最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件の事案は次のとおりである。
政府系金融機関である原告の職員であり、その職員で組織されている労働組合(以下「本件組合」という。)の組合員一九名(補助参加人ら)は、組合活動を理由に原告から役職位の任用及び昇給・昇格について差別を受けたとして、東京都地方労働委員会(被告)に...
《解 説》
一 本件は、Y(広島県知事)が森林法一〇条の二に基いてした開発行為(養鶏場の建設)の許可処分につき許可区域の周辺に居住する多数の原告がその取消しを求める訴訟において、控訴提起の手数料の不足を理由に原審裁判長がした控訴状却下命令に対する許可抗告事件である。
Xらは、訴えの基礎と...
《解 説》
一 本判決は、遺族厚生年金の逸失利益性を否定した最三小判平12・11・14(平成一一年(受)第二五七号・本号二二〇頁掲載。民集登載予定)と同日、第三小法廷が言い渡した判決であり、不法行為によって死亡した者のいわゆる軍人恩給としての扶助料につき逸失利益性を否定した判決である。
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《解 説》
一 事案の概要
本件は交通事故によって死亡した亡Aの相続人Xらが、加害者Y1及びY1が自動車損害賠償責任共済に加入していたY2(農協)に対して、損害賠償等の支払を請求をする事件である。
Aの夫Bは厚生年金保険の被保険者であったが、市会議員もしていたことから、Bの死亡後、Aは...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、A株式会社の株主であるXらが同社の取締役であるYらに対して提起した株主代表訴訟である。A社は、関連会社のB株式会社から不動産を購入したが、この取引は、両社の代表取締役を兼ねるY1が双方を代表して行われたものである。Xらは、本件取引は、経営難に陥っていた...
《解 説》
Xは、婚姻の際、妻の氏を称することとし、妻を筆頭者とする新戸籍が編成された。右夫婦の嫡出子として長男及び二男が出生して右戸籍に記載され、それぞれの父母欄は、
父 乙山太郎
母 花子
と記載された。その後、X夫婦は離婚し、その際、Xは婚姻前の氏(甲野...
《解 説》
一 Y市内に土地(本件土地)を他の共有者とともに所有していたXは、これを不動産業者(本件買主)に四億四五〇〇万円で売却した。本件買主の代理人は、売買代金の交渉に際し、Xに対し、「Y市はいわゆる開発指導要綱(旧要綱)を定めており、本件買主はY市に約一億五〇〇〇万円の納付金を納付し...
《解 説》
一 本件は、被告が、原告ら(AないしE)に対し、相続税申告の更正の請求につき、①それぞれ更正をすべき理由がない旨の通知をした上、②それぞれ増額更正処分等をし、その後、遺産分割を理由とする第二次更正の請求につき、③原告ABに増額再更正処分等、原告CないしEに減額再更正処分をしたた...
《解 説》
一 X及びY1は、いずれも、不動産売買仲介業者であるが、Y2が新築分譲予定の一戸建住宅三棟につき、それぞれY2の承諾を得て宣伝販売活動を行っていた。Y3は、平成八年九月ころ、X及びY1の現地ハウスを数回訪れて住宅を見学した上、原告からの購入勧誘に対し、売出中の右住宅のうちの一棟...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、A所有ビルの根抵当権者である原告が、物上代位権に基づいて本件ビルの賃借人である被告に対し賃料の支払を求めた事案である。
事実経過を略述すると、当初、BがAに対する貸金債権の担保として本件ビルに根抵当権の設定を受けたが、その後、Aは被告に対する本件ビル...
《解 説》
一 Xは、割賦購入あっせん等を業とする会社であるが、平成九年八月、Yとの間で、Yが購入するダイビング器材の代金七七万円を立替払いし、Yが右代金七七万円と手数料二三万一〇〇〇円を後日分割弁済する旨の立替払契約(以下「本件立替払契約」という。)を締結した。
そして、Xは、同年九月...
《解 説》
本件は、Xが、Yから受注した建物工事請負契約についての変更工事契約に基づく増額分の請負工事代金請求権を被保全権利として、Yの不動産について仮差押決定を受けたのに対し、Yが保全異議を申し立てた事案である。本件の争点は、(一)本件請負契約において本件請負契約の監理者となっていたAが...
《解 説》
一 保険金額や解約返戻金の額が特別勘定の資産の運用実績に基づいて増減する生命保険である変額保険については、一時、不動産等の資産を有する高齢者の相続税対策として、金融機関から多額の資金を借り入れて高額の変額保険契約を締結するという方策が盛んに行われたことがあったが、その後のいわゆ...
《解 説》
一 本件は、Yら所有建物の建築によりXら所有地ないしXら所有建物からの眺望の利益が侵害されたとして、主位的に眺望権に基づいてYら所有建物の一部撤去(眺望権を侵害する二階を超える部分の撤去)を、予備的に不法行為に基づいて損害賠償をXらが請求したが、受忍限度の範囲内であるとして請求...
《解 説》
一 Xは、宮崎県及び鹿児島県において、コンビニエンスストアのフランチャイズチェーンの本部を運営する会社であるが、平成六年七月、有限会社A(以下「訴外会社」という。)と、ファミリーマートフランチャイズ契約(以下「本件契約」という。)を締結し、訴外会社は、コンビニエンスストアの経営...
《解 説》
一 本件は、平成七年七月一四日の午前八時三〇分ころ、徳島県海部郡海部町沖を航行中のプレジャーボートが火災のため沈没した事故について、Y保険会社との間で右の船舶について損害保険契約を締結していたX(本件船舶を所有している会社)が保険金の支払を請求したのに対して、Y保険会社の側では...
《解 説》
一 本件は、学校法人である債務者Y1が設置する大学の教授である債権者らが、債務者Y1の理事会が債務者Y2を次期学長に選任した決議は、債務者Y1の学長選考規程に基づきされた選挙結果に現れた教授会の意思に反するから無効である旨主張して、学長に選任された債務者Y2の職務執行の停止を求...
《解 説》
一 Yは、平成二年二月、Aが経営する「ゴルフ&カントリークラブグランマリヤ」のゴルフ会員権を購入するに当たり、Xに対し、代金の内金一一〇〇万円について保証を委託するとともに、XがYの保証人として右代金を代位弁済することを承認し、Xが代位弁済をしたときは、右代位弁済金及び分割払手...
《解 説》
一 Xらは、Y(学校法人)の設置する大学の教授である。本件は、Xらが、Yに対して、教授会の審議を経ずにされた学長、学部長の任命、薬学部教授の採用が無効であるとして、学長らの各地位が存在しないことの確認を求め、薬学部教授の採用により教授会の審議権を侵害されたとして慰謝料の請求をし...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のようなものである。ガソリンスタンドを経営していたSは、四億円近い負債を抱えて経済的に破綻し、債権者の追及をのがれようと自己の居住していたマンションの部屋(「本件マンション」という。)を出て姿を隠すことにしたが、実家の両親所有に係る土地・建物(「本件居宅...
《解 説》
一 本判決によれば、本件公訴事実は、被告人が、常習として、①平成一一年八月二七日、②同年一〇月一一日、それぞれ電車内で乗客の女性の大腿部をなで回したりした(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(大阪府条例第四四号)違反)というのである。ところが、被告人には...