最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 Yは、音楽著作権についての仲介業務を行う社団法人であり、Xは、Yの常勤監事に就任したが、前任者から引き継いだ任期(被告の定款には役員の任期を三年とする定めがある。)の終了とともに常勤監事に再任された者である。
Yは、Xが監事に再任する際に定款とは異なる任期の合意をしたこと...
《解 説》
一 本件は、強盗殺人被告事件(いわゆる東電OL殺人事件)について第一審で無罪とされた不法残留中のネパール人の被告人に対して控訴審裁判所がした勾留の裁判に関する特別抗告事件である。控訴審裁判所における再勾留の時期、要件が争われた。
二 被告人は勾留の上起訴され審理を受けていたが...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、弁護人となろうとする弁護士が、被疑者の逮捕直後に接見を申し出たところ、司法警察職員が接見日時を翌日に指定したことについて、弁護士と被疑者が東京都に損害賠償を求めた事案である。
X1は、平成二年一〇月一〇日午後三時五三分ころ、東京都公安条例違反容疑(デ...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、接見妨害を理由とする弁護人らの国家賠償請求を棄却した原判決に対して、弁護人らが上告した事件である。上告論旨のうち、刑訴法三九条三項の違憲性をいう点(第二点)については、最高裁判所裁判事務処理規則九条三項に基づいて、大法廷に回付(いわゆる論点回付)され、...
《解 説》
第一 事案の概要
一 事実関係
1 被告(被上告人)は、昭和六一年五月二一日、「レールデュタン」の片仮名文字を横書きした商標につき、指定商品を商標法施行令(平成三年政令第二九九号による改正前のもの)別表第二一類「装身具、その他本類に属する商品」として、商標登録出願をし、商標登...
《解 説》
一 本件は、上告期間内に上告人から上告状が提出され、上告期間経過後理由書提出期間内に、民訴法三一二条一項又は二項に規定する事由の記載のない上告受理申立理由書が提出されると共に、上告状を上告受理申立書として扱うことを求める趣旨の上申書が提出された事案である。
本決定は、提起され...
《解 説》
一 本件は、破産者を免責する決定に対する即時抗告を抗告期間の徒過を理由に不適法として却下した決定に対する許可抗告事件であり、免責決定につき送達及び公告がされた場合の即時抗告期間につき、最高裁として初めての判断を示したものである。
二 破産法上の決定に対しては、利害関係人が即時...
《解 説》
本件は、Y市立小学校の六年生であった女子児童Xが、体育水泳授業中に逆飛び込みを行い、プールの底に頭部を激突させて第五頚椎骨折、頚髄損傷の傷害を負った事故につき、X及びその両親が、担当教諭には事故の発生を未然に防止すべき注意義務等に違反した過失があり、学校長には担当教諭らを指導す...
《解 説》
本件は、長崎市民である原告が、被告長崎市長が長崎原爆資料館の展示の工事業者や監修者に対し損害賠償を求めないことは違法であるとして、いわゆる怠る事実の違法確認を求めた住民訴訟の事案である。
右資料館は長崎市が平成八年四月に開館したものであるが、開館の前後を通じ、さまざまな団体か...
《解 説》
一 本件は、消費生活協同組合Yの従業員である(もしくは従業員であった)Xら七名が、時間外労働もしくは休日労働に対する割増賃金及び付加金等の支払を求めた事案であり、Xらは、Yの支所、倉庫等において、物流業務、共同購入業務等に従事していた者である。
二 争点は、①時間外労働の有無...
《解 説》
一 全日本国立医療労働組合(以下「全医労」という。)は、その委員長がした国立病院及び国立療養所に勤務する看護婦等の夜間勤務規制等に関する行政措置の要求に対して人事院が昭和四〇年にした判定において月間平均夜勤日数を約八日とし一人夜勤を計画的に廃止するという判断が示されたのに、それ...
《解 説》
一 本件は、貸金業者である原告が、時効が完成した債権について、被告に対し、遅延損害金の請求は今日までに発生した分に制限する、被告に対して債権を有する同業他社には所在を黙っていてやるなどと言って、かつて厳しい取立てのために失職・家族離散の悲劇を経験した債務者の恐怖心を利用して、債...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。
Yは、製罐及び板金製品の加工並びに製作販売等を目的とする会社であり、Xはその筆頭株主である。Xは、平成七年七月、Yの当時の代表取締役Zらの職務執行停止代行者選任の仮処分命令の申立てを行ったところ、仮処分裁判所は、同年八月、代表取締役...
《解 説》
本件控訴審判決は、原判決の事実摘示等の大部分を引用しているため、事実関係の詳細は不明であるが、認定事実等によれば、およそ次のとおりである。Yは、平成四年一月ころ、頭部、尾部の両端を鍛造品とし、その中間を空洞のパイプとするバール三四万丁を製作してA社を介し、輸出することを企画し、...
