最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件各犯行はいずれも複雑な経過を辿っているが、その概要は次のとおりである。
被告人甲乙は、Xという名称で犬猫等繁殖販売業等を共同経営していた夫婦(両名は本件各犯行前に協議離婚したが、それは税金対策のための偽装離婚であったと認定されている)であるが、かねてから顧客に対して嘘...
《解 説》
一 本件の抗告人は、抵当権の実行としての競売の目的不動産の所有者(物上保証人)であり、売却許可決定に対して、当該抵当権は長男の無権代理行為によって設定されたものであるから存在しないとして、執行抗告をした。原審は、担保権実行としての不動産競売においては、担保権の不存在を理由として...
《解 説》
一 ①事件について
Xは、国有財産法一八条三項に基づく使用許可により、国有林野内において四件の山小屋を所有していた者であるが、そのうち三件はY1(本件当時、富山営林署長)所管の国有林野内に、一件はY2(本件当時、大町営林署長)所管の国有林野内にあった。
昭和五四年の林野庁長...
《解 説》
Xは、昭和一七年一一月生まれの男性で、平成四年七月に運転手としてYタクシー会社に勤めた者であるが、同八年一二月一九日に同九年一月末日をもって解雇する旨通知された。その理由は、「Xが従業員としての適性を著しく欠く」というものであった。Xは、この解雇が権利濫用であり、また、Xが労働...
《解 説》
一 本件は、平成四年一一月二三日に愛媛県で開催された「死刑廃止国際条約の批准を求める四国フォーラム'92」に携わったXらが、自らが実施した死刑存廃の意見を問う街頭アンケート(本件アンケート)の結果によれば、「死刑が不要」が「死刑が必要」を上回っていたにもかかわらず、Y1がその著...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、放送事業等を目的とする会社であり、A氏が代表取締役の地位にある。Xは、地方の民間放送局と番組等の配信に関するネットワークを構成している。Yは、雑誌の出版等を目的とする会社であり、週刊Sを発行している。Xの系列局の一つであるB社がCM間...
《解 説》
一 本件は、原告が被告との間で行ったワラント取引等について、被告の従業員の行為に適合性原則違反、断定的判断の提供、説明義務違反、助言ないし情報提供義務違反及び一任勘定取引の違法があるとして、原告が被告に対し、不法行為ないし債務不履行に基づき、取引により被った損害の賠償を求めた事...
《解 説》
一 本件は、「事案の概要」欄にも記載のある通り、地方公共団体が実施した乳児の健康診査において、ある児の先天性股関節脱臼が看過されたのではないかということが争われた事例である。
Xは平成元年一二月三一日生まれであるが、平成二年の四月、七月、一〇月に、それぞれYが母子保健法の規定...
《解 説》
一 本判決は、職務発明をして、その特許を受ける権利を会社に承継させ、その対価として、会社の発明考案取扱規定に基づく補償金等の支払を受けた会社従業員が、会社に対し、特許法三五条三項に基づく「相当の対価」は、上記補償金等より多額であると主張して、同条項に基づき不足額の支払を請求した...
《解 説》
一 中華民国法人の海上運送業者であるYは、マレーシア国の輸出業者の依頼により、中華民国法人のAが輸出業者から購入した丸太をマレーシアから台湾まで海上運送した。本船は、マレーシアのクアラ・バラム港から台湾のスアオ港に向けて発航したが、出航五日後の事故前日から前線の通過に伴い風力が...
《解 説》
一 ここで紹介するのは、職業運転手であった被告人が、(1)酒気を帯び、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態で、東名高速道路において大型貨物自動車を運転し、(2)酔いのために的確な運転操作が困難な状態に陥って、折から渋滞のために減速進行中であったA運転車両及...
《解 説》
一 本件は、被告人が、(1)共犯者と共謀の上、被害者を首吊り自殺に見せかけて死亡保険金を入手しようとし、被告人において腰ひもで被害者の頚部を締め付けるなどして窒息死させ、その五年後には、(2)別の共犯者と共謀の上、被害者を殺害すれば、同人の死亡保険金の受取人からその一部を報酬と...
《解 説》
一 本判決は、パチンコ遊技台を電子計算機にあたるとして、電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法二三四条の二)の成立を認めた第一審判決に対し、パチンコ遊技台の電子計算機部分は、個々のパチンコ遊技台の機能を向上させる部品の役割を果たしているにすぎず、刑法二三四条の二にいう「業務に使用する...
《解 説》
一 本件は、シンナーの乱用を断ち切れない長男のことで悩んでいた被告人が、長男方において、そのシンナー吸引の再開を知り、シンナー缶を持ち帰ろうとしたところ、長男から頚部下部付近を両手で押さえつけられ、親よりシンナーの方が大事だなどと罵倒されるに及んで、憤慨するとともに深い絶望感に...
《解 説》
一 本件は、パソコンネットを開設・運営していた被告人が、わいせつ画像データ合計約四一八二画像分をパソコンのハードディスク内に記憶させて、電話回線に接続した右ネットのホストコンピューターの管理機能に組み込んだ上、電話回線を使用して、パソコン通信の設備を有する不特定多数の顧客に右わ...
《解 説》
一 本件は、強姦行為に引き続き、共犯者において反抗抑圧状態にある被害者に対し口淫を強いている最中、その傍らにいて見張りをしていた被告人が単独で財物を奪取する旨決意し、被害者の鞄内から財布を奪ったという事案である。第一審判決は強盗罪の訴因に対し窃盗罪を認定したところ、検察官から控...
《解 説》
一 本件は、被告人が、パソコン通信を通じて、わいせつ図画及び児童ポルノを、販売したり販売目的で所持したとして、わいせつ図画販売及び同目的所持罪、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という)違反の罪に問われた事案である。
本件...
《解 説》
一 本件は、住宅金融専門会社(いわゆる住専)がゴルフ場開発会社に対して行った総額約一九億円の融資ないし連帯保証(融資等)が特別背任罪に当たるとして住専役員ら及びゴルフ場開発会社代表取締役らが起訴された事案であり、本判決は、そのうちの融資等を受けた借り手側であるゴルフ場開発会社の...
《解 説》
一 本件当時の雇用保険法八五条柱書は、「被保険者、受給資格者等又は未支給の失業等給付の支給を請求する者その他の関係者が次の各号のいずれかに該当するときは、六箇月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」と規定し(その後、平成一〇年法律第一九号により、「教育訓練給付対象者」が追...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤の自己使用及び所持の事案であり、捜査の経過は次のとおりである。被告人が路上に駐車中の自動車内において覚せい剤を注射して使用し、その後も車内にいたところ、警察官らは、大麻を吸っている男がいるとの一一〇番通報により現場に臨場して職務質問をし、所持品を見せるよう説...