最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、Yの経営するB病院で診療中に死亡したAの相続人であるXらが、Yに対し、主位的に死亡による損害賠償を請求し、予備的に救急病院として期待される適切な救急医療を怠って「期待権」を侵害したことについて損害賠償を請求した事案である。
二 Aは、自宅において狭心症発作に見舞わ...
《解 説》
一 本件は、被告人と犯人の同一性認定の有力な資料とされたDNA型鑑定に証拠としての許容性を認めた最初の上告審決定である。
事案は、平成二年五月一二日夜、当時四歳の幼女が行方不明となり、翌朝、付近の河川敷の草むらから、全裸の遺体で発見され、付近の川底から被害児童の半袖下着などが...
《解 説》
一 本件は、広告の企画、制作等を営む会社を経営する被告人が、取引先の広告代理店を経営する被害者に対し、架空の広告主から折込広告の依頼があるかのように装い、被害者の会社がこの依頼を受け、被告人の会社がその下請けをし、後日広告主から広告代金が被害者の会社に支払われるなどと虚偽の説明...
《解 説》
一 世田谷区の住民であるXは、Y(区長)に対し、世田谷区情報公開条例(以下「本件条例」という。)に基づき、区が財団法人都市計画協会に委託した「小田急沿線交通施設及び街づくり調査」の成果物一切及び付属資料一切の公開を請求した。これに対し、Yは、複数の資料を非公開とする決定をしたが...
《解 説》
一 X1、X2及びX3は(X3は二丈町議会議員)、二丈町議会の歴代議長は議長交際費を不当に流用したとしてその返還を求める監査請求をしたところ、二丈町監査委員はこれを受理し、右支出の不当性は認められるが、直ちに違法とは認められないとする監査結果を出した。その後、X1及びX2とX3...
《解 説》
一 Yは、各種入試の模擬試験の実施等を目的とする株式会社であり、東京渋谷区代々木に本社を置き、浜松市等全国の主要都市に設置されているAゼミナール関係の学校に支局を設置している。Xは、昭和六〇年五月一日、Yに雇用され、主に宣伝、広報関係の仕事に従事し、平成五年七月当時広報企画部広...
《解 説》
Xは平成八年六月一八日、Yの経営するゴルフクラブの会員権(額面一二〇〇万円)を譲り受けた。会員証(発行日昭和六二年八月二〇日)には、「発行日より一〇年間据置後退会の際は請求により返還します」と記載されていた。Xは平成九年一二月三日、Yに対し本件ゴルフクラブを退会する旨意思表示し...
《解 説》
一 スキーウェアの製造・販売業者である原告とナイロン裏地供給業者である被告との間で、過去一〇数年に亙り年間の概算発注見込み量と単価の合意に基づき行われてきた裏地の継続的供給契約において、個別的発注は品番、色番、数量を定め、発注日から約三〇日後を「希望納期」と指定した発注量の発行...
《解 説》
一 Xは、Aの経営するファーストフード店舗の水道・空調・ダクト工事を請け負い(本件契約という)、これを完成させたが、工事代金の一部の支払いがされなかった。この工事は、AからBが請け負い、Y1(代表取締役Y2)が下請けとして受注した。Xは、Y1から、この工事を請け負ったと主張した...
《解 説》
本件は売買された土地の地中にコンクリート塊等の産業廃棄物のあったことが隠れた瑕疵に当たるか否か、買主が商人として土地の引渡し後六か月以内に売主に瑕疵を通知したか否かが争われた事例である。
本判決の認定した事実によれば、Xは平成八年三月四日、自動車修理工場の建設を目的としてYか...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、原告が、被告会社との間で商品先物取引を締結し、パラジウムやコーン等の商品先物取引を行ったところ、被告らの手数料稼ぎを意図したいわゆる「客ころし」の取引勧誘により損害を被ったとして、不法行為を理由に右損害の賠償を求めた事案である。
二 本件の要約
1...
《解 説》
一 金融業者であるXは、平成四年五月、訴外Aに対し、A所有名義の本件土地と訴外B所有の本件建物に根抵当権を設定したうえ、五〇〇〇万円を貸し付けたが、その後、本件土地の前所有者であったBからAへの所有権移転登記とBを設定者とする本件建物への根抵当権設定登記が、いずれもBの意思に反...
《解 説》
一 Xは、Aと婚姻している者であるが、Aと不貞をした後同棲しているYに対して、婚姻関係を破綻させたとして、不法行為に基づき、慰謝料八〇〇万円、弁護士費用一四七万円の損害賠償請求をした。これに対して、Yは、XA間は実質的に破綻しており、YがAと同棲するに至ったことは、むしろXに責...
《解 説》
本件は、Yの運転する普通貨物自動車が、夜間、交差点を右折する際に、横断歩道上を歩行中であったA(六四歳の女性)に接触して同人を転倒させ、急性硬膜下血腫、脳挫傷の傷害を負わせ、四日後に同人を死亡させたとして、Aの相続人であるXらがYに対し、逸失利益等の損害賠償を求めた事案である。...
《解 説》
一 本件は、平成四年七月一四日に被告病院で胃及び脾臓の全摘手術を受けた原告が、ビタミンB1欠乏によるウェルニッケ脳症を発症し、直近の記憶を保持できない近時記憶障害をはじめとする後遺症が残ったことについて、被告医師らには、栄養を経口摂取できない原告に対して術後三六日間にわたり高カ...
