらは、平成九年六月、上部組織たる労働組合に加入し、同組合日米英語学院支部を結成し、平成一〇年二月ころから昇給等を要求してYと団交を行うなどしていたが昇給については妥結に...
《解 説》
一 訴外のA社はB社ら六社に対して、その社員の海外赴任に係る種々のサービス等を提供し、これによる報酬債権を有しており、今後も同様の債権発生が見込まれていた。このような状況下で、A社はY(被控訴人)に対して負っていたリース債務を担保するためにB社ら六社に対して有する既存の債権及び...
《解 説》
一 証券会社Xは、顧客Yから寄託されていた株式(以下「Y株式」という。)を売却し、その売却代金(以下「本件金員」という。)をYに引き渡したが、Yは、右売買は無断売買であると主張して、Xに対し、株式引渡訴訟(以下「前訴」という。)を提起し、前訴において、Y株式と同種同等の株式の引...
《解 説》
一 Y銀行は、A社を母体会社とするB社に対する貸付けの担保として、B社が賃借していた不動産(以下「本件不動産」という。)の保証金返還請求権に対し質権の設定を受けていた(以下「本件質権」という。)が、本件質権を解除する際、その代わりとして、B社から本件不動産に対し根抵当権の設定を...
《解 説》
一 本件は、Yが、ゴルフ場経営会社Aに対する融資について、Xから貸金原資の一部の拠出を受け、Aとの関係ではYのみが貸し主となり、債権の管理、保全、回収等はYが担当し、Yが貸付金を回収したときには、Xは回収額のうちXの拠出額の貸付総額に対する割合(負担割合)に対応する額の支払をY...
《解 説》
一 本件は、一審被告が経営していた伊王島、嘉穂、北松の各炭坑の従業員として炭坑労働に従事し、じん肺に罹患した者またはその相続人である一審原告らが一審被告に対して雇用契約に基づく安全配慮義務の不履行に基づき損害賠償請求をした事案について、原審(長崎地判平10・11・25本誌一〇一...
《解 説》
一 Xは、歯間の隙間等の外貌の審美的改善の目的でYの開設する歯科医院に来院したが、治療中に顎関節症を発症し、スプリント装着等の治療を受けた後、健全な自然歯について抜髄し、歯冠のかなりの部分を削り取った上、自然歯の上に咬合的にも審美的にも理想的な人工の歯冠修復物を被せることにより...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年一二月、慢性腎不全と診断され、透析治療を継続していたが、早期に抜本的な治療をするため、生体腎移植手術を受けることになった。
そして、Xは、平成六年七月一四日、東京医科大学八王子医療センターにおいて、生体腎移植手術を受けたが、手術後に肺水腫を引き起こし、呼...
《解 説》
本件は妻被告と夫一郎とが協議離婚するに際し、一郎から被告に対し、婚姻中に得た財産の三分の二を財産分与として所有権移転したが、その半分は被告が未成年の子原告の親権者となり養育監護するにつき養育費・教育費に充てる趣旨であったところ、原告が高校卒業時の四年制大学入試失敗を契機として○...
《解 説》
一 事案の概要
ロイヤルホテルは、ホテル事業を営む株式会社であるが、同じくホテル事業を営む本件関連会社が業績不振に陥り赤字決算を続けていたことから、同社に対して、複数の関連会社の資金の一元管理を行う会社を経由して継続的に融資をし、その間に策定された本件関連会社を含むグループ全...
《解 説》
一 本件は、Y(被告)の製造・販売する製品は、それそのものとしては発明の構成要件のすべてを充足するものではなく、X(原告)の特許権を侵害する物ではないが、購入者によって使用されている間に、構成要件を充足するに至るから、Yの行為は、特許法一〇一条一号にいう「その物の生産にのみ使用...
《解 説》
一 本件は、Y1が遊技機の特許権侵害訴訟を提起するに至ったY1側の事情等を説明するために開いた記者会見の席上、Y1の代表者Y2が、Xの業務に関し、「異常な会社」、「詐欺的行為」等の表現を含む発言を行い、その内容が業界誌の記事に掲載されたという経過で、①Xが、Y2発言及び上記記事...
《解 説》
一 Xは、甲不動産について根抵当権を有しており、同担保権に基づいて不動産競売手続を申し立てた。同手続において期間入札による売却及び代金納付がなされたので、執行裁判所は、極度額一億円、被担保債権額一億円以上のXの第一順位の根抵当権に対して三七〇〇万円、同じく極度額一億円、被担保債...
《解 説》
一 本件は、被告人が自動車を運転中、時速一〇〇キロメートルを超える速度で急カーブにさしかかり、自車を制御することができなくなり道路脇の街路灯等に激突させ、同乗者を車外へ放出させて死亡させた危険運転致死の事案において、危険運転行為の故意の存否が争われた事例である。弁護人は、被告人...
《解 説》
一 本件は、自己を被保険者とする生命保険の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為が民法一〇三一条に規定する遺贈又は贈与に該当するか否かが争われた事案である。
二 X1は亡Aの妻、X2及びX3はX1、亡A間の子であり、Yは亡Aの父である。亡Aは、亡Aを被保険者とする生命保険契...