最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、抵当権に基づく物上代位権の行使としての申立てにより債権差押命令が発せられ、右命令に対して執行抗告がされたところ、その抗告棄却決定に対してされた許可抗告事件である(旧民訴法下では、抗告事件については最高裁が実質的な判断を示すことができなかったが、現行民訴法が新設した許...
《解 説》
一 本件は、別居中で、離婚訴訟係属中であるが、まだ離婚に至っていない夫婦間で、夫が妻に対して、妻と同居している長男との面接交渉を求めた事案である。
本件の申立人(夫)と相手方(妻)は、昭和六二年に婚姻の届出をした夫婦であり、平成元年にその長男である本件の事件本人が出生した。申...
《解 説》
一 本件は、質権が設定されている金銭債権について、その被転付適格、すなわち転付命令の対象となるか否かが問題となった許可抗告事件である。抗告人は、相手方に対する金員の支払を命ずる確定判決を債務名義として、債権差押命令を得た上、本件債権について転付命令を申し立てた。本件債権は、相手...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。A株式会社は、平成八年に破産宣告を受け、Yが破産管財人に選任された。Xは、A社所有の本件建物を目的とする極度額八〇〇〇万円の根抵当権を有し、優先権のある債権として三八三三万円余りを届け出て、これは異議なく確定された。ちなみに、本件建物に...
《解 説》
一 本件は、郵便局職員の被告人が、簡易生命保険契約の申込者と共謀の上、その者が傷病により入院中であること又は既に保険金の法定最高限度額まで契約が締結されていることを秘して、保険契約を締結させ、簡易生命保険証書を騙取した行為について、詐欺罪の成否が争われた事案である。原判決(福岡...
《解 説》
一 本件は、パチスロ機の製造業者が、電機メーカーの商標が無断で付された電子部品を、自社の製品に組み込んで販売するなどしたということで、商標権侵害罪に問われた事案である。商標の付された部品が完成品に組み込まれることにより、その商標は保護に値しないものとなるのか否かが争われ、一審判...
《解 説》
一 事案の概要
皇太子と皇太子妃との結婚の儀が平成五年六月九日に、その饗宴の儀が同月一五日から一七日に行われた。招待を受けた神奈川県知事であった被告長洲一二(Y1)は県から旅費計二万六四〇〇円の、同県議会議長であった鈴木一誠(Y2)は同じく旅費計六三〇〇円の支出を受けて、両儀...
《解 説》
一 事案の概要
原告らは、いずれも平成五年度当時、神奈川県立の養護学校の教諭であった者であるが、同校の平成五年度入学式において校庭の国旗掲揚ポールに掲揚されていた日の丸を引き降ろしたところ、いずれも神奈川県教育委員会(以下「教育委員会」という。)から文書訓告を受けた。そこで、...
《解 説》
一1 本件は、滋賀県のI町の住民Xらが、「I町長Yが、Zから、そのI工場の下水道使用料及び下水道事業受益者負担金を町条例・規則に反して過少に賦課ないし徴収してきた。」と主張して、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、町に代位して、Zに対しては、条例及び規則に基づいた適正な下...
《解 説》
一 本件は、いわゆる「公私協力方式」(地方公共団体と学校法人との協力によって地方の高等教育機関を設置・運営する方式であり、地方公共団体が土地、校舎や設備等の準備、経常費の補助等の協力を行うもの)により、別府市に私立大学が開設される予定となり、これに伴う別府市の財政負担を軽減する...
《解 説》
本件は、Yの経営するゴルフクラブのゴルフ会員権者であるXらが、預託金の据置期間は経過していないものの、ゴルフ会員契約の基礎となった事情に著しい変更が生じたとして、事情変更の原則により右契約を解除し、Yに対し、預託金の返還を求め、予備的に将来請求として、預託期間満了時の預託金の返...
《解 説》
一 本件は、大手設備工事会社であるナミレイ㈱と長野県の地元企業であるYとが結成した建設工事共同企業体(本件JV)の受注した公共事業に関して下請工事を行ったXが、Yに対し、その下請工事に関して追加・変更工事があったと主張してその代金の支払を求めたものである。
二 本件JVは、住...
《解 説》
土地の名義人になってくれと依頼され、名義を貸していた被告が、その土地を買い受け所有権を取得したと主張する原告から、自己へ所有権移転登記を求められたが、依頼者からの指示で所有権移転登記に必要な書類を依頼者側に渡し、そのため第三者が土地の登記名義を取得した。土地所有権を主張する原告...
