最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、平成一〇年七月一二日に施行された参議院議員選挙(本件選挙)について、東京都選挙区の選挙人らが、公職選挙法(平成一二年法律第一一八号による改正前のもの。以下同じ。)一四条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定(本件定数配分規定)は憲法一四条一項等に違反...
《解 説》
一 本件は、年金会オレンジ共済組合などの名称で預り金の受け入れなどの事業を営んでいた被告人らが、雑誌などに広告を載せ、返戻の意思も能力もないのに元本保証・高金利などを約束し、高収益を得て確実な資金運用をしているなどと虚偽の説明をして、預り金名下に、三五名の者から現金合計六億六五...
《解 説》
一 本件は、暴力団抗争に絡む殺人事件により懲役刑が確定し徳島刑務所において受刑中のX1及びX1が提起した民事訴訟事件の訴訟代理人である弁護士X2、X3、X4が、同刑務所長によって違法に接見を妨害され精神的苦痛を被ったとして、Y(国)に対して損害賠償を求めた事件である。原審がX1...
《解 説》
一 本件は、不法行為によって扶養者が死亡した場合における被扶養者の将来の扶養利益喪失について、その損害額の算定方法が問題となった事案である。
二 X1はAの妻、X2(昭和五八年一月二四日生)及びX3(昭和五九年一一月二一日生)はAの子であり、Xらは、その生活をAに依存していた...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。X寺院は、昭和五八年、宗教法人であるA宗の宗教上の職制等に関する内部規定(「宗規」と呼ばれていた。)における教会に当たるものとして建立され、昭和六二年に法人格を取得して、A宗の被包括宗教法人となった。X寺院及びA宗の各規則(宗教法人法一...
《解 説》
一 本件は、東京都による水道メーターの発注のための指名競争入札等に関して水道メーター販売会社二五社の営業実務責任者らの行ったいわゆる談合の合意が、独占禁止法二条六項、三条の不当な取引制限に当たるかどうかが争われた事案である。
弁護人は、当初から、本件合意が、中小企業の保護のた...
《解 説》
一 本件は、強盗殺人被告事件(いわゆる東電OL殺人事件)について第一審で無罪とされた不法残留中のネパール人被告人が、控訴審裁判所によって再び勾留されたため、これに対して異議申立てをしたが棄却され、これに対する特別抗告も棄却された後、今度は、勾留取消し請求を行い、右請求却下決定に...
《解 説》
一 本件は、衆議院議員選挙に立候補を予定して政治活動をしていた弁護士Xが、Y県警により業務上横領の被疑事実で在宅送致された(後に嫌疑不十分で不起訴処分となった)際、容疑を認める旨の公表をY県警が報道機関へ行った(以下「本件広報活動」という)ため、これによって名誉が毀損された等と...
《解 説》
一 事実の概要
1 Xは、昭和五二年四月一日に郵政事務官に任命され、同年四月二二日付でY郵便局集配課勤務となり、平成四年七月六日(本件分限免職処分)当時も同課職員であった。
Xは、自律神経失調症(抑うつ状態)のため、昭和六二年一二月一四日から通算三年間の休職処分に付されたが...
《解 説》
一 Y1はY2(阪神高速道路公団)から、交通管理業務、高速道路料金の徴収業務等を委託された会社であり、X1は、その従業員であり、産業別労働組合であるX2のY1内に組織された分会の分会長であり、本訴の時点では唯一の組合員であって、Y1における交通管理隊員として交通管理業務に従事し...
《解 説》
一1 本件は、信販会社Aの被告に対する貸金債権を譲り受けた原告から被告に対する請求に対し、被告が消滅時効の抗弁を主張し、右抗弁が容れられて請求棄却となった事案である。
2 Aは、昭和五八年六月六日、被告に対して四三万円を貸し付けた。被告は、昭和五九年四月二七日、右借入債務につ...
《解 説》
一 被告は、平成六年四月一日、甲町農業協同組合、乙町農業協同組合及び丙町農業協同組合が合併して設立された農業協同組合であり、原告は、右合併前、乙町農業協同組合の参事職にあり、右合併後は、被告の金融共済部長等を務めた者であるところ、合併後の平成七年八月ころに施行された被告の内部監...
《解 説》
一 X(注文者)は、平成六年一一月一〇日、Y(請負人)との間で、鉄骨造りの四階建ビル(以下「本件ビル」という。)の新築工事請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結した。Yは、本件請負契約に基づき、阪神淡路大震災の発生した平成七年一月一七日までに、本件ビルの約七割程度の建前...
《解 説》
本件は、近畿日本鉄道株式会社(以下、近鉄という)から軌道高架下構造物を賃借し、これを第三者に賃貸する業務を行う原告が、賃貸借契約の期間の満了を理由に、賃借人と目的物の占有者に対して明渡しを求めた本訴に対し、賃借人において、本件賃貸借契約は借地契約であるとして、借地権の存在確認の...
