最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本判決は、郵便法(以下「法」という。本判決が違憲としたことを受けて、平成一四年法律第一二一号によって改正される前のもの)六八条、七三条の規定が憲法一七条に違反するかどうかが争われた訴訟の最高裁判決である。最大判昭62・4・22民集四一巻三号四〇八頁、本誌六三三号九三頁の森林...
《解 説》
一 Aは、原告がモデルとして登場する本件小説を執筆し、被告出版社が発行する雑誌で公表した。本件は、原告が、本件小説中の記述によって名誉、プライバシー及び名誉感情が侵害されたとして、作者であるA及び被告出版社らに対し不法行為に基づく慰謝料の支払を求めるとともに、謝罪広告、本件小説...
《解 説》
一 本件は、債権者Xが、債務者Sの破産宣告後に破産宣告時における債権額を破産債権として届け出たところ、破産管財人Yから、物上保証人Dから担保不動産を取得した者から破産宣告後に担保権抹消と引換えに届出債権額の一部である三五〇万円の弁済を受けたから、破産債権は三五〇万円分だけ減少し...
《解 説》
一 Xらは、韓国籍を有しているが、日本で出生し、平成九年当時岐阜県可児郡御嵩町に居住し、外国人登録をしている者である。御嵩町は、御嵩町小和沢地区に計画されている産業廃棄物処理施設の設置に対する賛否につき住民投票を実施することになり、同年一月一四日、「御嵩町における産業廃棄物処理...
《解 説》
一 本件は、原告が、本件土地の所有権に基づき、本件土地についてXからの代物弁済を原因とする所有権移転登記を経由しているY1に対して同登記の抹消登記手続を求めるとともに、本件土地についてY1からの売買を原因とする所有権移転登記を経由しているY2に対し、同登記の抹消登記手続を求めた...
《解 説》
一 本件は、建物の建築工事を注文したXが、これを請け負ったYに対し、建築された建物には重大な瑕疵があって建て替えるほかはないとして、請負人の瑕疵担保責任等に基づき、損害賠償を請求した事案である。建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することが、「建物其他土地ノ工作物」につい...
《解 説》
一 本件は、肺の進行性末期がんによって死亡したA(死亡当時七七歳)の妻子である原告らが、Aが他の疾患の治療のために通院していた病院を開設し運営する被告に対し、がんの発見が遅れたこと、適切な治療を怠ったことについて債務不履行ないし不法行為責任があるとして損害賠償を求めるとともに、...
《解 説》
一 原告は、刑事被告人として未決勾留により東京拘置所に拘禁されている者である。同拘置所では、監獄法三一条一項、二項、同法施行規則八六条一項、二項等の法令の規定に基づき、被収容者が房内において所持し得る私有の図書(「私本」)の冊数について、原則として三冊以内、辞書、経典、学習用図...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
Xらは、平成四年三月に死亡した亡Aからの遺贈ないし相続(本件相続)を原因として、同人所有の土地(第1土地、第2土地の二筆からなる本件各土地)の移転登記を了し、これら遺贈ないし相続に係る相続税の申告をした。ところが、平成五年八月に至り、...
《解 説》
一 山口県においては、県議会の各会派に県政調査交付金(地方自治法一〇〇条の「政務調査費」に該当するものと解される)を交付している。山口県情報公開条例(本件条例)二条は、知事、教育委員会等の実施機関(県議会は含まれていない)の職員が職務上作成し、又は取得した文書等で、決裁又は供覧...
《解 説》
一 事案の概要
原告ら二名は、被告の従業員であったが、懲戒解雇された。原告らは、右懲戒解雇が原告らの被告に対する不正疑惑追及活動を抑圧するためになされたものであり、懲戒権の濫用であるとして、被告に対し解雇無効の確認及び賃金の支払いを求めて提訴した。被告は、右懲戒解雇の理由とし...
《解 説》
一 本件は、被相続人の遺産である約一坪の鉱泉地及び鉱泉源泉を相続人X、Y1、Y2、Y3が各持分四分の一の割合で共有するとの遺産分割をした後、約八年が経過してから、共有者の一人であるXが共有物分割を求めた事案である。Y1、Y2、Y3は、分割禁止契約及びその更新を主張していたが、審...
《解 説》
一 Xは、企業内外の人材の教育訓練等を業とし、平成元年度から八年度までの間、Y1の関西支社の社員に対し、課長からタスク長への任用候補者を対象とした研修(A研修)、係長等から課長への任用候補者を対象とした(I研修)等の各種研修の実施を担当してきた者である。
Xは、Y1及びY1の...
《解 説》
一 本件は、Y2銀行から保険料相当額を借り入れてY1生命保険会社の変額保険(相続人を被保険者とするタイプ)に加入した旧X(本件訴訟係属中に死亡し、妻X1と子X2ないしX6が訴訟を承継した。)が、Y1に対し、変額保険契約の公序良俗違反・錯誤無効・詐欺取消しを理由に不当利得の返還を...
《解 説》
一 本件は、Yの設置管理する中学校(以下「被告中学校」という。)の夜間教室の生徒であったXらが、Yに対し、「Xらは、同中学校の教師らの行為によって名誉を毀損され、また、人格権を侵害された。」旨主張して、①国家賠償法一条一項による損害賠償請求権に基づく慰謝料の支払、②名誉回復のた...