《解 説》
本件は、信用金庫である原告と信用金庫取引契約を締結したA会社の連帯保証人である被告に対し、A会社が平成九年に破産したため、割引手形の買戻債務の履行を求めた事案であるが、被告は、連帯保証契約締結の事情、A会社と被告との関係、原告とA会社との取引の経緯、連帯保証契約から本訴提起まで...
《解 説》
一 本件の事案は次のようなものである。
食肉の販売及び加工等を業とする株式会社であるXは、Yとの間で、「営業権・店舗内動産譲渡に関わる覚書」を交わし、Yに対し、Xがスーパーのテナントとして経営していた食肉販売店舗の営業権及び同店舗内の動産一切を代金六〇〇〇万円で売った。Yは、...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Y1はクリーニング業を営む会社であるが、同社のクリーニング工場の汚水槽(以下「本件汚水槽」という)の清掃業務(以下「本件清掃業務」という)をY2に発注した。Y2は、本件清掃業務をA社に下請けに出した。A社の従業員であったBは、本件汚水槽の清...
《解 説》
一 Xの夫A(両名は昭和五〇年婚姻)は、同五四年ころから二〇年近くにわたってYと交際するようになった。その後Xもこれを知ることとなったが、平成一〇年になってからYとの関係の解消を巡りXとAとの間で話がこじれ、Aは家を出て、居住先も告げないままXと別居するようになった。
そこで...
《解 説》
一 Xらは、Yらのゴルフ場建設工事予定地の隣接土地に居住する住民、吉野川流域に居住する住民、あるいは奈良県民であり、Yらに対し、本件ゴルフ場建設工事の差止めを求めた。Xらが差止めの根拠とするのは、(一)本件ゴルフ場の治水計画には重大な誤りがあり、右治水計画により、不可避的に開発...
《解 説》
一 X1はX2ほか2名を同乗させて自動車を運転中、他車に追突する交通事故を発生させ、X1、X2ともこれにより頸椎捻挫等の傷害を負ったとして入通院をし、X1、X2及びX1が代表者であるX3(X2も従業員)は、本件事故当時、Y1ないしY4との間で積立傷害保険、普通傷害保険、交通事故...
《解 説》
一 本件は、「Juventus」の商標権(本件商標権・昭和五八年商標登録出願)を有するXが、イタリアのプロサッカーチーム「JUVENTUS」(ユベントスチーム)からの許諾を得て、そのオフィシャルグッズ(Y商品)を輸入・販売しているYに対し、本件商標権の侵害を理由に、Y商品の輸入...
《解 説》
本件は、ボルト締結機について特許権を有する原告が、その発明の実施品に使用するソケットを製造、販売している被告に対し、被告の同行為は本件特許権を間接侵害するなどとして、その製造、販売等の差止め等と損害賠償を求めた事案であるが、本件発明が、本件特許権の優先権主張の基礎とされた出願日...
《解 説》
一 本件は、色画用紙の製造販売業者であるXが、X作成の見本帳(X見本帳)は、色彩及び色名を素材とし、その選択に創作性のある編集著作物に該当するところ、同業者であるY作成の見本帳二種(Y見本帳)は、いずれもその全五五の色彩及び色名のうち、色名においてX見本帳の全五二色と一致し、色...
《解 説》
本件土地は、東京都港区の海岸近くにある。賃貸が開始されたのは昭和二二年以前、地上建物は、木造二階建てで築後四五年経過している。長く住居として利用されたが、賃借人夫婦が死亡した後、賃借人は使用せず、一時期その二階を事務所として貸していたことがあるが、平成六年からは空き家となってい...
《解 説》
一 本件は、阪神・淡路大震災で被災し、損傷したマンションについての建替え決議の効力が争われた初めての裁判例である。
本件マンションは、平成七年一月一七日の阪神・淡路大震災で被災し、損傷を受けた。マンションの復興方法について、区分所有者間で、建替えによるのか補修によるのか意見が...
《解 説》
一 被告人会社及びその代表者である被告人は、同社の業務に関し、従業員と共謀の上、前後六回にわたり、道路脇に設置した自動販売機六台に埼玉県青少年健全育成条例(以下「本条例」という。)が規定する青少年(満一八歳未満の者)に有害な雑誌及びビデオテープ(以下「有害図書等」という。)をそ...
《解 説》
一 Xの子である訴外A(昭和四六年生)は、平成四年四月にY1会社に入社し、四年一〇月よりY2会社に転籍され、特注ソース等製造部門でソース、たれ、合せ酢を製造する業務に従事していたが、平成七年九月三〇日、職場であるY2会社の工場内で自殺を図り、死亡した。
そこで、Xは、Aが自殺...