最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事件の概要
1 事実経過
Xは、広島で原子爆弾に被爆し、現在韓国籍を有し同国に居住する者であるが、治療のために来日し、平成一〇年五月二〇日、Y1(大阪府知事)から原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年一二月一六日法律第一一七号。以下「被爆者援護法」という。)上...
《解 説》
一 本件は、Xらの長男A(当時中学二年生)が平成六年四月にY1町が設置していた中学校に転校し、通学していた同年七月一五日に自殺(本件自殺)したことに関し、Xらが、本件自殺の原因はY3生徒ら(同じクラスの生徒八名及び隣接クラスの生徒一名)がAに対していじめを繰り返し、これに対して...
《解 説》
一 本件は、三菱石油株式会社(以下「三菱石油」という。)の株主である原告が、三菱石油が、昭和六二年一二月ころから平成七年九月ころまでの間に、Aに対し、①業者間転売取引(以下「業転取引」という。)による石油製品の取引価格の上乗せあるいは②サイト差取引により総額六三億円以上の資金を...
《解 説》
一 Y1は、かつてその工場から排出され、東京都江東区内に埋め立てられている六価クロム鉱さいの処理につき、昭和五四年に東京都との間で協定を締結し、埋め立てられている鉱さいを掘削除去し、Y1の工場跡地に搬入して処理してきたが、処理容量が限界に達したため、平成五年には、東京都の環境保...
《解 説》
一 事案の概要等
地方公共団体は、その発注する公共工事について、「公共工事の前払金保証事業に関する法律」(以下「保証事業法」という。)所定の前払金保証事業を営む保証事業会社により前払金保証がされた場合には、請負者に対し、その工事に要する経費につき前金払をすることができるとされ...
《解 説》
一 日蓮正宗の末寺である宗教法人Yは、日蓮正宗の信徒及び有縁者のために本件墓地を経営している。Xは、本件墓地の一区画に永代使用権を有する者である。本件は、Xが新しく墓石を設置しようとしたところ、墓石に刻する題目(「妙法蓮華経」の文字)が日蓮正宗の定める方式とは異なるとして、Yが...
《解 説》
一 本件は、被告人が、破産会社の代表取締役と共謀の上、被告人及びその代表取締役の利益を図り、一般債権者を害する目的で、破産財団に属する財産を隠匿し、破産会社の清算貸借対照表及び税務会計事務所のパーソナルコンピュータで処理するフロッピーディスクに記録された総勘定元帳に不正の記載を...
《解 説》
一 本件は、少年の保護事件に係る補償に関する法律(少年補償法)五条一項の決定(少年補償決定)を受けた少年が、補償金額が低すぎるとして高等裁判所に抗告を申し立てたものの、同決定に対する上訴は許されないとして、これを棄却されたことから、特別抗告に及んだという事案である。
少年補償...
《解 説》
一 本件は、兵庫県の住民であるX1・X2夫妻が、公文書の公開等に関する条例(昭和六一年兵庫県条例第三号。以下「本件条例」という。)に基づいて、Yに対し、X1の平成五年五月七日の分娩に関する診療報酬明細書(以下「本件文書」という。)の公開を共同で請求した(以下「本件公開請求」とい...
《解 説》
一 本件は、原告らが被告に対し、表示登記はされているが、権利の登記のされていない土地について不動産登記法一〇〇条一項二号に基づく所有権保存登記申請をしたところ、被告が右申請を却下したため、その取消しを求めた事案である。
このような土地は、かつての入会地などを中心として現在でも...
《解 説》
一 本件は、「名古屋市議会の議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例」に基づく定数配分規定の下で、平成一二年七月三〇日施行の中区選挙区の補欠選挙について、定数配分規定が公職選挙法一五条八項に違反しており、選挙は無効であるとして、中区選挙区の選挙人らが提起した...
《解 説》
東京都国立市においては、JR国立駅から南方に向かって「大学通り」と呼称される広い通りが伸び、一橋大学の前を通って、学校法人X1学園の経営する私立小・中学校及び高校方面に至っている。建設会社Y2は、不動産販売会社Y1からの発注を受け、大学通りの南端、X1学園と道路を挟んで南側の本...
