最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、厚生大臣が、堺市において平成八年七月中旬ころに発生した腸管出血性大腸菌O―157に起因する学童らの集団食中毒につき、科学的根拠がないにもかかわらず、本件中間報告において、「貝割れ大根については、原因食材とは断定できないが、その可能性も否定できない」、本件最終報告にお...
《解 説》
一 本件は、上場会社であるX(原告、被控訴人、被上告人)が、その主要株主であるY(被告、控訴人、上告人)に対し、証券取引法一六四条一項に基づき、Yの行ったX株式の短期売買取引による利益の返還を求めた事案である。
二 証券取引法一六四条一項は、「上場会社等の役員又は主要株主がそ...
《解 説》
一 児童扶養手当は、いわゆる母子家庭の生活安定と自立促進のため、児童扶養手当法に基づき支給されるものであるが、同法四条一項は、その支給対象児童として、父母が婚姻を解消した児童(一号)など一定の類型の児童を定めた上で、同項五号で「その他前各号に準ずる状態にある児童で政令で定めるも...
《解 説》
一 本件は、問題とされている通路部分(本件通路部分)に面する土地及び通路部分の一部を所有する原告が、所有地上の建物建築工事に先立ち、本件通路部分が建築基準法四二条二項の規定する同条一項の道路とみなされる道路、いわゆるみなし道路に当たるか否かを建築主事に照会したところ、みなし道路...
《解 説》
一 本件は、不動産競売手続により売却された土地につき不動産工事の先取特権を有する原告が、対象土地には同工事による増価額が現存し、同先取特権に基づきその増価額の配当を優先して受けることができるものであり、原告の配当額を〇円とした配当表には誤りがあるとして、根抵当権者である被告に対...
《解 説》
1 AはYとの間で、本件ゴルフクラブへの入会契約を締結し、預託金九〇〇万円を支払って個人正会員権を取得した。Aは、預託金据置期間の経過後、本件会員権をゴルフ会員権業者Bに譲渡し、いずれもAの署名押印のある退会届及びゴルフ会員権譲渡通知書を含む一件書類を交付した。Aは、本件会員権...
《解 説》
一 被相続人Aの遺産の一部である本件不動産につき、その共同相続人の一人であるBに対して貸金債権を有するYが、Bに代位してその法定相続分(一〇分の一)に従った共同相続登記を経由した上、Bの持分に対する強制執行を申し立ててこれを差し押えた。ところが、Aは、本件不動産を他の共同相続人...
《解 説》
一 本件は、家具販売等を業とする会社である原告が、被告が施主となって建築されたカラオケボックスに納入したテーブル等(本件商品)の売買代金一〇〇万円余りの支払を求めた代金請求の事案である(なお、本件は旧民訴法適用の事案である。)。
原告は、本件訴訟に先立ち、同カラオケボックスの...
《解 説》
一 本件は、他人になりすました被告人が、消費者金融会社の無人契約機を介して、同社係員を欺き、他人名義でカードローンに関する基本契約を締結した上、係員からローンカードの交付を受け、その直後に、そのカードを同社の現金自動入出機(ATM)に挿入してこれを操作し、現金を引き出したという...
《解 説》
一 本件は、自動車販売業等を営む株式会社である原告が、改造車や自動車改造用部品に関するイベントを開催するために名古屋市国際展示場の使用許可を申請したところ、被告が、同施設で前年まで開催されていた同種イベントにおいて暴走族等による混乱があったことなどを理由に、名古屋市国際展示場条...
《解 説》
一 バス運転士Xは、自己の運転する路線バス(乗合バス)を駐車中のAの車両と接触する物損事故を起こした。そのため、Xは、勤務するバス会社Y2の営業所長Y1から、下車勤務として約一か月の営業所構内除草を(第一業務命令)、乗車勤務復帰後も一か月以上の添乗指導を受けること(第二業務命令...
《解 説》
一 事案の概要
X①、X②の共有地(甲土地)は袋地であるが、X①、X②の父Aは、甲土地の所有権を取得して以降、甲土地の北東角の本件出入口からY所有地(乙土地、墓地の一部)等を通って、Yの代表役員個人が所有し、墓地への参拝者や付近の住民の通行の用に供している私道に至り、この私道...
《解 説》
一 本件は、Aが賃貸中の建物について譲渡担保権の設定を受けたXが、その一部の賃借人であるYに対し、Xが本件譲渡担保契約によって本件建物の賃料債権を取得したなどと主張して、その支払を求めた事案である。
二 Xが本件建物の賃料債権を取得したという主張の第一は、譲渡担保権の設定によ...