《解 説》
一 X1は、X2が設置するA大学の教養部の教授でその副学長を兼任している。Y1はその編集・発行する週刊誌に、「連続キャンペーン」として、合計六回にわたり、①「日本に潜む金正日直属の『超大物スパイ』」「総聯議長も恐れる闇の男」、②「金正日の”直属スパイ“仮面は『大学副学長』!」「...
《解 説》
一 本件は、①報道機関Y1の従業員であるY2及びY3が、共謀して、テレビ報道のための取材を目的として、暴走族グループの元総長であったXに対し、暴走族の集団暴走行為に参加することを依頼し、Xは集団暴走に参加したが道路交通法違反の罪で実刑判決を受け損害を被ったこと、②Y2及びY3が...
《解 説》
一 本件は、Xが、訴外会社Zから買い受けた不動産中の建物(テナントビル)の賃借人らに対するZの賃料債権が第三者によって差し押さえられていたところ、Zの仮代表取締役であり弁護士であるY1は、右事実を知りながら、賃料債権に対する差押えの効力は建物売買後の新所有者には及ばないとの独自...
《解 説》
一 平成七年九月一五日午前六時三〇分ころ、二一歳の男子大学生Aが運転する普通乗用自動車が、東京都大田区内の首都高速道路の第三車線上に逆向きに停止していた(停止の原因が単独事故によるものであるか、追突等他の車両の行為によるものであるかは、直接の目撃者等がいなかったため明らかでない...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
Xは、平成八年一〇月二二日から同一〇年三月まで、歯科医師Yの治療を受けていた。Yは、平成八年一一月一九日、Xの上顎右三番の歯牙(以下「右上三番」といい、他の歯牙についても、以下、同様の表記をする)、同九年一月八日に同左上四番、三月五日に...
《解 説》
一 本件は、Aが脳腫瘍(髄芽腫)に罹患し、Y市立B病院に入院したが、同病院には、①髄芽腫の発見が遅れた過失、②2305ⅰカルボプラチンを投与した過失、2305ⅱカルボプラチンの投与量、投与期間の判断を誤った過失、2305ⅲカルボプラチンの投与という化学療法のみに終始し、放射線療...
《解 説》
一 X(昭和二年生)は、平成八年八月、レントゲン検査の結果、左中大脳動脈動脈瘤が見つかったため、同年一一月二六日、Y1の経営する「相馬病院」で動脈瘤の治療を受けることになり、同病院に入院した。
そして、同月二七日、Xは、Y2の執刀により、左前頭側頭骨形成開頭及び中大脳動脈ネッ...
《解 説》
一 X1は、平成三年一一月一五日、Yの開設する産婦人科医院の診察を受け、妊娠六週目と診断されたため、その後引き続き通院して定期検診等を受けていたが、平成四年七月四日破水したため、同医院に入院し、子宮頚管熟化剤「マイリス」の投与を受けたところ、ショック症状を来したので近くの国立病...
《解 説》
本件は、A及びBに対する保証債務履行請求権を有していたXが、Aらに代位して、Aらと生命保険契約を締結していたYに対して、生命保険契約の解約権を行使し、解約返戻金の支払を求めた事案である。Yは、①Aらは無資力ではない、②Aらが加入していた生命保険契約は、遺族の生活保障機能を重視す...
《解 説》
東京高裁平成一一年(ネ)第六三四五号事件(①事件)、同庁平成一二年(ネ)第七号事件(②事件)、同庁平成一二年(行ケ)第三八六号事件(③事件)及び同第三八七号事件(④事件)は、事実関係及び争点を一部共通にする一連の事件であり、これら事件の判決は同一裁判体により同日言い渡されている...
《解 説》
一 本件は、被告人が、マンションの隣室に居住する女性に電話を掛け、同女に対し、「お前に仕返ししてやる」などと言い、さらに、その後電話で呼び出した同女に対し、自己の自動車内において、「仕返しって何をするか分かるか。お前の出方次第だ。まだ、トドメは刺さないからな」などと言うなどして...
《解 説》
一 本件は、少年である被告人が自動車を運転中左にカーブする道路を高速度で走行し、運転操作を誤って自車を歩道上に乗り上げバス停付近でバスを待っていた被害者五名に衝突させて、二名を死亡させ、三名に傷害を負わせたという業務上過失致死傷の事案である。これにつき、原判決は、被告人の行為は...
《解 説》
一 本件は、外資系企業の従業員に付与されたストックオプションの権利行使利益に対する課税のあり方が争われた事案である。
すなわち、Xは、外資系企業の日本法人であるA社の従業員であるところ、その親会社である米国法人・B社から、四回にわたり、B社の普通株式を付与時における米国NAS...
《解 説》
一 本件の事案の概要は以下のとおりである。X(原告・被控訴人)が、執行裁判所に対して、平成七年一一月三〇日、債務名義により、主たる債権と申立日までの附帯債権を請求債権とする債権差押命令の申立てをし、同裁判所がした債権差押命令が第三債務者Zに送達された。他方、Y(被告・控訴人)も...