《解 説》
一 訴外A(昭和五〇年八月生)は、平成元年一二月当時、名古屋市内でとび職として稼働していた者であるが、同月二九日夜、名古屋市内のゲームセンター内で、Yら三名を含むグループとAの友人グループが喧嘩を始め、AがYらやグループのメンバーに対して激しく殴るなどの暴行を加え、傷害を負わせ...
《解 説》
X1とX2は新潟県黒埼町でモーターボート競走の場外舟券売場設置計画につき、用地の確保、施設の建設の計画等を推進する業務に従事していた。Y1は「黒埼町場外舟券売場設置に反対するみんなの会」の事務局長、Y2は黒埼町労働組合団体協議会議長、Y3は西蒲民商黒埼支部長、Y4は日本農民組合...
《解 説》
一 X(昭和四三年生まれ、女性)は、Y(昭和一八年生まれ、妻子ある男性)と男女交際クラブで知り合い、性的関係を持ち、交際料をもらうという関係を四年間続けていたが、その解消を申し入れたのに対し、Yが執拗に追い掛け回し、尾行、待ち伏せ、電話、手紙、面談における脅迫等を繰り返すなどし...
《解 説》
一 本件はガス湯沸器を使用中に一酸化炭素中毒になり死亡した被害者の遺族が、ガス湯沸器の販売業者、ガスの供給業者でガス湯沸器の保守点検業者、湯沸器を設置していた部屋の賃貸人、湯沸器の設置業者を相手に損害賠償請求を行なったものである。
二 本判決は、まず一酸化炭素中毒の原因につい...
《解 説》
一 訴外A(昭和三〇年生)は、平成五年一月、Yの経営する医院において胃癌と診断され、胃の一部切除手術を受けたが、手術後、腹膜炎、劇症肝炎の症状が現れ、意識障害も出現したため、同年神戸大病院に転院した。
神戸大学病院では、Aを劇症肝炎による肝不全、肝性昏睡と診断し、血漿交換、開...
《解 説》
一 本件は、「事案の要旨」にも記載がある通り、肩凝りの診療行為としての麻酔薬の注射の当否や、この注射とその後に発現した各種障害との因果関係が争われた事例である。
Xは、美容師で、主婦でもあるが、三九歳であった平成二年三月、Y整形外科医院で肩凝りの治療として、頚部に麻酔剤である...
《解 説》
一 木津信用組合は、土地に極度額三億円の根抵当権を有して、顧客に手形貸付五〇五五万円余、証書貸付一億四四四七万円余、計一億九五〇三万円余の債権を有していた。木津信用組合は、被控訴人に営業譲渡をしたので、この債権抵当権は整理回収銀行(のちに被控訴人に合併)に属することになった。
...
《解 説》
Yは、損害保険会社であるX1、X2及び農業協同組合であるX3との間で、保険金額を美術品につき六四〇〇万円、家財道具につき三六〇〇万円とする合計四口の火災保険契約ないし火災共済契約を締結した。右契約締結の一〇日後に借家であるY宅で火災(以下「本件火災」という。)が発生し、Yが美術...
《解 説》
一 本件は、芳香族カーボネート類の連続的製造法の特許権及びジアリールカーボネートの連続的製造方法の特許権(本件各特許権)を有しているXが、三井石油化学株式会社と米国法人ゼネラル・エレクトリック社(GE)の合弁会社で、ジフェニルカーボネート(DPC)を製造し、そのDPCを使用して...
《解 説》
一 Yは、栃木市内でゴルフ場(Aカントリークラブ)を経営していたA会社と、Aカントリークラブへの正会員の入会契約を締結し、資格保証金七〇〇万円を支払ったが、それから一〇年以上経過した平成一〇年四月二〇日、右入会契約を解除した上、資格保証金の返還を求めたところ、平成一一年二月二六...
《解 説》
一 訴外会社は、Yらを連帯保証人として、Xの前身である信用組合(以下「組合」という。)から手形貸付、手形割引、証書貸付等を受けていた。訴外会社は、平成四年三月二五日に東京地方裁判所において会社整理開始決定を受け、その後、同裁判所から整理計画案の実行命令が発令された。
訴外会社...
《解 説》
一 本件は、酒税法五六条一項一号の罪(同法九条一項所定の免許を受けないで酒類の販売業をする罪)の成否が争われた事案である。
甲が実質的に経営する有限会社丙(以下「丙社」という。)は栃木県足利市内の販売場につき酒類販売業免許を得て酒類販売業を営んでいたが、本件では、甲が自ら考案...