《解 説》
一 本件は、控訴人(貸金業者)から貸付を受けていた被控訴人が、控訴人の取り立てた利息制限法所定の制限利率を超える約定利息部分は元本に充当されるべきであるから、合計四七万一〇三六円の過払金が生じているとして、控訴人に対し、その返還を求めたところ、控訴人が貸金業の規制等に関する法律...
《解 説》
一 多重債務者である原告から債務整理の依頼を受けたA弁護士が、右債務整理の過程で、貸金業者と新たに各債務の弁済契約を私的和解の中で締結したが、その中身が利息制限法の制限を超えた従来の貸付けにおける約定利率を前提とした分割弁済の内容であり、原告は右合意に基づいてその後一定の支払を...
《解 説》
一 本件は、Y1会社主催のダイビングツアーに参加したAがダイビング中に死亡した事故について、Aの遺族であるXらが、ガイドダイバーであるY3に対しダイビング引率に必要な注意を怠った不法行為に基づき、Y1会社に対しダイビングツアー契約に基づく安全配慮義務違反又は使用者責任に基づき、...
《解 説》
一 概要
1 事案の概要
ア H形鋼を初めとする鋼材の生産・販売並びに鉄道軌道用品の生産を主たる業務とし、東京・大阪の両証券取引所の一部に上場する株式会社Aは、かねてより通常の財務経理を担当する部門において余剰資産の運用として証券取引を行っていたが、証券会社である被告の勧誘...
《解 説》
本件は、築一五年のマンションの住人が漏水、溢水等の事故について管理組合、管理会社、保険会社を相手に損害賠償請求をした事件の控訴審判決である。
当事者の地位や事故との対応関係、責任原因等が複雑で分かりにくいので、判示と関係のある部分のみを整理すると、次のとおりである。
控訴人...
《解 説》
一 本件は、交通事故で死亡したAの両親であるXらが、Aの運転していた車両に衝突した車両の運行供用者である運転者のYに対し、民法七〇九条ないし自動車損害賠償保障法三条に基づき、亡AないしXらの被った損害の賠償を求めた事案である。
二 Xらは、Yの過失として、本件事故が先行車両の...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、平成八年九月五日、Y1が経営するA大学病院眼科に、眼内炎の治療のため入院したが、入院中の同月一五日、肝膿瘍を原発巣とする肺炎桿菌が右眼に転移したために発生した内因性細菌性眼内炎により右眼を失明した。Xは、A大学病院眼科の医師であるY2...
《解 説》
一 本件は、加熱蒸散殺虫方法(A特許)並びにそのための装置(吸液芯付容器、殺虫装置キット)及び蒸散される殺虫液のための蒸散性持続化剤に関する特許(B特許。なお、B特許はA特許から分割出願されたものである。)の各特許権を有するXが、キンチョーリキッドの名称の加熱蒸散型殺虫装置(以...
《解 説》
一 原決定が出されるまでの経過は本決定の「第3 当裁判所の判断」欄の一項に記載されたとおりである。X1及びX2は、Yに対し精算金の支払を命ずる仮執行宣言付判決に基づいて、Yの預金債権の差押え及び転付命令の決定を受けたところ、Yは同判決に対し控訴し、X1のために八〇〇〇万円、X2...
《解 説》
一 本件は、被告人が、当時の夫と共謀して、(1)当時一歳八か月の長女を殺害しようと決意し、二か月間以上にわたりその生育に必要なだけの飲食物を与えず、自宅において栄養失調に基づく全身衰弱により死亡させて殺害し、(2)深夜、当時一歳二か月の三女が泣き出したことから、同児を殺害しよう...
《解 説》
一 本件は、現職の海上自衛官(三等海佐)であった被告人が、在日本国ロシア連邦大使館付海軍武官に、自己が職務に関連して入手した防衛に関する秘密文書の写しを交付して、職務上知ることのできた秘密を漏らしたという事案であり、当時、社会の耳目を集め、マスコミにも大きく取り上げられた事件で...
《解 説》
一 被告人は、殺人罪及び覚せい剤取締法違反の罪で起訴されたが、公判において、殺人罪について殺意を否認し、弁護人は、被告人の殺人罪に関する供述調書及び被告人が殺人の犯行状況を再現した実況見分調書はいずれも違法収集証拠であるなどと主張して、その証拠能力を争った。これに対し、本判決は...