最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、平成九年三月に起きたいわゆる東電OL殺人事件の控訴審判決である。事案は、東京都渋谷区のアパートで女性が殺害され現金を奪われたというもので、被害者が、大手企業の相当な役職にある会社員であるとともに、渋谷の街角で売春を繰り返していたという事情が判明したことなどから、社会...
《解 説》
一 Xの主張によると、X2会社(代表取締役X1)は、A社化粧品の割引販売を開始したところ、A社の取締役BはX2会社の化粧品販売を不能にするよう企て、刑事Y2にX1が金員喝取という虚偽の事実を申告し、Y2に対し、右事件を捜査し、X2会社のA社化粧品の仕入先名簿を押収するよう依頼し...
《解 説》
一 本件は、西宮市内の市立小・中学校の卒業生・在校生六名が、西宮市教育委員会に対し、西宮市個人情報保護条例(以下「本件条例」という。)に基づき、調査書や小・中学校の指導要録(以下「調査書等」という。)の開示を求めたが、西宮市教育委員会がこれらを全面非開示とする処分を行い、異議申...
《解 説》
一 本件は、一定の期間内の道の商工労働観光部総務課及び石狩支庁地方部総務課の旅費の不正受給に関する一切の資料(Yは、これを特定の旅行命令簿兼旅費請求書等(本件各公文書)であると特定し、Xもそれを争わなかったようである。このような処理がされるまでの本件開示請求は、その対象の範囲を...
《解 説》
一 本件は、業務用娯楽機械、家庭用ゲーム機器等の製造販売を業とする株式会社である債務者に雇用されていた債権者が、それまで所属していた部署から担当業務のない「パソナルーム」と呼ばれる部署に異動させられ、それと前後して退職勧告を受け、それを拒否したところ、労働能力が劣り、向上の見込...
《解 説》
一 事案の概要
貸金業者であるXは、Yとの間でカードと現金自動入出金機を利用した限度額借入契約を締結した際、Yに対し金員を借入することと経済的に同価値であるカードを交付しているのであるから、その後Y以外の者が右カードによって金員を引き出したとしても、Yとの関係で消費貸借契約に...
《解 説》
一 Xは夫を亡くし未成年の子供を抱えて情緒不安定に陥っていた未亡人である。Y1(運勢鑑定家と称する女性)は、気学、方位学等の知識を悪用してXに近づき、二穣会なる会に入会させた上、虚偽の事実を述べたて、現金に祈祷等を行うことによって運勢をよくするという「念金浄化」を勧め、その名目...
《解 説》
一 本案について
本件は、いわゆるウグイス嬢として当時現職の大阪府知事候補であった被告の選挙運動に従事していた原告が、①選挙カーの中で被告からわいせつ行為を受けた、②右わいせつ行為を大阪地方検察庁に告訴したことに対し、被告が事実無根であるとして原告を虚偽告訴罪で逆告訴する等し...
《解 説》
一 Xは、平成八年二月二四日、木島平スキー場の「牧ノ入スノーパーク」(以下「本件スキー場」という。)の第七トリプルリフト終点から連絡通路を通って、山側に向って左側のゲレンデにおいて、谷側に向ってプルークボーゲンで滑走中、スノーボードに乗って後方(上方)から滑走してきたYに衝突さ...
《解 説》
本件は、XがY3ないしY5の共謀ないし共同不法行為により、大手百貨店であるY1が子会社Y2を通じてXの子会社から商品を仕入れ、Xの子会社がY5の経営するP社から仕入れるとの虚構の関係を知らず、子会社を支配するXが仕入代金相当を詐取されたか否か、Y1の社員でY2に出向したY4の不...
《解 説》
一 Xは、平成元年七月、自転車に乗車して愛知県大府市内の道路上を進行中、Yの運転する普通乗用車に衝突され、頸部挫傷、腰部挫傷等の傷害を負った。
そして、Xは、近くの病院等に入通院して治療を受け、平成二年五月、症状固定との診断がなされたが、反射性交感神経性萎縮症、右上肢不全痳痺...
《解 説》
一 X(大正一四年生)は、平成八年一二月当時、Yの設置する温泉病院に入院し、治療及びリハビリを受けていたところ、同月六日、病院の廊下を歩行中、子供が同病院廊下の壁に沿って設置されていた防火扉の取っ手に触れたことから、同扉が、Xの方向に向かって閉じ始め、Xに接触したため、その場に...
《解 説》
一 訴外Aは、平成五年一〇月、乳癌切除手術を受けたが、その後乳癌が再発し、治療する見込みがなくなったため、平成八年二月、Yの開設する「北里大学病院」に入院し、癌の放射線治療、痛みのコントロールを受けることになった。
ところが、平成八年七月、右病院の医師は、突然の出血死を回避す...
《解 説》
一 近年、東京都内等において会社の事務所荒らしが多発し、金庫等で保管されていた手形帳、印鑑、受取手形等が盗まれ、しかも受取手形には上場企業等の大手企業が振り出した手形が多数含まれていた場合が多く、新聞等でも報道されているところである。このような盗難手形について、受取人の裏書が偽...
《解 説》
一 税理士Xは、損害保険会社Yとの間で、業務上の過誤についての顧客に対する賠償責任を填補する税理士職業賠償責任保険契約を締結した。Xは、顧客Aの納税申告事務処理に当たり租税法規の解釈を誤って過少申告をしたため修正申告が必要となり、顧客が受けることができた減算処理を受けることがで...
《解 説》
一 本件は、「インターネットの時限利用課金システム」という名称の発明(以下「本件発明」という。)について特許権を有するXが、プリペイド型電子マネーを利用するインターネット少額決済システム(①事件)及びダイアルアップ方式によるインターネット接続サービス事業(②事件)といった、イン...
《解 説》
Xは合資会社であり、無限責任社員としてA及びYがいるほか、三名の有限責任社員がいる。Aは、Xの代表者として、Yに対し、YをXから除名させること並びにYの代表権及び業務執行権を喪失させることを求める訴えを提起し、第一審は、審理の結果、YをXから除名することを認めた(除名が認められ...
《解 説》
本件は、クレジットカード利用の加盟店(債務者、抗告人)が、クレジットカード会社(第三債務者)との間の加盟店契約に基づいて、クレジットカード利用者(顧客)に対してしたサービスの提供や物品の販売等の対価について、クレジットカード会社に対して将来有すべき一定期間内の支払請求債権の差押...
《解 説》
本件は、亡父が消費貸借契約の借主となっている公正証書を債務名義として給料等債権の差押えを受けた債務者が、民事執行法一五二条一項により、差押えを受けない部分のみでは生活を維持できないとして、主位的に差押命令の取消し、予備的に差押範囲の変更(差押範囲の減縮)を申し立てた事案である。...
《解 説》
一 本件は、被告人Bが、実父である被害者との口論からつかみ合いのけんかとなった際に、被害者が付近にあった一升瓶を割ってその破片でBを攻撃してきたため、Bが被害者を押さえ付けている間に、被告人Aが椅子で被害者の下半身を殴打したり、Bの指示によって包丁で被害者の下半身を十数回突き刺...
《解 説》
一 本件は、フィリピン人女性である被告人が、高齢の被害者に対し、路上で暴行を加えて転倒させ、財布を奪った上傷害を負わせたとして強盗致傷罪で起訴された事案である。被告人は、公判廷において、被害者とぶつかったことは認めつつも、一緒に歩いていた息子が自分に向かって石を投げつけてきたた...