《解 説》
一 Xらの子A(平成元年六月生)は、出生時から心臓動脈弁の欠損症があり、近くの病院において定期的に検査、治療を受けていたが、平成五年二月、Yの設置する「北里大学病院」において、一次中隔欠損孔閉鎖、僧帽弁亀裂修復、弁形成の手術を受けた。
その後、Aは、同病院に入院して治療を受け...
《解 説》
一 Xは、平成三年三月、Yから、普通特殊自家用自動車クラリオン二三RD(以下「本件自動車」という。)を買い受けたが、本件自動車を運転して、岐阜、栃木、長野等に鮎釣り等にでかけた際、ベーパーロックが発生し、その都度Yに修理を依頼したものの、完全な修理ができず制動機能に致命的な欠陥...
《解 説》
本件は、JR東日本の株主である控訴人らが、同社の取締役ら二名に対し、右両名が取締役としての忠実義務に違反することによって会社に与えた損害(救済命令に対して不服申立てをするのに要した弁護士費用に相当する額)の賠償をするように求めた株主代表訴訟である。
控訴人らは、被控訴人らの取...
《解 説》
本件は、平成七年一月一七日午前五時四六分の阪神淡路大震災発生後、間もなく発生した火災によって被災したXら三名が、損害保険会社のYらとの間で締結した建物及び家財に関する火災保険契約に基づいて、二〇〇〇万円ないし四一〇〇万円の保険金の支払を請求した事案である。
Yらは、本件火災に...
《解 説》
一 Xの妻Aは、平成六年二月当時、静岡県伊東市の伊豆急分譲地内に、二棟一戸建の本件建物を所有していたが、同月四日夕刻、本件建物において本件火災が発生し、本件建物と本件建物内の家財が焼失した。
そこで、Xは、本件建物と家財について住宅総合保険契約を締結していたY(保険会社)に対...
《解 説》
一 本件は、広告やカタログの写真、ロゴなどのデザインを制作する会社であるXが、著作物であるロゴを制作してYに有償で使用させたと主張して、Yに対し、同ロゴの著作物使用料の支払を求めた事案である。
本件では、①Xが制作したロゴが著作物といえるか、②XY間で締結された和解契約により...
《解 説》
一 Xはフランスの婦人用下着メーカーA社の輸入代理店であったところ、A社は、Xとの代理店契約を解消して、新たにYを輸入代理店とした。そこで、Xは、YがA社から輸入して日本国内において販売する婦人用下着に付されている標章はXの商品等表示として著名なものであると主張し、また、YがA...
《解 説》
一 ①事件及び②事件は、いずれもイタリアの銃器メーカー(X1)と、これとの間でその各種商品等表示や実銃の形態を玩具銃に使用することなどに関してライセンス契約を締結した日本国内の玩具銃メーカー(X2)が原告となって、日本国内の他の玩具銃メーカー(Y)を被告とした訴訟であり、(1)...
《解 説》
本件は、「アリナミンA25」という商品名でビタミン製剤を製造、販売している原告が、「アリナビッグA25」という商品名でビタミン製剤を製造、販売している被告に対し、被告が右被告表示の使用等をしていることは、不正競争防止法二条一項二号所定の不正競争に該当するとして、その差止等と損害...
《解 説》
一 本件は、債務者が産業廃棄物の管理型最終処分場(本件処分場)の建設をしようとしたのに対し、その周辺に居住する債権者らが、本件処分場の遮水工(二重遮水シート)は破損の恐れがあり、浸出水処理システムも不十分であるなどと主張し、本件処分場が建設及び操業されると有害物質を含んだままの...
《解 説》
一 本件は、被告人が、親権者となっていた次男D(当時三歳)らを連れて、Aと同棲を始めたが、AがDらにせっかんを繰り返すようになったのであるから、親権者兼監護者としてせっかんを制止して保護すべき立場にあったところ、AがDに対し暴行を加え、硬膜下出血等の傷害を負わせて、脳機能障害に...
《解 説》
一 ここに紹介するのは、大審院の有罪判決に対する再審請求を棄却した珍しい決定である。請求人は、強盗殺人罪により大審院で無期懲役に処せられた元受刑者(甲)の妻であるが、再審請求の理由として、真犯人は第三者(乙)であって甲ではないことを認めるべき明確な証拠を新たに発見したと主張して...
《解 説》
本件は、判事であるXが、Yが幹事会社として販売した外国(香港)投資銀行発行社債を購入したところ、約七か月後に同銀行が倒産して社債が無価値になったとして、主位的に、証券取引法一五条一項違反(届出の効力発生前の契約締結)、同条二項違反(目論見書の事前又は同時不交付)による同法一六条...
《解 説》
一 本件事案の概要は、衆議院議員であった被告人が、①当選した平成八年一〇月二〇日施行の衆議院議員総選挙(比例区)において、自己の選挙運動者らに選挙運動報酬、投票報酬等として合計二〇〇〇万円を交付したなどの公職選挙法違反、②防衛政務次官在任中、富士重工の専務らから海上自衛隊救難飛...