《解 説》
一 鉄道車両の車体改造等を目的とするX会社と業務用アミューズメント機器の製造販売を目的とするY会社とは、自動車教習所における運転免許取得のための教習用の動く映像を利用して道路上での運転を疑似体験させる疑似運転装置(運転シュミレータ)を共同開発することを合意し、共同開発に関する協...
《解 説》
X及びYらの父Aは、本件建物及び借地権を有していたが、昭和四五年四月死亡し、X、Yら及びAの妻Bが法定相続分に従って相続した。Bは平成八年一二月死亡したが、生前、本件建物及び借地権の持分をXに相続させる旨の公正証書遺言を作成していた。Xは、昭和四五年四月にYらとの間で本件建物に...
《解 説》
Xは、群馬県高崎市内に歯科クリニックを開業した昭和四九年ころから、群馬県内の歯科医を会員とする任意加入の社団法人であるY1に加入していたものであるが、平成六年一一月、Y1の定款一五条二号「本会の体面を汚した者」、三号「本会の綱紀を乱した者」に該当するとして除名処分がなされたこと...
《解 説》
Xは、日本に在留するブラジル人女性であるが、Yらの経営する宝石店に入り、ショーケースを眺めていたところ、Y1から国を尋ねられ、ブラジルと答えた途端、外国人の立入りは禁止であると告げられた。Xが理由を尋ねると、Y1は「出店荒らしにご用心!」とのチラシを指し、店から出ないと警察を呼...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、Yから商品先物取引に係る勧誘を受けて商品先物取引を行ったものであるが、Yの勧誘行為については商品先物取引の危険性を十分に説明したものではなく、利益を生ずることが確実であると誤解させるような断定的な判断を提供したものであり、Xをしてその経験等に照らして明ら...
《解 説》
一 本件は、急性腹症のためYの病院に入院して治療を受けていたXらの子のAが死亡したのはYの医師がAの急性虫垂炎の診断を誤り、腹膜炎に罹患させ、敗血症を発症させたためであるとして、XらからYに診療契約上の債務不履行による損害賠償を請求したのに対し、YがAの死亡はライ症侯群によるも...
《解 説》
一 事実の概要
本件は、直腸癌の除去手術を受けて入院治療中の患者が、病院給食を通じてサルモネラ菌に感染し(争いがない。)、その後死亡したことについて、(一)入院患者にサルモネラ菌を感染させた、(二)サルモネラ菌感染の発見が遅れ、(三)担当医師の当該患者に対するサルモネラ菌感染...
《解 説》
一 Xは、洗濯業等を営むY1に対し、クリーニング用資材を売却してきたので売買代金を請求するとともに、Y2は、Y1から営業権の譲渡を受けてクリーニング取次業者の業務を開始するに当たり、Y1の債権者に対する債務を引き受け、その旨を債権者各位に通知したと主張し、商法二八条に基づき、Y...
《解 説》
一 不動産売買等を営むX会社及びX会社等を亡夫から引き継いで経営してたAは、それぞれ生命保険会社Yとの間で、Aを被保険者とし、X会社及びAの親族X1、X2を受取人とする各生命保険契約を締結していたところ、平成一〇年一〇月四日、Aが静岡県伊東市の海岸で溺死した。そこで、XらがYに...
《解 説》
一 Yは、愛知県東海市において、粘土鉱物の精製粉末及び販売等を目的とする会社であるが、昭和六三年九月、訴外A生命保険会社との間で、従業員として勤務していた訴外Bを被保険者、自己を保険金受取人、主契約の保険金額を一〇〇〇万円等とする逓増収入保障特約付平準定期保険契約を締結した。
...
《解 説》
一1 デール・カーネギー(一九五五年(昭和三〇年)死亡)は、アメリカ合衆国国民の文筆家・講演家であるが、一九三六年(昭和一一年)、本件第一著作物(なお、以下、略語の使用については、特に断らない限り判決記載のとおりとする。)を著作し、一九三八年(昭和一三年)、本件第二著作物(これ...
《解 説》
一 本件は、グラフィックデザイナーであるXが、大手出版社Yに対して、Xの創作に係る図画について、Yが無断でその一部を切り離して複製し、新たに発行する文庫シリーズのシンボルマークとして、文庫の表紙や新聞雑誌広告、電車中吊り広告等に使用したと主張して、著作権(複製権)侵害を理由とす...
《解 説》
一 Xらは、Yに対し、交通事故に基づく損害賠償を請求する訴えを提起したところ、一審浦和地裁は、平成一一年七月二一日、X勝訴の判決を言い渡し、同月二二日、原判決正本がYに送達されたが、一審の被告補助参加人Zは、同年八月一〇日、原判決を不服として、東京高裁に控訴した。
二 本判決...