《解 説》
一 本件は、Xが、「県警総務課の平成七年度の旅費・懇談会費の支出に関する一切の資料」の公開を請求し、これに対して県知事が非公開決定処分をしたので、同処分の取消しを求めた事案である。
滋賀県公文書の公開等に関する条例(昭和六二年滋賀県条例第三七号)六条三号は、「公開することによ...
《解 説》
一 本判決が認定した事実経過は次のようなものである。
A社は、商工ローン業者であるY(被告・反訴原告・被控訴人)から三回にわたって金銭を借り入れ、各借入れの際に第三者が連帯根保証や物上保証をした。その後、A社は、Yに対し三〇〇万円の融資を申し込んだところ、Yから新たな保証人を...
《解 説》
一 Xは、四日市市の公用地の買収等を目的とする公社であるが、東芝半導体工場の用地買収を四日市市から依頼されたため、右土地買収事業(本件プロジェクト)の一環として、農業等を営んでいたYからその所有地を買収した。その際、Xは、Yに対して、右買収にかかる土地の代替地となる農地を提供す...
《解 説》
一 X(債権譲受人)は、A(債権譲渡人)からAがYに対して有する債権を譲り受けた上、債務者に対する対抗要件を具備したと主張して、Yに対し、右債権の支払いを求めた。これに対して、Yは、右債権はAに弁済済みであると主張して、請求を争った。争点は、①AのYに対する債権譲渡通知とYの弁...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、宗教法人である被告法の華三法行(以下、「法の華」という。)の主催する研修等に参加し、また、修行用に必要であるとして物品を購入するために高額な金員の出捐をした原告らが、法の華の教祖兼代表役員であった被告北田一郎こと北田二郎(以下、「被告北田」という。)を...
《解 説》
一 訴外Aは、平成一〇年一月七日の深夜、自動車を運転し、妹の訴外Bを助手席に乗せ、Bのマンションに送っている途中、スピードの出しすぎにより、中央分離帯を飛び越えて対向車線に入り、走行中の大型クレーン車に衝突し、Bとともに死亡した。
そこで、A、Bの母であるXは、Aにつき相続放...
《解 説》
一 X1は、平成二年三月一九日、第二子出産のため、「倉敷中央病院」に入院し、深夜、吸引分娩により、X3を出産したが、重症の仮死であったため、X3に低酸素脳症等により脳性麻痺の後遺症が残った。
そこで、X3と両親であるX1、X2は、担当医師には、(一)速やかに吸引分娩を行う義務...
《解 説》
一 本訴は、平成六年七月当時、津久井町立中学校の二年三組に在籍していた訴外A(昭和五五年生)が、四月一五日、自殺したが、Aの両親であるX1、X2が、右自殺の原因は、同校の生徒らがAに対していわゆる「いじめ」を繰り返したものであるとし、生徒Y1ないしY10に対し、暴行などによる共...
《解 説》
一 本件は、「魔術師 三原脩と西鉄ライオンズ」(以下「魔術師」という。)の著者であるXが、「魔術師」第一刷から第二刷への改訂に当たって、当時Y1第二出版局第二出版部長だったY2によってXに無断で「魔術師」のうち二〇三箇所が改竄されたとして、著作者人格権(同一性保持権)の侵害を理...
《解 説》
本件は、東京都台東区上野の面積一二坪の借地(商業地)上にある築後六〇年以上を経た老朽化した店舗兼住宅の明渡し請求事件である。家主は、自分の経営していた会社が銀行に負っていた債務二六五〇万円を承継したが、年金生活のため元本の返済ができず、唯一の資産である本件貸家を金銭に換えて、借...
《解 説》
一 本件は、債権者が債務者に対し、貸金連帯保証債務履行請求権を被保全権利として給料(退職の場合は退職金)債権の仮差押えを申し立てた事案である。
二 仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について強制執行をすることができなくなるおそれ又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるお...
《解 説》
一 本件は、南アフリカ人である被告人が、共犯者から南アフリカ・日本間の往復航空券を受領し、その往路部分を使用して、日本国内に大麻草約一二キログラムを密輸入した(関税法違反は未遂)という事案である。
検察官は、共犯者から受領した往復航空券は、いわゆる麻薬特例法二条三項に定める「...